二世帯住宅のリノベーションは完全分離型が人気?間取りや事例を紹介

  • 作成日:2024/02/22
  • 更新日:2024/04/12
  • 編集者:山根木材メディア編集部
二世帯住宅のリノベーションは完全分離型が人気?間取りや事例を紹介

二世帯住宅のリノベーションを検討している方にとって、住宅タイプや間取りタイプは重要なポイントです。
なかでも人気があるといわれている「完全分離型」とはどのようなタイプなのか、またどのくらいの費用がかかり、どのような点に注意すれば良いのかわからない方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、二世帯住宅のタイプや完全分離型の間取り、リノベーションする際の費用相場、注意点などについて解説します。
二世帯住宅のタイプ別にリノベーションした事例も紹介していますので、今の家を2世帯住宅にすることを検討している方は、ぜひ参考にしてください。

二世帯住宅のタイプ

二世帯住宅イメージ

二世帯住宅は、主に以下の3タイプに分けられます。

  • 完全分離型
  • 完全同居型
  • 部分共有型

それぞれのタイプの特徴や、どのようなケースに向いているかを以下で詳しく紹介します。

完全分離型

「完全分離型」とは、玄関やお風呂などの設備を含め、住居が完全に分離された形態の二世帯住宅のことです。
同じ屋根の下に住んでいるものの、「同居」ではなくお隣さんのような感覚の暮らしをイメージすると良いでしょう。完全分離型が向いているのは、主に次のようなケースです。

  • 世帯ごとのプライベートを確保したい場合
  • ほど良い距離感で暮らしたい場合
  • 将来的に賃貸や売却を考えている場合

完全分離型の最大のメリットは、「プライバシーの確保がしやすい」ことです。
生活リズムが違ったとしてもお互いに気になりにくく、トラブル防止にも繋がります。
加えて、何かあったときにすぐに駆け付けられる点も魅力といえるでしょう。

一方、一つの住宅にキッチンやお風呂などの設備を2つずつ設置しなければならないため、建築費用が高くなりやすいのはデメリットといえます。
隣人のような暮らしは関係性にも影響しやすく、二世帯住宅にしたのに交流が少なくなってしまうことも考えられます。

完全同居型

「完全同居型」とは、寝室や個室以外のすべてのスペースを共有し、一つの住宅として居住するタイプのことです。
二世帯というより、一つの家に大家族が住んでいるようなイメージです。

完全同居型が向いているケースとしては、以下のような場合が挙げられます。

  • 光熱費などの費用を少しでも抑えたい場合
  • 子世帯・親世帯など世帯同士の仲が良い場合

完全同居型のメリットは、「子育てや家事を手伝ってもらいやすい」「親世帯の安否確認がしやすい」ことです。
また、通常の一つの住宅タイプと変わらないつくりのため、設備コストや固定費が抑えやすい点もメリットといえます。

一方で、プライベートな空間が少なく、人によってはストレスを抱えやすい点はデメリットです。
お互いの生活リズムが気になりやすく、トラブルに発展するケースもあるため、世帯同士の仲が良い場合に限る住宅タイプといえるでしょう。

部分共有型

二世帯住宅で一部の生活スペースを共有するタイプが「部分共有型」です。
例えば、玄関やリビングは共有されているものの、1階が親世帯の居室スペース、2階が子世帯の居室スペースである場合などに該当します。

以下は、部分共有型が向いている2つのケースです。

  • 世帯同士の関係性やプライバシーをバランス良く保ちたい場合
  • 気軽にコミュニケーションをとりたい場合

部分共有型のメリットは「プライバシーと距離感のバランスが良い」ことです。
完全に分離しているわけでも同居しているわけでもないため、付かず離れずの距離感や関係性を保ちやすくなっています。

しかし、お互いの生活リズムはある程度わかってしまうため、プライベートをしっかりと確保したい場合には不向きといえます。
共有部分の使い方に不満が生まれることでトラブルに発展する可能性もあるため、注意が必要です。

二世帯住宅完全分離型の間取り

二世帯住宅における完全分離型の間取りパターンは「縦割り型」と「横割り型」の2つです。
それぞれの特徴は大きく異なるため、事前に確認しておきましょう。以下で詳しく解説します。

縦割り型

「縦割り型」とは、一つの住宅を縦に分けて二つの独立した住戸が存在する形態を指し、「二戸一住宅」「左右分離型」とも呼ばれます。
各住戸の仕切り方には一体化した建物内に壁を設けたり、建物そのものを分けて渡り廊下をつくったりするなど、さまざまなパターンが考えられます。

いずれも独自に一戸建てのような生活を楽しめるのが特長です。
将来的に片方の家だけ売却できるのもメリットですが、親世代が高齢になった場合に階段の上り下りがつらくなり、2階から上を使わなくなることがあります。

横割り型

「横割り型」とは上下階に住むようなイメージで、建物の階数によって生活空間を分ける間取りタイプです。
上下の分離により、それぞれが平屋のような生活動線を確立しやすく、将来的なバリアフリーの観点からも、親世帯を1階に配置するパターンがよく見られます。

1階は階段の上り下りがないことで、両親が高齢になっても足腰への負担があまりない点がメリットですが、上階の足音が響きやすい点は人によって気になるでしょう。
音が気になる場合は、にぎやかな雰囲気が広がりやすいLDKを親世帯の寝室の上に配置しないようにするなどの工夫が必要です。

完全分離型にリノベーションする際の費用相場

一戸建てを完全分離型の二世帯住宅にリノベーションする場合、坪単価100万円前後、費用相場は1,000万~3,000万円程度です。
およそ2,000万円前後が中心価格ですが、もともとの住宅の配置や土地の広さに基づいて増築を検討する場合、おおよそ3,000万円のリフォーム費用がかかる場合もあります。

また、縦割り型の場合は新たに玄関や階段などを新設したり、壁を増築したりするなどの大規模な工事が必要です。
そのため、横割り型に比べて、施工費用が高くなることが一般的です。

ただし、一部の設備変更などで済む場合は1,000万円かからないケースもあります。
現在の住宅からどのくらいリノベーションする必要があるのか、事前に確認しておくことが大切です。

二世帯住宅にリノベーションした事例

二世帯住宅にリノベーション例

二世帯住宅へのリノベーションを検討する際は費用相場だけでなく、事例も確認しておくことでイメージがしやすくなります。

ここからは、「完全分離型」「完全同居型」「部分共有型」それぞれにリノベーションした事例を紹介します。
タイプごとの事例を確認して、リノベーションの参考にお役立てください。

【事例1】完全同居型二世帯住宅

亡きお父様との思い出の詰まった家を壊したくないという思いがキッカケで、完全同居型二世帯住宅にリノベーションした事例です。
広く開放的なLDKになるよう間取りを全面改装しました。

ほかにも和室を洋室に変えたり、広いスペースにキッチンを移したりしたことで、大家族でも使いやすくアップデートしました。
キッチンの位置を変更したことで、奥様待望の対面キッチンとなり、使い勝手だけでなく、家族全員の様子を見守れるあたたかい家になっています。

【事例2】部分共有型二世帯住宅

両親の心配や、自然が豊かな場所で暮らしたいという思いがキッカケで部分共有型二世帯住宅にリノベーションした事例です。
1階にあった和室と台所をつなげ、二世帯家族が共有して過ごせるLDKに変更しました。

また、2階の洋室3つのうち2つをTVルームやプライベートルームにし、ご夫妻がゆったりと過ごせるスペースへと変貌を遂げています。
リビングで夕食を一緒に食べるというルールを設けたことで、各部屋で思い思いの時間を過ごす以外にも、自然とコミュニケーションがとれる部分共有型の魅力を最大限に活用しています。

お互いを思い合えるような、やさしい気持ちを生み出すリノベーションが実現しました。

二世帯住宅のリノベーション費用を抑えるお得な制度とは?

二世帯住宅のリノベーションには高額な費用がかかります。
しかし、国の補助金制度や減税制度を利用すれば、費用負担を減らせるかもしれません。

以下で紹介する補助金制度を賢く活用して、家庭の負担を少しでも減らしてリノベーションを実現しましょう。

補助金制度

一戸建てを二世帯住宅にリノベーションする場合に利用できる補助金制度はいくつかあります。
まずは補助金制度を活用して、少しでも費用負担を減らしましょう。

主な補助金制度として、「地域型住宅グリーン化事業」「長期優良住宅化リフォーム推進事業」「子育てエコホーム支援事業」「先進的窓リノベ事業」「給湯省エネ事業」「すまい給付金」などが挙げられます。
対象者や助成内容が制度ごとに異なるため、どの制度に当てはまるか事前に確認してみましょう。

上記以外にも、地域で行われている補助金制度があります。
例えば広島県福山市では「福山市移住者等住宅改修費補助事業」を行っており、親世帯と同居・近居の場合は補助費の上限30万円に10万円が加算される可能性があります。

お住まいの自治体で実施している補助金制度がないか、事前に確認してみてください。

減税制度

二世帯住宅にリノベーションする際は、減税制度も確認しておきましょう。
所得税の控除に利用できる減税制度は「住宅ローン減税(リフォームローン控除)」「リフォーム促進税制」の2つです。

住宅ローン減税(リフォームローン控除)は、リノベーション後の10年間、最大140万円控除される減税制度です。
リフォーム促進税制は、最大105万円がリノベーション工事を完了した年の1年分控除されます。

なお、リフォーム促進税制の制度期間は令和5年12月31日までで、令和6年度以降の実施はわかりません。
ほかにも、固定資産税の減税や贈与税の非課税措置もありますが、工事内容によって異なるため事前に確認してみましょう。

完全分離型にリノベーションする際の注意点

完全分離型の二世帯住宅にリノベーションする際には、いくつかの注意点があります。
以下では、特に注意すべき5つのポイントを紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。

ほかの二世帯住宅のタイプより高額になりやすい

完全分離型は、ほかの完全同居型や部分共有型と比べて高額になりやすいのが特徴です。
単純に住宅が1つ増える(2倍になる)ことになるので、キッチンや浴室、トイレなどすべての設備が2つ必要になります。

また、親世帯スペースに設置する設備をバリアフリーにする場合や、最新のものにした場合はさらに費用がかさむ傾向にあるため、費用をできるだけ抑えたい場合は妥協点をつくる必要があるでしょう。

予算と敷地面積でバランスを考える

完全分離型は建物の面積が通常の一戸建てよりも大きくなるため、当然土地の広さも必要です。
必然的に費用が高額になりがちですが、あらかじめ決めておいた予算をオーバーしないように考慮しましょう。

また、リノベーションにかかる費用の負担割合によって世帯ごとの予算や行いたい工事内容が変わる可能性があるため、はっきりさせておく必要があります。

将来の使い道も考えておく

二世帯住宅はいずれどちらかの世帯スペースが空くことになるでしょう。なかでも完全分離型は片方のスペースが空いた場合「空き家」の状態になります。
放置しておくと傷みやすくなってしまうため、空き家部分を賃貸として貸し出す、売却するなどの計画を事前に立てておくのがおすすめです。

世帯間での話し合いが重要

二世帯住宅のリノベーションにおいて、二世帯のうちどちらかに不満が残った場合、後々関係性が悪化する可能性があります。
話し合いをせずに各世帯がそれぞれの要望のみ施工会社に伝えても、希望が叶えられず間取りなどの工事内容が決まらず進行が遅れてしまうかもしれません。

二世帯が心地良く住めるよう、世帯間での話し合いを設けて、お互いの要望をバランス良く叶えられるようにしておきましょう。

補助金制度が活用できない可能性がある

上述ではリノベーション費用を抑える方法として活用できる補助金制度を紹介しましたが、完全分離型の場合、同居条件に該当しない可能性があるため注意が必要です。

例えば「地域型住宅グリーン化事業」には「子育てを家族で支援できる複数の世帯が同居しやすい環境」との条件があり、完全分離型の二世帯住宅には当てはまらない可能性があります。

補助金制度を活用してリノベーション工事の実施を検討している方は、事前に補助金制度の要件を確認し、わからない場合は問い合わせて確認するようにしましょう。

まとめ 二世帯住宅にリノベーションするなら完全分離がおすすめ

二世帯住宅のリノベーションには3つのタイプがあり、なかでも「完全分離型」は各世帯それぞれのプライベートを確保できるのでおすすめです。
一戸建てを完全分離型の二世帯住宅にリノベーションする際は、デザインや間取りにこだわるほかにも、家自体の面積が増えるため通常より費用が高額になるケースが多くみられます。

補助金制度や減税制度を賢く活用し、費用を抑えて実施するようにしましょう。

山根木材のリフォームはお客様のご要望をうかがい、現地調査報告書をもとにリフォームをご提案しています。完全分離型の二世帯住宅へのリノベーション工事もお任せください。

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※弊社では、広島県内を施工エリアとさせていただいています。

この記事を書いた人
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山根木材メディア編集部

ヤマネホールディングス株式会社マーケティング課が、住まいの検討やより良い暮らしに向けたお役立ち情報などを発信しています。

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