自宅のリフォームの中でも、人気のある工事の一つが畳からフローリングへの張り替えです。
畳からフローリングに変える費用は、素材や工事の方法により異なります。
今回はフローリングに張り替えるリフォームの費用や素材別のメリット、合わせて検討したいリフォーム内容などを紹介します。
自宅をより過ごしやすい空間にするために、ぜひご確認ください。
畳からフローリングにリフォームする費用一覧
畳からフローリングにリフォームする場合、どのような工法でフローリングに変えるか、フローリングへの張り替え以外にどのような工事をするかによって費用が変わります。
よくある工事内容と費用の目安は、部屋の広さを6~8帖とすると次の通りです。
工事内容 | 費用 |
フローリングへの張り替え | 張り替え工法:9〜30万円 重ね貼り工法:6〜14万円 |
壁紙の張り替え | 3〜5万円 |
壁紙と天井の張り替え | 10〜20万円 |
押し入れからクローゼットへの変更 | 8〜25万円 |
床暖房の導入 | 30〜90万円 |
ふすまからドアへの変更 | 3〜22万円 |
和室から洋室への変更 | 50〜100万円 |
ただし、上記の費用はあくまでも目安です。
実際の費用は部屋の大きさや工事の内容、使う素材などによって異なるため、施工会社に問い合わせることをおすすめします。
畳からフローリングにする際の2つの方法とメリット・デメリット
畳からフローリングに変える方法には、張り替え工法と重ね貼り工法があります。
どちらにもメリットとデメリットがあるので、両方理解したうえでどちらを採用するか決めることが重要です。
2つの工法について、詳しくみていきましょう。
畳からフローリングに張り替え(張り替え工法)
張り替え工法とは、もともとの畳をすべて剥がしてベニヤを貼り、その上に新たにフローリングを貼る工法です。
畳を剥がしたあと、下地の補修や断熱工事をすることもあります。
張り替え工法のメリットは以下の通りです。
- フローリング下に湿気がこもる心配がほぼない
- 工事の際に段差をなくし、バリアフリーにすることも可能
張り替え工法では畳を取り除いたうえでフローリングを貼るので、床が高くならずに済みます。
フローリングの厚さを調整すれば、段差をなくしてつまづきにくい仕様にすることも可能です。
一方、張り替え工法には以下のようなデメリットがあります。
- 工数が多いため費用が高く、施工期間も長い
- 技術力がなければきれいに仕上げるのは難しい
張り替え工法の費用が高く、工期が長くなりやすいのは、畳を剥がす作業が必要で、場合によっては下地の補修なども行うからです。
費用を節約する方法としてはDIYがありますが、張り替え工法は技術力が必要な工法なので、完成度の点でも完成後の安全性の点でもおすすめはできません。
畳の上にフローリングを重ねて張る(重ね張り工法)
重ね貼り工法は、既存の畳の上からフローリングを貼る工法です。
畳を剥がす必要がないため手軽にでき、DIYでも用いられることがあります。
重ね貼り工法のメリットは以下の通りです。
- 施工が簡単で低予算でできる
- 工期が短く、多くみても数時間で済む
重ね貼り工法では、張り替え工法のように畳を剥がしたり下地の補修をしたりしないため、低予算・短時間で行えます。
施工前の掃除や家具の移動などを含めても、数時間で終わるでしょう。
一方、重ね貼り工法には以下のデメリットがあります。
- 施工に際して下地を確認しないため、下地のカビやシロアリに対処できない
- 畳とフローリング材との間に湿気がこもりやすい
- 段差が生じて見栄えが悪くなりがち
重ね貼り工法では畳の下を確認せずに工事を進めるため、下地にカビやシロアリが発生していても気づかないままとなります。
また、畳の上からフローリングを貼るため床が高くなる点にも要注意です。
廊下と段差ができて見栄えが悪くなるだけでなく、入室時につまづきやすくなる可能性があります。
畳からフローリングにリフォームするメリット
続いて、畳からフローリングにリフォームするメリットとして以下の3点を解説します。
- 家族が集まる広いLDKを作れる
- 老後の生活や介護に適している
- 掃除やメンテナンスがしやすい
家族が集まる広いLDKを作れる
和室がリビングに隣接している場合は、和室をフローリングにしてリビングとつなげることで広々としたLDKになります。
例えば両親や孫、友人が来た場合でも狭さを感じることなく、皆がゆったり過ごせるようになるでしょう。
同じ家にいるのにそれぞれがすぐに和室や客室、自室に戻ってしまうというお悩みの解消につながり、皆で充実したおうち時間を過ごせます。
また、和室に窓がある場合は、LDKと一体化することでリビングまで窓の光が届くようになり、空間が明るくなります。
老後の生活や介護に適している
和室をフローリングにすると、老後の生活や介護にも適応しやすくなります。
年齢を重ねると、立ち上がる時や寝転がる時の負担を考えて布団ではなくベッドを選択する人も多いです。
また、介護が必要になった場合には介護用の重いベッドや器具を部屋に置くことになります。
その際、畳よりもフローリングの方が必要な物を置きやすく、老後の生活や介護に適した部屋にできるのです。
部屋を出入りする際、わざわざスリッパを脱いだり履いたりしなくて良い点もポイントです。
掃除やメンテナンスがしやすい
フローリングの部屋には、畳の部屋よりも掃除やメンテナンスがしやすいというメリットもあります。
フローリングなら他の洋室と同じようにフロアワイパーで掃除ができ便利です。
市販のワックスシートやワックススプレーで、汚れがつきにくくすることも可能です。
一方、畳は隙間に挟まったゴミや埃を取り除いたり、水拭き後に乾拭きが必要だったりと掃除に手間がかかります。
湿気やカビにも注意しなければならないため、フローリングにした方が手軽かつ綺麗に部屋を保ちやすくなります。
畳からフローリングにリフォームするデメリット
畳からフローリングへのリフォームには多くのメリットがありますが、以下のようなデメリットもあります。
- 床に座った時に冷えを感じやすい
- 畳に比べて防音性に劣る
それぞれについて解説します。
床に座ったときに冷えを感じやすい
フローリングは畳よりも冷えやすいため、フローリングに変えると冬にはひんやりと感じることがあります。
特に戸建ての1階だと床が冷たく感じやすいので、断熱材が入っていなかったり断熱性能が低かったりする場合は、断熱材の導入もご検討ください。
また、フローリングは畳よりも硬く、足が疲れると感じることもあります。
よく使う場所にはラグを敷くと足の疲れが緩和されます。
畳に比べて防音性に劣る
フローリングは畳よりも防音性が低いため、フローリングに変えると音が響くように感じることがあります。
次の章で解説する複合フローリングを選ぶ場合は、遮音性も意識してみましょう。
無垢フローリングを使いたい場合は、防音マットを使ったり、防音材のついた種類を選んだりしてください。
なお、マンションではフローリングの遮音性能がLL45以下あるいはLL40以下になるよう管理規約で定められていることがあります。
遮音性能はL値の数字が小さいほど高いとされます。
事前に規定を確認し、条件を満たしたフローリングを選びましょう。
畳からフローリングにリフォームする際におすすめの素材と費用
畳からフローリングにリフォームする際には、どの素材を選ぶかも重要なポイントです。
主な素材と費用は以下の通りです。
素材 | 費用 |
無垢フローリング | 33~45万円 |
複合フローリング | 25~35万円前後 |
クッションフロア | 約12万円 |
フロアタイル | 6~7万円 |
素材によって特徴も違うので、それぞれについて詳しく確認していきましょう。
無垢フローリング
無垢フローリングとは、木材を1枚の混じり気のない板にして、細長い形にカットしたものです。
ほんのりと温かみが感じられ、素材によって柔らかいものもあるので、赤ちゃんやお年寄りの方がいるご家庭でも安心です。
主な無垢材の種類と特徴を見てみましょう。
素材 | 特徴 |
オーク | 安価ながら耐久性が固く、木目が美しい。一方で、断熱性は低め。 |
タモ | 滑らかな肌触りと均一な木目が魅力。価格は高い傾向にある。 |
パイン | 節のあるナチュラルな見た目で、安価ながら断熱性が高く、衝撃もよく吸収する。一方で、傷つきやすい。 |
クルミ | 光沢があり、柔らかいながらも衝撃に強い。価格は高め。 |
ウォールナット | 色合いに深みがあり、整った木目が特徴。耐久性も高いが、価格は高め。 |
ヒノキ | 明るい色合いで耐久性が高く、防虫効果がある。価格は高め。 |
メープル | 白っぽく艶があり、滑らかな肌触りで傷がつきにくい。価格は高め。 |
チーク | 耐水性と耐久性が高い。価格は高め。 |
ローズウッド | 紫がかった濃い色で光沢がある。耐久性があるが価格は高め。 |
サクラ | 多様な木目が特徴で耐久性が高い。種類により価格帯は異なる。 |
無垢フローリングのメリット・デメリットや施工費用については、こちらをご覧ください。
複合フローリング
複合フローリングは、原木を薄くむいた木を重ねた合板の表面に、木目をプリントした化粧シートや薄くスライスした天然木を貼ったものです。
無垢フローリングよりもコストは低く、無垢フローリングに見られがちな温度や湿気に対する弱さもありません。
そのため、床暖房を入れたい時にもおすすめです。
また、表面にコーティングを施して傷つきにくくしたり、滑りにくくしたりすることも可能です。
クッションフロア
クッションフロアとは、ビニール製でクッション性のある床材を指します。
表面は透明ビニールで覆われており、その下には発泡層、不織布やビニール層が重なっています。
無垢フローリングや複合フローリングに比べると見た目は劣りますが、木目や石目をはじめ、さまざまなプリントが施されておりバリエーション豊富です。
クッションフロアの特徴は、防水性や衝撃への耐性、階下への防音性に優れていることです。
木が痛むことを気にせず気軽に水拭きもできるので、簡単にお手入れできます。
こうした性質からトイレなどの水回りに使われることの多い素材です。
柔らかく飲み物や食べ物をこぼしても汚れが染み込みにくいため、小さなお子さんのお部屋にも使いやすいでしょう。
クッションフロアのメリット・デメリットや施工費用については、こちらをご覧ください。
フロアタイル
フロアタイルは、クッションフロアと同じ塩化ビニール素材でできたタイル状の素材です。
クッションフロアよりも硬さがあるため、重い家具を置いても跡がつく心配はほぼありません。
床に並べて置くだけのタイプやはめ込みタイプ、接着タイプなどがあり、施工が簡単な点が特徴です。
また、床の一部が汚れたり痛んだりした場合には、その部分のタイル交換だけで対応できます。
畳からフローリングへの変更を検討している人におすすめのリフォーム
畳からフローリングにリフォームすると、部屋の雰囲気がガラリと変わります。
それに合わせて、その他の部分も一緒にリフォームしたいという方も多いです。
そこでここでは、フローリングへのリフォームと合わせて行うと良いリフォームを紹介します。
壁のリフォーム
畳からフローリングにリフォームするなら、壁も合わせて変更することがおすすめです。
和室の場合、壁は砂壁になっていることが多いです。
そのまま床だけをフローリングにすると、床は洋風なのに壁は和風といったようにちぐはぐ感が生まれることがあります。
砂壁の上から壁紙を貼るだけのリフォームも可能なので、和室から洋室への変更を考えている場合はぜひ、壁のリフォームもご検討ください。
壁リフォームの費用相場や素材別のメリット・デメリットについては、こちらをご覧ください。
砂壁リフォームでできることや費用相場については、こちらをご覧ください。
襖のリフォーム
襖も砂壁同様に和風な印象が強いため、フローリングへのリフォーム時に変更して、部屋に統一感を持たせることがポイントです。
変更方法としては、引き戸に変える方法と開戸に変える方法があります。
引き戸に変える場合の費用は3〜10万円です。
開戸に変える場合は枠ごと交換する必要があるので、12〜15万円程度かかります。
例えば車椅子の方が出入りするなら引き戸の方が便利でしょう。一方、防音性を求めるなら開戸の方がおすすめです。
襖のリフォーム費用や種類ごとのメリット・デメリットについては、こちらをご覧ください。
引き戸リフォーム費用やメリット・デメリットについては、こちらをご覧ください。
押入れをクローゼットに
押入れも、床をフローリングに変える際に合わせてリフォームすると良い部分です。
襖を外してカーテンやロールスクリーンを設置するだけでも、洋風な見た目に寄せられます。
また、寝室として使っていた和室をフローリングに変える場合、押入れから布団を出し入れする必要がなくなり、押入れの用途が変わることもあるでしょう。
広い押入れは布団を収納するのには便利でも、服や家電、小物などを収納するには仕切りなどが少なく不便という場合があります。
そこで、押入れに仕切りを増やしたりハンガーバーを設置したりすれば、新しい部屋に合った収納スペースとして有効活用できるようになります。
押入れのリフォームにかかる費用は10〜20万円程度です。
見た目の点でも、使いやすさの点でもリフォームを検討してみましょう。
押入れリフォームの費用相場やおしゃれに仕上げることについては、こちらをご覧ください。
段差をなくしてバリアフリー化
畳をフローリングに変える際は、段差を調整するリフォームを検討することも重要です。
和室では厚みのある畳を敷く分、床の高さが低くなっていることがあります。
そのまま畳よりも薄いフローリングに取り替えると、廊下よりも部屋の床が低くなることがあるのです。
重ね貼り工法で畳の上からフローリングを貼る場合は、反対に部屋の床が高くなって段差が生まれることもあります。
特に小さなお子さんや高齢の方は小さな段差でもつまづきやすいので、安全のためにも段差をなくすリフォームは重要です。
バリアフリーリフォームの費用相場や補助金については、こちらをご覧ください。
小上がりの設置
部屋の一部のみをフローリングにして、畳も一部残す場合は、小上がりの設置を考えてみてください。
和室を縮小する形で残せば、リフォーム後も引き続き畳の上で寝たりくつろいだりできます。
小上がりの段差部分を椅子のようにして座って休憩することも可能で、部屋の中で家族がそれぞれ楽な姿勢で過ごせる空間になるでしょう。
さらに、畳の部分だけを高くすることで空間にメリハリや立体感が生まれ、おしゃれな印象になります。
小上がりの段差部分を収納スペースにして、部屋をスッキリさせることも可能です。
小上がりの設置にかかる費用は、4畳ほどで25万円からが相場です。
小上がりのメリット・デメリットや活用方法については、こちらをご覧ください。
畳からフローリングにリフォームした実例
ここからは、山根木材が実際に行った、畳からフローリングへのリフォーム実例を紹介します。
生活スタイルの変化に対応するためのリフォームや、機能性を高めるためのリフォームなどがあるのでぜひご確認ください。
実例①和室を洋室に替え二世帯住宅に
こちらは、築45年の家を二世帯住宅にするためにリフォームした実例です。
和室はすべて洋室に変え、寝室として活用したり、もともと洋室だった部分とつなげて大きなLDKにしたりして、それぞれの世帯が過ごしやすい空間となりました。
特に、子世帯の居住空間である2階の床には無垢のパイン材を採用し、明るい印象を演出しています。
さらに、押入れや床の間もクローゼットやユニットバスに変え、二世帯で住む人数が増えても使いやすい、現代のライフスタイルに合う住まいになりました。
実例②畳から抗ウイルス対応フローリングへ
こちらも、二世帯での暮らしに向けて行われたリフォーム実例です。
隣接する2つの和室をフローリングに変えてつなげることで、一緒に住む家族が増えても皆で集まりやすいリビングが実現しました。
リビングと洋室にはウイルスを不活性化させる「抗ウイルスフローリング」を採用したり、ヒートショックやアレルギーを軽減させる風の出ない輻射冷暖房を採用したりと、健康に気遣った工夫も。
同時に家の傾きも直し、安全・快適に過ごせる住まいになりました。
実例③暗い印象の和室を明るく広々としたLDKに
こちらは、お祖父様、お祖母様の家を受け継ぐにあたって行われたリフォームの実例です。
暗い印象のあった和室はフローリングに変え、隣接するLDとつなげて明るく広々としたLDKに。
全体的に淡い木目調と白を基調としたインテリアを取り入れ、アクセントとしてブルーを入れることで爽やかで開放感のある住まいになりました。
床・壁・天井に断熱施工をし、窓にはペアガラスを採用することで、冬の寒さや夏の暑さにもしっかり対応しています。
畳からフローリングに張り替える費用を知りリフォームを検討してみよう
畳からフローリングに変える費用は、フローリングの素材や工事方法によって異なります。
予算と照らし合わせながら、こだわりの空間になるようリフォームプランを考えてみましょう。
部屋に統一感を持たせるため、襖や押入れなどを合わせてリフォームすることもおすすめです。
畳をフローリングに変えると部屋が明るくなります。
他の洋室とつなげて空間を広く見せたり、老後のライフスタイルにも備えたりできるので、ぜひフローリングへのリフォームをご検討ください。
※弊社では、広島県内を施工エリアとさせていただいています。