スロープ設置リフォームに最適な勾配とは?バリアフリー化の注意点は?

  • 作成日:2024/01/12
  • 更新日:2024/02/16
  • 編集者:山根木材メディア編集部
スロープ設置リフォームに最適な勾配とは?バリアフリー化の注意点は?

将来的に足腰が弱ったときのことを考えて、あるいは高齢の親が暮らしやすいように、自宅のバリアフリー化を考えている方は多いでしょう。
特に玄関アプローチの階段や家の中に段差があると、つまずいたり転倒したりするリスクがあります。
車椅子を利用している場合は、上り下りや移動が困難になります。

スロープを設置することであらゆる問題を解決できますが、スロープには適した勾配があり、傾斜を急にしすぎるとバリアフリー化の目的を満たさない可能性があるため注意が必要です。
そこで本記事では、勾配の測り方や計算方法、スロープ設置の際に失敗しないための注意点などを解説します。
スロープ設置のリフォームを検討している方は、ぜひ参考にしてください。

スロープが設置される主な理由

スロープといえば、街の商業施設や公共施設に設置されているのをよく見かけるのではないでしょうか。
近年では、住宅の玄関アプローチにもスロープを取り入れることが増えています。
スロープを設置することでどのようなメリットを享受できるのか、以下ではスロープが設置されている主な理由について解説します。

バリアフリー対策になる

スロープの設置は、主にバリアフリー対策として有効です。
例えば家の玄関アプローチに階段があると、高齢者や足の不自由な方が歩くのに苦労するだけでなく、転倒や怪我のリスクがあります。
特に雨の日や足元が見えにくくなる暗い時間帯は、少しの段差でも転倒しやすくなるため注意が必要です。

また車椅子を利用している場合、1cm以上の段差があると自力での移動が難しくなるといわれています。
玄関前の段差の多くは1cm以上の高さがあり、ほかの方のサポートが必要です。加えて、外出が煩わしくなってしまう原因にもなるでしょう。
階段や段差のある箇所をスロープにすることで自力での移動がしやすくなり、バリアフリーの目的を達成できます。

ベビーカーや自転車の通行に便利

車椅子に限らず、ベビーカーや自転車など車輪の付いた乗り物は段差があると不便です。
階段の通行が難しいため、エレベーターを探す必要があるほか、専用の昇降機を設置してもらう必要があります。

玄関アプローチなどの段差では、ベビーカーや自転車を持ち上げて運ぶ手間が生じます。
スロープになっていれば、車椅子やベビーカー、自転車のまま通行することができ、ストレスフリーに外出できるようになるでしょう。

高級感がある

スロープを設置することで高級感が出るため、家の外観を彩るおしゃれなエクステリアとして設置するケースもあります。

スロープに使われる素材を建物の色合いや雰囲気に合わせれば統一感が生まれ、おしゃれな印象にすることが可能です。
素材にはカラーやバリエーションが豊富なタイル、ナチュラルで温かみのあるレンガ、玉砂利やガラスが埋め込まれた洗い出しなどがあり、自分好みのものが選べます。
また、階段とスロープの両方を設置したデザイン性の高いアプローチも人気です。植栽や照明を利用するなど、こだわりのアプローチづくりもできます。

スロープの勾配の測り方・計算方法

スロープを設置する際に、どの程度の勾配をつけるかはとても重要です。
勾配が急なスロープだと車椅子が上り下りするのに不便な可能性もあります。
勾配はどのように測るのか、どの程度の勾配をつけると利用しやすいかなど、知っておくと便利な情報を以下で紹介します。

スロープの勾配の測り方

スロープの勾配は分数で表すのが一般的です。高さに対して水平距離をどのくらい取るかで計算します。
例えば10cmの段差を上がるのに100cmの距離を取るなら、勾配は1/10になります。

建築基準法では、スロープの勾配は1/8以下と定められています。
1/8の角度は約7.1度で車椅子が自走式の場合、介助者が後ろから押す必要があります。

一方、バリアフリー法では1/12以下を最低基準とし、屋外では1/15以下が望ましいとされています。
1/12の角度は約4.8度です。一見緩やかですが車椅子で自走するには重労働で、多くの場合介助者が必要になります。
1/15だと角度が約3.8度で車椅子での自走が可能です。

スロープの勾配の計算方法

勾配は前述の分数で表すだけでなく、パーセントで表すこともあります。
計算するには、次のような計算式を用いると良いでしょう。

  • 勾配の計算
    「勾配(%)=高さ/水平距離×(100)」
  • 傾斜角度の計算
    「角度(°)=勾配×360÷π」
  • 距離の計算
    「斜辺2(二乗)=水平距離2(二乗)+高さ2(二乗)」

例えば、高さが10cmの段差にスロープを設置する際に水平距離で120cm取る場合の計算式は以下のとおりです。

10cm/120cm×(100)=8.33%

8.33%は分数にすると1/12のため、最低限の勾配が確保されていることになります。
計算式を用いて算出するのが難しい場合は、自動計算ツールを利用するのが便利です。

スロープの設置費用

手すりを付けずにスロープだけを設置する場合の費用は20万円程度です。
手すりも設置すると40万~50万円程度になります。
手すりがあると歩行のサポートになるほか、滑ったときの転倒防止、スロープからの転落や車椅子の脱輪防止に役立ちます。

スロープ設置のスペースを確保するために外構工事が必要になる場合は、追加費用がかかるので注意しましょう。
また、スロープに使う素材によっても費用が変わります。

住宅にスロープを設置した事例

ここでは、実際にスロープ設置のリフォームをした事例を紹介します。
家族が気持ち良く暮らせる住まいにするためにも、リフォームする際の参考にしてみてください。

スロープ+手すり設置のリフォーム

家全体のリフォームとあわせてスロープと手すりを設置した事例です。
杖や歩行器を使用する家族のため、勝手口にスロープを新設しました。

日本家屋の外観に合わせて落ち着いた色調の素材を選んでいます。
勝手口の近くには、足が不自由な家族が過ごしやすいように洋室を配置したほか、勝手口から部屋へ続く廊下にもスロープを設置しました。
外への出入りがしやすくなり、車椅子を使用することになった場合でも比較的移動しやすくなっています。

住宅にスロープを設置する際の注意点

住宅にスロープを設置する方のほとんどがバリアフリー化を目的としています。
バリアフリーを実現するには、ただ段差をなくすだけでなく、基準に合わせたスロープ設置を行う必要があります。
スロープ設置にあたって注意するべきポイントを解説していくので、工事を検討する際の参考にしてください。

十分なスペースの確保が必要

スロープは緩やかな傾斜で設置する必要があります。
バリアフリー基準となると、10cmの段差にスロープを設置するには最低でも120cmの距離を取ることが定められており、屋外では150cmが望ましいとされています。
スロープが長くなるときは、9~10mごとに踊り場を設置すると良いでしょう。

また、車椅子が通るためには横幅にも十分なスペースが必要です。
最低80cmの幅があればほとんどの車椅子が通行できますが、脱輪などの危険を回避するために100cmは確保したいところです。
玄関アプローチに十分な敷地がない場合は、スロープをカーブさせたり外構を削る工事が必要になったりと、費用がかさむこともあるため注意しましょう。

設置工事費が高め

スロープ設置の工事費は、先述のとおり手すりなしだと20万円程度、手すりを付けると40万~50万円程度かかるのが一般的です。
安全性を考えると手すりを付けたり長い距離のスロープを設置する必要があり、その分費用が高くなります。

また、スロープの素材を滑りにくいものにするとより安全ですが、インターロッキングや洗い出しなどの滑りにくい素材は施工費用が高い傾向にあります。
家のエクステリアとしてデザイン性にこだわった場合も、費用が高くなることがあるでしょう。

スロープ設置の工事費用を抑えたい場合は安全性の基準を満たしつつ、家の外観を損なわないよう安く抑えられるような工夫が必要です。

勾配・幅・素材を考慮する

スロープの勾配や幅は国が定めた基準があります。
バリアフリー法と呼ばれ、不特定多数の人が利用する建築物が対象で住宅は対象外ですが、設置する際の目安にするのがおすすめです。
また、バリアフリー法には最低限の基準と、義務ではないが望ましい基準があります。
できるだけ後者の基準に近づけると良いでしょう。

勾配は1/12以下が最低限の基準ですが、屋外では1/15以下が望ましいとされています。
幅は最低限120cm以上、望ましいのは150cm以上です。
商業施設や公共施設ではすれ違うことを考慮して幅が広く設定されていますが、家の場合は100cm程度が理想です。
素材は好みや家の外観と合わせるようにするとバランスが取れますが、滑りにくいなどの安全性も確保できるものを選びましょう。

活用できる補助金・減税制度

バリアフリーを目的としたリフォームをする場合、要件を満たせば国や自治体が実施する補助金制度を利用できたり、減税制度によって控除を受けたりすることができます。
お得にリフォームできるため、対象となる工事や条件などをチェックしておきましょう。

介護保険における住宅改修費助成制度

介護保険では、要支援、要介護者が手すりの取り付けや段差の解消などの住宅改修を行った場合、かかった費用の9割が給付されます。
支給の限度額が20万円で、給付の上限は18万円です。ただし一定以上の所得がある方の場合、支給額は8割または7割となります。

手続きの流れとして、まずはケアマネージャー等に相談してください。
次に、施工業者の選択・見積りを依頼して改修プランを決めましょう。

市区町村に申請書類を提出し、審査結果の通知を受けてから着工します。
工事完了後の申請書類を提出し、審査が通ると給付金が支払われます。自治体によって提出書類や支払い方法が異なることがあるため、事前に確認しましょう。

各自治体の補助金制度

上記の制度とは別に、自治体が独自の助成制度を設けている場合があります。
例えば広島市では「高齢者等住宅改修費補助」があり、市内の要介護・要支援認定された方などを対象に、介護保険の住宅改修費助成の補完として上限60万円の補助が受けられます。
ただし、生計中心者の市民税所得割合が9万円以下であることが要件です。

また、福山市でも要介護(要支援)認定者が生活する居宅でスロープの設置や手すりの取り付けなどの工事を行う際に、住宅改修費の支給を行っています。
対象となる工事費用の20万円を上限とし、7~9割が支給されます。
負担割合は「介護保険負担割合証」で確認してください。
お住まいの市区町村にも独自の制度がないか、自治体のホームページや窓口で事前に確認してみましょう。

各種減税制度

バリアフリー化のためのリフォームを行う場合、上述のような補助金制度のほかに税金の優遇措置を受けられる可能性があります。
リフォーム減税と呼ばれ、税金の控除や減額などを受けられるため支出の負担を抑えることが可能です。
制度を知らずに損してしまうことがないよう、内容や条件をチェックしておきましょう。

①所得税

住宅特定改修特別税額控除は、バリアフリー改修工事を行った場合に一定の金額をその年分の所得税から控除できる制度です。
工事限度額200万円とし、そのうちの10%が所得税額より控除されます。
最大控除額は60万円で、ローンの利用有無にかかわらず利用できます。
対象となるのは①50歳以上の方、②要介護または要支援の認定を受けている方、③所得税法上の障害者の方、④65歳以上の方または②③に該当する方の親族と同居している方です。

②固定資産税

バリアフリー改修に係る固定資産税の減税措置では、新築後10年以上を経過した住宅についてバリアフリー改修工事を行った場合、翌年度分の固定資産税が1/3減税されます。
工事費用が補助金等の額を除いて50万円を超えるものが対象で、改修後の家屋の床面積が50㎡以上280㎡以下であることなどの要件があります。
また、①65歳以上の方、②要介護または要支援の認定を受けている方、③障害のある方のいずれかが居住していることが必要です。

まとめ 生活に合った勾配のスロープを設置しよう

家の段差をなくすためにスロープを設置すると、安全に移動できるようになるだけでなく、サポートする家族も含め快適に暮らせるようになります。
しかし、勾配の設定やスペースの確保などを十分に行う必要があり、場合によっては高額になるケースもあります。
予算や理想に合ったスロープ設置を行うには、リフォーム業者との打合せも重要です。

山根木材グループは、長く住み継がれる家づくりを目指しています。
住まいと暮らしに寄り添った提案で1万件以上の施工実績を誇ります。
スロープ設置のリフォームを検討しているのであれば、ぜひお気軽にご相談ください。

山根木材では「永く住み継がれる家づくり」を目指し、これまでに累積1万件を超える施工を手掛けてきました。
私たちはお客様の住まいと暮らしに寄り添うライフパートナーとして、ご家族の思いに耳を傾け、ライフステージの変化も見据えた、お客様の暮らしに寄り添ったリフォームプランをご提案します。

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