古民家とは築年何年?古民家の定義とメリット・デメリットを解説

  • 作成日:2024/01/19
  • 更新日:2024/10/16
  • 編集者:山根木材メディア編集部
古民家とは築年何年?古民家の定義とメリット・デメリットを解説

古民家には現代の住宅にはない独特の魅力と趣があるため、多くの方は古民家暮らしに憧れを持っています。
しかし、古民家は現在の建築基準で建てられていないことから、耐震性・断熱性などの性能面で不便を感じやすいものです。

今回の記事では、古民家の魅力とともに古民家で快適に暮らす方法や古民家生活のメリットとデメリットをまとめました。
古民家での生活に興味があるのなら、ぜひ参考にしてください。

古民家の定義とは

古民家の玄関の外観

古民家というと文字通り「昔からある住宅」を想像すると思いますが、築何年以上の住宅に限定されているのか・どのような作りの住宅を古民家と呼ぶのかなどの疑問を持つ方もいるでしょう。
古民家には明確なルールがないため、どのような住宅を古民家と呼んでも間違いではありません。
不動産の広告などで「古民家」と記載されている住宅は、特に何かの基準をクリアしているわけではないのです。
ただし、古民家再生のための活動をしている「一般社団法人古民家再生協会」では、伝統構法で建築された築50年以上の建物を古民家と定義しています。

古民家の定義

古民家の定義は登録有形文化財制度に合わせ、築50年を経過する木造軸組構法の伝統構法、または在来工法の住宅とされておりますが、
一般社団法人全国古民家再生協会での「古民家」の定義は、昭和25年の建築基準法の制定時に既に建てられていた「伝統的建造物の住宅」すなわち伝統構法としています。

引用:一般社団法人古民家再生協会 「古民家」の定義について

伝統構法と在来工法の違い

現在の日本にある住宅の大半は在来工法で建築されています。
住宅の基礎にコンクリートを施工し、基礎と住宅をしっかりつなぎ合わせた上で耐震金物・筋交・補助材を活用して耐久性を高める造りが在来工法です。

それに対して、伝統構法では基礎に「石場建て」という石を置き、柱を乗せて住宅を形にします。
建築には釘を含む金具は使用せず、全て職人が木材を加工して組み立てていきます。
在来工法と伝統構法は全く異なる構造であり、耐震性・耐久性ともに在来工法の方が優れていると考えて良いでしょう。

伝統構法と在来工法については、こちらの記事を参考にしてください。

古家と古民家は同じ意味ではない

古家と古民家は似た言葉ですが、同じ意味ではありません。
古家とは現在人が暮らしていない空き家を指します。日本では古家が年々増加し、社会問題化しています。

ただし、該当の古家が古民家である可能性は考えられるでしょう。
長期間誰も暮らさず手入れがされていなかった古家に暮らすには、非常に多くのメンテナンスが必要です。
古民家購入時には、住宅の状況のみでなくこれまでの経緯も十分確認しましょう。

古民家に暮らすメリット

和モダンな平屋空間

古民家に暮らすメリットには、次のようなものがあります。古民家には非常に多くの魅力が詰まっていると考えて良いでしょう。

広々とした特徴的な間取り

古民家の間取りはふすまや障子で部屋が区切られており、全ての部屋をつなげると広々とした開放的な空間になります。
また、現代の住宅よりも敷地面積が広いため、家族の人数が多くてものびのびと暮らせるでしょう。
広い縁側や家を囲むように作られた廊下、便利な土間のキッチンなどは今の住宅にはない特徴だと言えます。

懐かしく落ち着く空間で暮らせる

古民家最大のメリットとして、心安らぐ空間で生活できるという点があります。
おしゃれな古民家カフェや格調高い旅館のような住まいで毎日を過ごせるのです。
また、古民家には木材がふんだんに使用されているため、木の香りに包まれたリラックス効果も得られるでしょう。

通気が良く夏涼しい

古民家は開放的かつ木造建築で作られているため、風通しが良く夏も涼しく過ごせます。
庭との距離が近く、住宅の外と内の境界線が曖昧な作りであり、庭の景色を楽しみながら情緒ある暮らしが送れるのです。
さらに湿気も溜まりにくいことから、ジメジメとした季節でも快適でしょう。

購入費用を抑えられる

古民家は手頃な価格で販売されている物件が多いです。物件の状態によっては大規模なリフォームが必要ない住宅も存在するでしょう。
多少のメンテナンス費用はかかるものの、新築物件を購入するよりも手頃な価格でマイホームが手に入る可能性が高いのです。

また、住宅購入後に毎年支払い義務が生まれる固定資産税は、住宅の築年数で計算されることから、古民家は固定資産税の節税効果も得られます。
導入コストのみでなくランニングコストも計算して、住宅選定を進めましょう。

古民家に暮らすデメリット

古民家での生活には、メリットのみでなくデメリットも存在します。
古民家購入後に後悔することがないように、古民家のデメリットを理解しておきましょう。

冬場は部屋が暖まりにくく寒い

風通しが良く暑い季節に過ごしやすい古民家ですが、気密性や断熱性が低いため冬の暖房効率が下がります。
暖房をつけてもなかなか部屋が暖まらず、寒さが辛いと感じる方も多いでしょう。
特に寒冷地で古民家購入を考えているのなら、気密性や断熱性を改善するリフォームを実施するべきです。

耐震性・耐久性に不安が残る

古民家は現在の耐震基準で建築されていないため、大きな地震の揺れに耐えられない可能性があります。
古民家を購入する際には耐震診断を実施し、事前に必要な耐震リフォームを行いましょう。

古民家の耐震リフォームについては、こちらの記事で詳しく説明しています。

セキュリティ上の問題がある

古民家は開放的で出入り口が多く、住まいの外と内の境界が曖昧な間取りで作られています。
住宅を完全に施錠することが難しいため、現代の生活ではセキュリティ上の問題があると考えて良いでしょう。
入居前にセキュリティ性を向上させるリフォームを施しましょう。

リフォームに多くのコストがかかる可能性がある

状態が非常に悪い物件ではリフォームに多くのコストがかかり、結果的に新築住宅以上の費用が必要になる場合もあります。
古民家を購入する時には、事前に欠かせないリフォームの内容を確認し、用意するべき予算を明らかにしておきましょう。
リフォーム工事開始後に問題が発覚して追加工事が実施される事例も多いため、余裕を持った資金計画を立てましょう。

古民家に暮らすならリノベーションが必要

スタイリッシュな古民家のリフォーム実例

古民家に暮らすためには、一定のリノベーションが欠かせません。特に、耐震性や断熱性が低いままでは、快適かつ安全な生活を送りにくくなります。
古民家を選定する段階では、リノベーションに必要な費用と古民家の購入費用を合わせて予算を立てるようにしましょう。

古民家を購入したままの状態で暮らすことは、難しいと考えるべきです。
可能であれば第三者機関に依頼して「古民家インスペクション」を実施し、購入予定の住宅の状態を診断してもらいましょう。

古民家リノベーションの魅力やメリットについては、こちらの記事を参考にしてください。

古民家リフォームには補助金・助成金が使える場合がある

暖炉のある古民家のリビング

古民家リフォームはいくつかの補助金・助成金の対象になります。
特に、耐震性補強や省エネ化、バリアフリー化を対象とする補助金・助成金は多く、地方自治体独自の制度が用意されていることもあります。
古民家購入前に活用可能な補助金や助成金を調査すれば、リフォームに必要な費用の負担を軽くできるでしょう。

古民家リフォームが対象になる補助金・助成金についての詳しい情報は、こちらの記事を参考にしてください。

古民家暮らしがおすすめな人の特徴

古き良き日本建築の屋根と青空

古民家暮らしには、現代の住宅では得られない独特の魅力があります。
しかし、古民家に住むためには、いくつかの特徴を持った人に特に向いていると言えるでしょう。
ここでは、古民家暮らしがおすすめな人の特徴を詳しく紹介します。

自然と調和した暮らしを求める人

古民家の多くは、田舎や山間部、自然豊かな地域に立地しているため、自然と共に暮らすことが当たり前の生活環境です。
都会の喧騒を離れ、自然の音や風景に囲まれた生活は、心を癒し、リフレッシュする効果が高いです。

また、古民家の敷地には広い庭や畑がついていることも多く、ガーデニングや家庭菜園に挑戦できる環境が整っています。
自家製の野菜や果物を収穫し、それを料理に活かすなど、自然と密接に関わり合いながら自給自足の楽しさを味わえるのも、古民家暮らしならではの魅力です。

伝統的な建築様式や歴史的価値に魅力を感じる人

古民家は、昔の日本の伝統的な建築様式や技術が反映された住宅です。
太い梁や柱、土壁や茅葺屋根など、現在の住宅では見られないような建築技法や自然素材が多く使われています。
こうした建築に込められた職人技や、住宅そのものが持つ歴史的な価値に惹かれる方にとって、古民家暮らしは大きな魅力を持っています。

何百年も前に建てられた建物が今でも生活の場として使われているという事実は、過去と現在が交錯する独特の空間を作り出します。
歴史や伝統文化に興味がある方には、古民家の一つ一つの素材や造りが、新たな発見と感動をもたらしてくれるでしょう。

DIYやセルフリフォームに挑戦したい人

古民家は、築年数が長いためにメンテナンスが必要なことが多く、現代の住宅のようにすぐに快適な状態で住めるわけではありません。
そこで、DIYやセルフリフォームが好きな方にとっては、古民家は理想的な環境です。
小さな修繕やメンテナンスを自分の手で行いながら、少しずつ家を自分好みに仕上げていくことが可能です。

床材を張り替える、窓枠を新調するなど、リフォームの範囲は多岐にわたります。
自分の手を動かして家を蘇らせる過程は、愛着が深まり、家との絆を感じる瞬間となるでしょう。
日曜大工が趣味の方や、手作業で自分の住まいを作り上げることに喜びを感じる方に、古民家暮らしは大変おすすめです。

静かな環境でスローライフを楽しみたい人

古民家は都市部から離れた静かな地域に建てられていることが多く、都会の喧騒を離れた穏やかな生活が待っています。
夜には車の音や人の声がほとんど聞こえず、鳥のさえずりや風の音に耳を傾けながら、自然の中でスローライフを楽しむことができます。
ゆっくりとした時間の流れの中で、趣味や家族との時間を大切に過ごすことができるでしょう。

また、古民家には広い縁側や土間など、現代住宅にはない開放的なスペースが多く、ゆったりとした時間を過ごせる場所がたくさんあります。
日々の生活に追われることなく、のんびりと自分のペースで暮らしたい方にとって、古民家は理想的な住まいです。

家族や友人と広々とした空間で過ごしたい人

古民家の間取りは、現代の住宅に比べて広く、開放感のある空間が広がっています。
特に、ふすまや障子で部屋を仕切る構造のため、全ての部屋を一つにつなげると、広大なスペースが生まれます。
このような広々とした空間は、家族でのんびりと過ごすのに最適ですし、友人や親戚が集まるホームパーティーやイベントを開催することもできます。

また、古民家には広い縁側や庭がついていることが多く、屋外でのバーベキューやキャンプ気分を味わえる環境も整っています。
日常的に家族や友人と一緒に広い空間を使って過ごしたい方には、古民家の暮らしがぴったりと言えるでしょう。

古民家リフォームの施工実例4選

最後に、山根木材が手がけた古民家リフォームの施工実例を4つ紹介します。

夫婦二人でちょうどいい暮らしを実現

築60年の古民家が、夫婦二人でゆっくり過ごすためのコンパクトな住まいにリフォームされました。
Y様ご夫婦は、退職後にこの家でのんびりとした生活を送ることを夢見て、建て替えかリフォームかを検討されましたが、柱や梁のしっかりした造りと、幼少期から親しんできた家を残したいという想いから、リフォームを選ばれました。

リノベーションでは、もともとの1LDKの構造を生かしつつ、必要な部屋を増設し、建物性能を向上させることが重視されました。
特に、昔の鴨居を壁の中から見せることで、家全体に懐かしさを感じさせるデザインが施され、薪ストーブとの相性も抜群です。
また、和室は庭を眺めながらのんびり過ごせる空間として残し、来客時には広い空間として活用できるようにしました。

寒冷地である地域の気候に対応するため、リフォームでは高性能の断熱材が使用され、冬場でも朝の部屋の温度が10度以上を保てるようになりました。
Y様は、このリフォームによって得られた快適さに驚きと満足を感じており、理想の家に仕上がったと大変喜んでいます。

農作業を考えたリノベーションで築100年超の母屋に新しい息吹を

築100年の母屋をリノベーションした和室とリビング

築100年以上の母屋をリノベーションし、新たな息吹を吹き込んだM様邸。
農作業を考慮した設計が特徴的で、歴史ある母屋の魅力を生かしつつ、現代の暮らしに適した機能性を持たせた住まいへと生まれ変わりました。

最初は納屋の片付けから始まった計画でしたが、最終的には増築部分を農作業の場として活用し、母屋を生活の中心に据えることになりました。
暗かった和室と廊下を明るいリビングダイニングに改修し、家全体が開放的な空間に変わりました。

奥様のこだわりで、母屋の歴史的な要素である梁や玄関の飾り窓がそのまま残され、家の中に歴史の息吹を感じさせる空間が保たれています。
新設された対面式のカウンターキッチンは、リビングや庭を見渡せる開放感が魅力です。

M様ご夫婦は、このリノベーションを通じて家の快適性と利便性が大きく向上し、満足感に満ちた暮らしを送られています。
農作業と並行して行われたこのリノベーションは、古き良きものを次世代へと受け継ぎながら、現代の生活に適した住まいへと生まれ変わる成功事例となりました。

やさしい風と光を取り入れた古民家リフォーム

大きな窓から光と風が入り込む築50年の古民家リフォームのリビング

築約50年の古民家をリノベーションし、T様邸が明るく快適な住まいへと生まれ変わりました。
リフォームのきっかけは、家全体の暗さと寒さに対する不満から始まりました。
特に、北側に位置していたリビングは光が入りにくく、冬場は寒さが厳しい状況でした。

このリノベーションのテーマは「光と風」。
T様が多くの時間を過ごすLDKに、自然光と風をたっぷり取り込むため、間取りが変更されました。
リビングを暗くしていた土間部分を一部減築し、そこに新たに窓を設けることで、庭から心地よい風が通り抜け、以前は暗かった廊下も明るくなりました。

また、今回のリフォームでは、家事をラクにするための数々の工夫が施されています。
特に、洗濯動線が短くなるように設計され、洗濯から収納までの作業がスムーズに行えるようになりました。
トイレの壁には掃除がしやすいキッチンパネルを使用し、いつも清潔に保てる工夫もされています。

T様ご夫婦にとって、このリノベーションは光と風を取り入れるだけでなく、日々の生活がより快適になる大変満足のいくものとなりました。
新たな窓から入る柔らかな光と爽やかな風が、家全体を明るく温かい空間に変え、心地よい暮らしを実現しています。

蔵改装で家族との暮らしを楽しむ家

古い蔵をリノベーションした、赤いソファが特徴的なリビング

築150年の歴史を持つ蔵が、M様ご家族の新しい住まいへと生まれ変わりました。
このリフォームは、ご両親の近くで暮らしたいというM様のご希望からスタートしました。
もともと離れて暮らしていたM様ご家族が、家族一緒に過ごすために、立派な蔵を住まいに改装することを決意されました。

リノベーションでは、蔵の持つ独特の雰囲気を大切にしながらも、快適な住環境を実現するために耐震性や断熱性の向上が図られました。
M様の「蔵の風情を壊したくない」という強い要望に応えるため、水屋箪笥や階段箪笥といった蔵に元々あった家具を再利用し、新しい住まいのインテリアとして配置しました。
さらに、ご家族の趣味であるカメラや小物が、家の雰囲気を一層引き立てています。

特にこだわったのは、設備機器と自然素材の活用です。
漆喰を用いた壁や、天井から少しだけ見える梁など、古き良き蔵の趣を感じさせるディテールが随所に施されています。
1階のLDKには大画面のスクリーンが設置され、スポーツ観戦やゲームを家族全員で楽しむことができる、大迫力の空間が生まれました。

M様ご家族のこだわりと愛情が詰まったこの住まいは、元の蔵の佇まいを生かしながらも、現代の生活にマッチした快適な住空間へと生まれ変わり、ご家族で楽しむことのできる素晴らしい住まいとなりました。

魅力ある古民家での暮らしを実現しよう!

古民家には現代の住宅では再現が難しい趣があり、おしゃれな空間で生活が送れます。
住宅性能を向上させるリフォームは必要であるものの、補助金や助成金を活用すればリフォームコストも抑えられるでしょう。
今回の記事を参考に、魅力ある古民家での暮らしを実現について検討してみてください。

山根木材では「永く住み継がれる家づくり」を目指し、これまでに累積1万件を超える施工を手掛けてきました。
私たちはお客様の住まいと暮らしに寄り添うライフパートナーとして、ご家族の思いに耳を傾け、ライフステージの変化も見据えた、お客様の暮らしに寄り添ったリフォームプランをご提案します。

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この記事を書いた人
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山根木材メディア編集部

ヤマネホールディングス株式会社マーケティング課が、住まいの検討やより良い暮らしに向けたお役立ち情報などを発信しています。

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