工法別に見る階段リフォームの費用相場

階段リフォームにかかる費用は、今ある階段をどうするかという「工法」によって大きく3つの価格帯に分かれます。
まずはご自身の予算と照らし合わせて、どのリフォームが現実的かを確認しましょう。
| リフォーム内容 | 費用の目安 | 工事期間の目安 |
| 【修繕】 手すり・滑り止め | 5万〜20万円 | 半日〜1日 |
| 【上張り】 カバー工法・内装 | 20万〜50万円 | 1日〜3日 |
| 【架け替え】 交換・位置変更 | 60万〜150万円以上 | 1週間〜 |
5万円から20万円未満の手すり設置や滑り止め対策
予算を抑えつつ安全性を確保したい場合、最も手軽なのが部分的な修繕リフォームです。
既存の階段はそのまま使い、手すりの新設や、踏み板(足を乗せる板)への滑り止め設置を行います。
特に築年数が経過した木製階段は、表面が滑りやすくなっていることが多く、靴下での生活では転倒リスクが高まります。
1万円程度で施工できる滑り止めシートの施工や、15万円前後で設置できる手すりは、高齢者や小さなお子様がいるご家庭でのコストパフォーマンスが高い安全対策と言えます。
20万円から50万円前後のカバー工法と内装張り替え
階段の「見た目」と「強度」を同時に改善したい場合に最も選ばれているのが、この価格帯のリフォームです。
古いカーペットを剥がしてフローリング材に張り替えたり、「カバー工法(上張り)」と呼ばれる手法で古い階段を新品同様に蘇らせたりします。
壁紙(クロス)の張り替えも同時に行うケースが多く、階段室全体の雰囲気を明るくモダンに一新できるのが特徴です。
床材を滑りにくい素材に変更することで、安全性とデザイン性を両立できるため、内装リフォームの一環として検討される方が増えています。
60万円から150万円以上の架け替えと位置変更
「階段が急すぎて怖い」「リビングに階段を移動させたい」といった、構造的な不満を解消するには、大規模な工事が必要です。
既存の階段を撤去して新しく作り直す「架け替え」や、間取り変更を伴う「位置変更」がこれに該当します。
架け替え工事では、段数を増やして勾配を緩やかにできるため、将来のバリアフリー対策として非常に有効です。
ただし、費用は100万円を超えるケースが一般的で、周辺の壁や床の補修も必要となるため、総額の予算計画を慎重に立てる必要があります。
費用を抑えて美しくするカバー工法の特徴

階段リフォームで近年主流になりつつあるのが「カバー工法」です。
既存の階段を解体せず、その上から新しい化粧材を重ね張りする(カバーする)手法で、多くのメリットがあります。
既存の階段に化粧材を重ね張りする短期間施工
カバー工法の最大のメリットは、工事期間の短さと生活への負担の少なさです。
古い階段を解体する「架け替え」の場合、大工工事が数日に及び、その間2階への行き来ができなくなる不便さが生じます。
一方、カバー工法であれば、既存の階段の上に専用の部材を貼っていくだけなので、工事は早ければ1日で完了します。
工事中の騒音や粉塵も比較的少なく、「住みながらのリフォーム」に適した工法と言えるでしょう。
パナソニックや大建工業のリフォーム専用部材
多くの建材メーカーが、階段リフォーム専用のカバー工法部材(リフォーム階段)を販売しています。
例えば、パナソニックや大建工業(DAIKEN)などの大手メーカー製の商品は、デザインのバリエーションが豊富です。
木目調のリアルな質感はもちろん、滑りにくい加工が施された機能性部材や、ホワイトやダークブラウンなどインテリアに合わせたカラー選定が可能です。
また、階段の先端部分(段鼻)には視認性を高める工夫が施されているなど、リフォーム専用品ならではの安全性も魅力です。
廃材処分費を削減できるコストメリット
費用面での大きなメリットは、解体工事費と廃材処分費を大幅にカットできる点です。
階段を解体すると大量の木材や廃棄ゴミが出ますが、カバー工法ではこれらがほとんど発生しません。
浮いた予算を、よりグレードの高い床材選びや、手すりのデザインアップに回すことができるため、限られた予算内で満足度の高いリフォームを実現する賢い選択肢として注目されています。
悩みと目的で選ぶ階段リフォームの解決策

階段リフォームを検討するきっかけはご家庭によって様々です。
ここでは代表的な悩み別に、最適な解決策をご紹介します。
急な勾配を緩やかにする架け替えと段数増加
古い住宅、特に昭和中期以前に建てられた家では、今の基準では考えられないほど急な角度の階段が存在します。
これを解消するには、「架け替え」によって段数を増やすのが根本的な解決策です。
例えば、これまで13段で上がっていた高さを14段や15段に増やすことで、1段あたりの高さ(蹴上げ)を低くし、勾配を緩やかにします。
これには階段の設置スペースを前後に広げる必要があるため、廊下やホールの面積に余裕があるか、プランニングの段階で確認が必要です。
リビング階段への変更と寒さ対策の間仕切り設置
「家族のコミュニケーションを増やしたい」という理由で、廊下にある階段を「リビング階段(リビングイン階段)」に変更するリノベーションが人気です。
しかし、導入後に後悔しやすいのが「寒さ」の問題です。
暖かい空気が階段を通じて2階へ逃げてしまうため、冬場の暖房効率が下がることがあります。
この対策として、階段の入り口に引き戸(間仕切り)やロールスクリーンを設置する、あるいは階段自体の断熱性を高めるリフォームをセットで行うことが推奨されます。
機能と快適性のバランスを考えた設計が重要です。
転倒事故を防ぐ手すりと足元照明のバリアフリー化
高齢の方や小さなお子様がいるご家庭では、転倒事故防止が最優先です。
手すりは、昇り降りの動作を支えるために、可能であれば両側に、スペースが難しければ下りる際の利き手側に連続して設置するのが基本です。
また、夜間の安全対策として「フットライト(足元灯)」の設置も効果的です。
人感センサー付きの照明を選べば、スイッチを探すことなく自動で足元を照らしてくれるため、踏み外しによる事故を未然に防ぐことができます。
デザイン性を高めるおしゃれな階段リフォーム事例

階段は単なる通路ではなく、インテリアの一部として空間の印象を大きく左右します。
機能性だけでなく、デザインにもこだわったリフォーム事例をご紹介します。
開放感を演出する鉄骨製のスケルトン階段
圧迫感をなくし、光や風を通す「スケルトン階段(オープン階段)」は、モダンな空間づくりに最適です。
蹴込み板(段と段の間の板)がないため、視線が奥まで抜け、部屋を広く見せる効果があります。
木製の踏み板とスチールの骨組み(鉄骨)を組み合わせたデザインは、カフェのようなおしゃれな雰囲気を演出できるため、リビング階段として採用されるケースが増えています。
デッドスペースを活用した階段下収納の造作
階段の下の空間は、リフォームによって便利な収納スペースとして生まれ変わります。
掃除機や日用品をしまうクローゼットとして扉をつけるのはもちろん、あえて扉をつけずにオープンな飾り棚や、ワークスペース(書斎)として活用するアイデアもあります。
構造上抜けない柱がある場合もありますが、空間を無駄なく活用したい方にはおすすめのプランです。
空間のアクセントになるアイアン手すりの採用
階段の印象をガラリと変えるのが「手すり」のデザインです。
既製品の木製手すりから、オーダーメイドのアイアン手すりに変更するだけで、洗練された印象になります。
黒いアイアンは空間を引き締め、白い壁や木目の床とのコントラストが美しく映えます。
細身のデザインを選べば、視覚的な重たさも解消されます。
階段リフォームで活用できる補助金制度

2025年も、省エネやバリアフリーを目的としたリフォームに対して、国からの補助金制度が継続・実施されています。
これらを賢く活用することで、費用負担を軽減できる可能性があります。
上限20万円が支給対象となる介護保険の住宅改修
要支援・要介護認定を受けている方がお住まいの場合、「介護保険の住宅改修費支給制度」が利用できます。
手すりの取り付け、段差の解消、滑り止めの防止、床材の変更などの工事が対象となり、支給限度基準額20万円の9割(所得によっては7~8割)までが支給されます。
ケアマネジャーとの事前相談が必要ですので、早めに確認しましょう。
2025年度版:子育てグリーン住宅支援事業による補助
2025年度は、国土交通省による「子育てグリーン住宅支援事業」が実施されており、高い省エネ性能を有する住宅の新築だけでなく、リフォームも補助の対象となっています。
この事業では、「①開口部の断熱改修」「②外壁、屋根・天井又は床の断熱改修」「③エコ住宅設備の設置」のいずれかが必須工事として定められています。
これらの必須工事とセットで行う場合に限り、階段の手すり設置や段差解消といったバリアフリー改修も補助対象となります。
例えば、「寒い廊下の窓を断熱リフォームするついでに、階段に手すりをつける」といったケースで活用可能です。
詳細は以下の公式ホームページをご参照ください。
(参考:https://kosodate-green.mlit.go.jp/)
失敗しないために確認すべき工事の注意点

最後に、リフォーム工事をスムーズに進めるために、事前に確認しておくべき注意点をお伝えします。
架け替え工事期間中の2階への生活動線確保
階段を架け替える場合、工事期間中は階段が使えなくなります。
数日間は1階と2階の行き来ができなくなるため、その間、2階の寝室ではなく1階で就寝できるように場所を確保するか、仮住まいを検討する必要があります。
また、家具の移動が必要になることもあるため、工事スケジュールと生活動線については、施工業者と綿密な打ち合わせが必要です。
建築基準法で定められた階段幅と蹴上げ高さ
階段のサイズは、建築基準法によって最低限の寸法が定められています。
一般住宅の場合、階段幅は75cm以上、蹴上げ(1段の高さ)は23cm以下、踏み面(奥行き)は15cm以上という決まりがあります。
リフォームで階段の位置を変えたり、形状を変更したりする場合でも、この基準を満たす必要があります。
「もっと急でもいいから省スペースにしたい」といった要望は、法律上実現できない場合があることを知っておきましょう。
まとめ

階段のリフォームは、手軽なカバー工法から大規模な架け替えまで、目的と予算に合わせて多様な選択肢があります。
老朽化対策だけでなく、バリアフリー化やデザイン性の向上、さらにはリビング階段による家族のつながりなど、リフォームによって得られるメリットは多大です。
2025年の「子育てグリーン住宅支援事業」などの補助金制度も活用しながら、現在の不満を解消し、将来まで安心して暮らせる安全で美しい階段を手に入れてください。
まずは信頼できるリフォーム会社に現地調査を依頼し、自宅に最適なプランを提案してもらうことから始めましょう。
山根木材では「永く住み継がれる家づくり」を目指し、これまでに累積1万件を超える施工を手掛けてきました。
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