家族全員の衣類をまとめて管理できるファミリークローゼットは、家事の負担を劇的に減らすリフォームとして注目されています。
特に、既存の「押入れ」を活用したリフォームや、マンションの限られたスペースへの「後付け」は、コストを抑えつつ生活の質を向上させる有効な手段です。
この記事では、押入れをクローゼット化する際の具体的な費用相場や、失敗しないための工事のポイント、使いやすい間取りのアイデアを詳しく解説します。
ファミリークローゼットの種類と家事楽動線

ファミリークローゼットとは、家族全員の衣類や荷物を個室ではなく共有スペースに一箇所に集約した収納のことです。
洗濯物を取り込んでから各部屋に配る手間がなくなり、「洗う・干す・しまう」の家事動線がシンプルになります。
計画を立てる際は、大きく分けて「ウォークスルータイプ」と「ウォークインタイプ」の2種類から、ライフスタイルに合った形状を選ぶことが大切です。
行き止まりのない回遊型ウォークスルー
ウォークスルータイプは、出入り口が2箇所以上あり、クローゼットの中を通り抜けられる形状です。
たとえば「洗面所から入って廊下へ抜ける」「寝室から入ってリビングへ抜ける」といったように、生活動線の一部に組み込むことができます。
このタイプの最大のメリットは、移動のついでに収納や着替えができるため、自然と片付けの習慣がつきやすい点です。
帰宅後に玄関から洗面所へ向かう途中に設置すれば、上着やカバンをスムーズに収納でき、リビングに荷物が散らかるのを防げます。
一方で、通路スペースを確保する必要があるため収納効率はやや下がりやすく、通り抜けのための動線設計が重要になります。
収納力重視の独立型ウォークイン
ウォークインタイプは、出入り口が一箇所で、部屋のように中に入って使用する独立した空間です。
壁面を3面すべて収納として使えるため、収納力を最大限に確保できるのが大きな特徴です。
季節外の家電やスーツケース、布団など、かさばる荷物もまとめて収納したい場合に適しています。
また、個室としての性質が強いため、内部で着替えを済ませる更衣室としての機能を持たせることも可能です。
ただし、出入り口が一つしかないため、家族の出発時間が重なる朝などは混雑する可能性があります。
また、奥の荷物が取り出しにくくならないよう、整理整頓のルール作りが必要になります。
パターン別ファミリークローゼットリフォーム費用相場

ファミリークローゼットを作るためのリフォーム費用は、既存のスペース(押入れなど)を活用するか、新たに部屋を作り変えるかによって大きく異なります。
ここでは、工事の規模ごとに4つのパターンに分けて、おおよその費用相場と工事内容を解説します。
押入れの棚撤去とハンガーパイプ設置は2万円から10万円
最も手軽で費用を抑えられるのが、既存の押入れを簡易的にクローゼットとして使う方法です。
押入れの中にある「中段(布団を置くための棚)」を撤去し、上部にハンガーパイプを取り付ける工事が基本となります。
この場合、襖(ふすま)はそのまま利用するか、取り外してオープン収納にするケースが多いです。
内装のクロス貼り替えなどを行わず、最低限の機能変更だけであれば、費用は2万円から10万円程度に収まります。
「見た目は気にしないので、とにかくコートやワンピースを掛けられるようにしたい」という方や、予算を優先したい方におすすめのリフォームです。
押入れの扉交換を含むクローゼット化は15万円から35万円
押入れの使い勝手だけでなく、見た目も洋風に変えたい場合のプランです。
中段の撤去とハンガーパイプ設置に加え、和風の襖を撤去して、使いやすい「折れ戸」や「3枚連動引戸」などのクローゼット扉に交換します。
また、押入れ内部のベニヤ板にクロスを貼って仕上げたり、床をフローリングに張り替えたりすることで、完全に洋室の一部として馴染ませることができます。
費用相場は15万円から35万円程度です。湿気対策として内部に調湿建材を使ったり、可動棚を追加したりする場合は、さらに費用が追加されますが、機能性とデザイン性を両立させた満足度の高いリフォームになります。
部屋の一角への後付け新設は20万円から80万円
既存の収納スペースがない場所に、新しくファミリークローゼットを「後付け」する場合の費用です。
たとえば、広い寝室やリビングの一角に間仕切り壁を立てて、ウォークインクローゼットのスペースを造作します。
壁の設置、内装工事、扉の取り付け、電気配線工事などが必要になるため、費用は20万円から80万円程度と幅広くなります。
部屋の広さは少し狭くなりますが、生活動線の良い場所に自由なサイズで収納を作れるのが大きなメリットです。
「マンションで収納が足りない」「リビングに散らかる服を隠したい」といった悩みを解決するのに適しています。
空き部屋の完全改装は50万円から100万円
使っていない子供部屋や納戸などの個室を、丸ごとファミリークローゼットにリノベーションする場合です。
部屋全体の内装を一新し、壁一面にシステム収納を組み込んだり、中央にアイランド型の収納を配置したりと、本格的な衣装部屋を作ります。
この規模になると、壁や床の補強、断熱工事、窓の結露対策、専用の照明計画なども含めることが多く、費用は50万円から100万円、こだわりの仕様にする場合はそれ以上かかることもあります。
大量の衣類をショップのように美しく収納したい方や、家事室(ランドリールーム)と一体化させて究極の家事動線を作りたい方に選ばれています。
和室の押入れをファミリークローゼット化する工事手順

和室にある「押入れ」は、一般的なクローゼットよりも奥行きが深く、そのままでは衣類収納として使いにくいことがあります。
しかし、適切な工事を行うことで、収納力抜群のファミリークローゼットに生まれ変わらせることが可能です。
ここでは、押入れ特有の課題を解決するための工事手順を解説します。
中段を撤去しロングコートを掛けられる高さへ変更
押入れには通常、上下を分ける「中段」という頑丈な棚板が設置されています。
布団を収納するには便利ですが、ロングコートやワンピースなどの丈の長い衣類を掛けるには邪魔になります。
クローゼット化の第一歩は、この中段を解体・撤去することです。
中段を外すことで、床から天井までの高さをフルに使えるようになり、ハンガーパイプを高い位置に設置できるようになります。
ただし、中段は壁の構造体と強く固定されていることが多いため、DIYでの撤去は難しく、壁の補修が必要になるためプロの業者に依頼するのが確実です。
襖を折れ戸やロールスクリーンへ交換し開口部を拡大
押入れの襖(ふすま)は、左右どちらか半分しか開かないため、中央部分の荷物が出し入れしにくいというデメリットがあります。
これを解消するために、全開口できる「折れ戸(クローゼットドア)」や、開口部を広く取れる「3枚引戸」に交換します。
コストを抑えたい場合や、通気性を重視したい場合は、扉を付けずに「ロールスクリーン」や「カーテン」で目隠しをする方法も人気です。
扉をなくすことで、狭い部屋でも扉の開閉スペースを気にする必要がなくなり、洗濯物を持って両手が塞がっている時でもスムーズに出入りできるようになります。
奥行き80cmの深さを活かす前後2列のハンガー配置
一般的なクローゼットの奥行きが60cm程度であるのに対し、押入れは約80cm〜90cmの奥行きがあります。
この深さを活かすために、ハンガーパイプを「前後2列」に配置するテクニックが有効です。
奥の列にはオフシーズンの服や使用頻度の低い礼服などを掛け、手前の列には普段着を掛けます。
または、奥側を棚にしてバッグや帽子を収納し、手前をハンガーパイプにするレイアウトもあります。
単純に一本のパイプを通すだけでは奥のスペースが無駄になってしまうため、奥行きの深さを逆手に取った立体的な収納計画を立てることが、収納量を増やす鍵となります。
人が入るための床下地補強と結露対策
押入れを「ウォークイン」として使い、人が中に入って作業をする場合は、床の強度に注意が必要です。
押入れの床は荷物を置くために作られていますが、人が歩き回ることを想定していない薄いベニヤ板の場合があります。
リフォームの際は、人が乗ってもたわまないよう、床の下地を補強し、フローリングなどを貼って仕上げます。
また、押入れは外壁に面していることが多く、断熱材が入っていないと結露が発生しやすくなります。
衣類をカビから守るために、壁に断熱材を入れたり、調湿効果のある壁紙やパネルを貼ったりする湿気対策も工事の重要なポイントです。
マンションやリビングへのクローゼット後付け手法

マンションなどの集合住宅では、間取りの変更に制約があることが多いですが、工夫次第でファミリークローゼットを後付けすることができます。
限られたスペースを有効活用し、快適な収納環境を作るためのリノベーション手法を紹介します。
リビングの一角を間仕切り壁で囲う壁面収納の新設
リビングは家族が集まる場所であり、衣類や学用品、カバンなどが散らかりやすい場所でもあります。
そこで、リビングの壁面全体、あるいは一角を間仕切り壁で囲い、大容量の「壁面クローゼット」を新設する方法があります。
完全に部屋として区切らなくても、天井までの引き戸やパーテーションで仕切るだけで、来客時には中を隠せるスッキリとした空間になります。
奥行きが確保できない場合は、ハンガーを斜めに掛けるスライド金具を使ったり、畳んだ服を収納する棚をメインにしたりすることで、わずか45cm程度の奥行きでも機能的なクローゼットを作ることが可能です。
玄関横や廊下と居室を繋げるウォークスルー増設
マンション特有の長い廊下や、玄関横の個室をうまく活用して「ウォークスルー」型の収納を作る手法です。
たとえば、玄関横にある洋室の壁を開口して廊下と繋げ、帰宅してそのままクローゼットを通り抜けてリビングや洗面所へ行ける「通り抜け動線」を作ります。
このリフォームにより、玄関に靴やコートが溢れるのを防ぎ、花粉やウイルスをリビングに持ち込まない衛生的な動線を確保できます。
壁の一部を壊して扉をつける工事が必要になりますが、間取りの使い勝手を劇的に改善できるため、子育て世帯に非常に人気のあるリノベーションです。
北側の個室を丸ごと衣装部屋にするリノベーション
「日当たりが悪く、結露しやすい北側の部屋」や「物置状態になっているサービスルーム」がある場合、その部屋を丸ごとファミリークローゼットとして再生させるのがおすすめです。
個室としての機能を割り切り、壁一面にハンガーパイプや可動棚を設置します。
部屋の中央に作業台(アイランドカウンター)を置けば、洗濯物を畳んだりアイロンを掛けたりする家事スペースとしても活用できます。
この場合、既存の窓を二重窓(インナーサッシ)にして断熱性を高めることで、大切な衣類を湿気やカビから守ることができます。
後悔しない間取りレイアウトと寸法のポイント

ファミリークローゼットを作ったものの、「狭くて使いにくい」「湿気がこもる」といった失敗例は少なくありません。
快適に使い続けるためには、広さだけでなく、通路幅や環境設備にも配慮が必要です。
設計段階で押さえておくべき重要なポイントを解説します。
ハンガー同士が干渉しない通路幅60cmの確保
ウォークインクローゼット内で人がスムーズに動くためには、適切な「通路幅」の確保が不可欠です。
衣類をハンガーに掛けると、壁から約55cm〜60cmの幅を取ります。
その手前で人が立ち、服を選んだり着替えたりするためには、最低でも60cm以上の通路幅が必要です。
もし両側の壁にハンガーパイプを設置する場合、収納部分(約60cm×2)と通路(約60cm)で、最低でも横幅180cm程度のスペースが必要になります。
無理に収納量を増やそうとして通路を狭くすると、圧迫感が出るだけでなく、すれ違いができずにストレスの原因となります。
限られたスペースの場合は、片側を奥行きの浅い棚にするなどの調整が有効です。
湿気がこもらない換気扇設置とサーキュレーター活用
クローゼットは衣類の繊維から出るホコリや湿気が溜まりやすい場所です。
特に押入れをリフォームした場合や、窓のない場所に新設した場合は、空気の循環が悪くなりがちです。
湿気がこもるとカビやダニが発生し、大切な衣類を傷める原因となります。
リフォームの際には、必ず「換気扇」を設置するか、空気が通り抜ける給気口を設けましょう。
工事で換気扇を付けるのが難しい場合は、コンセントを設置してサーキュレーターや除湿機を常時稼働できるようにしておくことが重要です。
扉を通気性のあるルーバータイプにするのも効果的です。
アイロン掛けもできるコンセント増設と照明計画
ファミリークローゼットを単なる「物置き」ではなく「家事室」として活用するためには、電気設備の計画も忘れてはいけません。
内部でアイロン掛けをしたり、コードレス掃除機の充電をしたりするために、使いやすい位置にコンセントを増設しておきましょう。
また、照明選びも重要です。
服の色味が正しく見えるよう、明るく自然な色の照明(昼白色など)を選びます。
影ができにくい配置にするか、棚ごとに照明を仕込むことで、奥にしまった服も見やすくなり、探し物の時間を短縮できます。
人感センサー付きのライトにすれば、洗濯物を持って両手が塞がっている時でも自動で点灯・消灯してくれるので非常に便利です。
まとめ

ファミリークローゼットへのリフォームは、単に収納場所を増やすだけでなく、毎日の家事負担を減らし、家族の時間を作り出すための投資です。
- 費用相場: 押入れ活用なら2万円〜35万円、後付け新設なら20万円〜80万円程度が目安。
- 押入れ活用: 奥行きを活かした2列配置や、中段撤去でコート掛けスペースを確保するのがポイント。
- 後付け: マンションでもリビングや廊下の動線を活用して設置可能。
- 注意点: 通路幅60cmの確保と、徹底した湿気対策が成功の鍵。
現在の住まいの不満点や、家族のライフスタイルに合わせて、「ウォークスルー」か「ウォークイン」か、あるいは「押入れ活用」か「後付け」か、最適なプランを検討してみてください。
使いやすいファミリークローゼットがあれば、家の中は自然と片付き、暮らしにゆとりが生まれるはずです。
山根木材では「永く住み継がれる家づくり」を目指し、これまでに累積1万件を超える施工を手掛けてきました。
私たちはお客様の住まいと暮らしに寄り添うライフパートナーとして、ご家族の思いに耳を傾け、ライフステージの変化も見据えた、お客様の暮らしに寄り添ったリフォームプランをご提案します。
今なら「リフォームまるわかり大辞典」を無料進呈中です。お問い合わせ・資料請求は、下記お問合せフォームからお気軽にご連絡ください。
※弊社では、広島県内を施工エリアとさせていただいています。










