日々生活していくなかで、今の玄関に対し「収納を増やしたい」「もっと広くしたい」「見栄えを良くしたい」などと感じている方は多いのではないでしょうか。
しかし、実際に玄関リフォームを検討し始めると、どのようなリフォームが良いのか、費用はどれくらい必要か、などの疑問点が出てきます。
本記事では、玄関リフォームの種類や費用相場、相場より安くするために活用できる補助金制度などを、玄関リフォームの事例も交えながらご紹介します。
玄関リフォームを検討している方はぜひ参考にしてください。
玄関リフォームのメリット
玄関リフォームにはどのようなメリットや目的があるのでしょうか。
実際に始める前に、どのような目的でリフォームするのか明確にしたり、リフォームのメリットを確認したりしておくことで、依頼したい内容が見えてきます。以下で詳しくご紹介します。
快適性の向上
築年数による経年劣化や環境の変化などによってドアの建て付けが悪くなったり、収納が足りなくなったりした場合は、リフォームによって使い勝手を良くすることが可能です。
また、玄関は熱の出入りが多く、湿気がこもりやすい場所でもあるので、玄関ドアのリフォームによって断熱性や風通しが向上します。
防犯性の向上
玄関をリフォームすることで防犯性の向上が可能です。
空き巣などの犯人は侵入に5分以上かかると諦めるケースが多いといわれています。
玄関ドアの鍵の構造を複雑にしたり、指紋認証やカードのタッチで開けるタイプ、鍵の閉め忘れを防ぐオートロック式などの機能を備え付けたりすることで防犯性を高められます。
バリアフリー化
将来の生活を見据えたときに、階段の段差が辛くなったり、介護などで手助けとなる設備が必要になったりすることが考えられるでしょう。
これらを解決するために、バリアフリー化を目指して玄関リフォームを検討する方は少なくありません。
階段に手すりを付けたり、車椅子を使う可能性を考えてスロープを設置したりするリフォームで介護に備えられます。
玄関リフォームの種類と費用相場
ここからは、玄関リフォームの種類と費用相場をご紹介します。
玄関リフォームにかかる費用は平均で50万円前後ですが、どのくらいリフォームしたいのか、どこをリフォームしたいのかによって費用は大きく変わります。
以下は、玄関リフォームの種類別に費用相場をまとめたものです。
種類 | 費用 |
玄関ドア交換 | 1万~10万円程度 |
玄関ドアの鍵交換 | 20万~50万円程度 |
玄関の内装・外装を変更 | 5万~80万円程度 |
玄関収納の設置 | 20万~40万円程度 |
玄関の収納スペースの追加 | 1~3畳あたり30万~50万円程度 |
玄関間口・広さ変更 | 30万~50万円程度 |
玄関の位置変更 | 150万~300万円程度 |
費用相場は種類によって大きく異なります。以下でそれぞれ詳しい内容を解説します。
玄関ドアの鍵交換
玄関ドアの鍵交換の費用相場は1万〜10万円程度で、鍵の防犯性を高めたい場合や鍵が回りにくくなったときにおすすめのリフォームです。
ただし、どのようなタイプの鍵にするかによって費用が異なります。鍵のタイプ別の費用相場は以下のとおりです。
鍵のタイプ | 費用相場 | 特徴 |
ピンシリンダー/ディスクシリンダー | 1万~1.5万円 | 一般的な鍵のタイプ |
ディンプルシリンダー | 1.5万〜2.5万円 | 防犯性が高い |
カードキー | 7万~15万円 | ドアの開け閉めが簡単で、防犯性が高い |
暗証番号錠 | 5万~12万円 | 鍵やカードがなく紛失する恐れがない |
生体認証錠 | 10万~40万円 | 最も便利で防犯性が高い |
玄関ドア交換
玄関ドア交換の費用相場は20万〜50万円程度と、施工方法によって費用が異なります。
ドアのみ交換の場合は既存のドア枠に合うドアを設置するため選択肢は限られますが、費用は6万〜20万円程度と最も安く抑えられます。
開き戸タイプの玄関ドアを引き戸タイプに変えるリフォームの場合、費用相場は30万〜50万円程度です。
間口を広くできるため、車椅子やベビーカーを使う方におすすめのリフォームです。断熱材や複層ガラスが使われた断熱ドアは、熱の出入りを抑えます。
最近の玄関ドアは断熱性能が向上しているうえ、風通しの良さや採光などの機能も備わっています。
費用相場は50万〜60万円程度です。
玄関の内装・外装を変更
玄関の内装や外装を変更するリフォームの費用相場は5万〜80万円程度です。
リフォーム内容によって費用は大きく異なります。
例えば土間の床材にする場合、費用相場は5万〜15万円ほどです。床材にはコンクリートやタイル、珪藻土、天然石などの選択肢があります。
アプローチをつくるリフォームの場合、費用相場は玄関前だけなら20万〜30万円、道路から玄関までの約3〜4mなら30万〜80万円程度です。
滑りにくい床材にして雨の日の転倒を防ぐなど、安全性を高めたい場合におすすめです。
一方、ベビーカー・車いすを使う方や階段の上り下りが困難な高齢者の方にはスロープの設置がおすすめで、費用相場は20万〜50万円程度です。
玄関収納の設置
玄関収納の設置費用の相場は5万〜40万円程度です。
カウンター収納の費用相場は5万〜10万円程度で、収納の上に物が置けて収納スペースを増やせるだけでなく、カウンターを活用してインテリアも楽しめます。
壁面収納の費用相場は10万〜40万円程度で、収納力が高く見た目もすっきりとした印象になります。
吊戸棚収納の費用相場は10万円程度です。
壁の上部や天井に取り付けるタイプの収納棚で、玄関土間のスペースを確保したい方におすすめします。
玄関の収納スペースの追加
玄関の収納スペースを追加する場合の費用相場は、1〜3畳あたり30万〜50万円程度です。
玄関には靴だけではなく、傘や子どもの遊び道具、アウトドアグッズなどを置いている方も多いため、収納スペースを追加することで玄関の見た目をすっきりと見せることができます。
靴が多くて収納スペースが足りない場合は、玄関の壁面にシューズインクローゼットを新設するのも良いでしょう。費用相場は20万〜30万円程度です。
玄関間口・広さ変更
今の玄関の広さではリフォームしづらいと考える方も少なくないでしょう。
しかし、建物のタイプによっては廊下や隣接する部屋を活用して玄関を広げることができます。
「収納スペースを増やしたい」「段差を解消したい」「玄関の中に自転車やバイクを入れたい」などの悩みに有効なリフォームです。
どのくらい広くするのか、施工方法やリフォーム内容によっても異なりますが、費用相場は30万〜50万円程度です。
玄関の位置変更
「収納スペースを充実させたい」「もっと広くしたい」などのスペースの問題や、「昼でも玄関の採光を確保しづらい」「目の前の道路に面していて騒音に悩んでいる」などの環境による問題は、玄関の位置を変更することで解決できる可能性があります。
元の玄関の位置を納戸にしたりトイレにしたりと、暮らし方に合わせた間取り変更が可能です。
費用相場は150万〜300万円程度で、築年数が経ったことで上記のような悩みをお持ちの方におすすめです。
リフォームの事例紹介
ここからは、玄関リフォームの事例をご紹介します。
実際に玄関リフォームを行った方はどのような悩みがあり、どのようなリフォームを実施したのでしょうか。
理想の玄関にするためにリフォームを検討されている方は、参考にしてみてください。
【事例1】玄関ドア交換リフォーム
築35年の玄関ドアの老朽化により、鍵がかかりにくくなったことがきっかけで依頼されたリフォーム事例です。
長い年月を経てたくさんの人を迎えてきた玄関ですが、ドアの滑りが悪くなったり建て付けが悪くなったりと不具合が出てきました。
玄関ドアの味のある雰囲気を変えずに、似た形状で和紙調の特注ガラスを使用した玄関ドアに交換しました。
工事日数はわずか1日で終わり、外観と馴染む見た目を維持しながら老朽化による不具合を改善しています。
【事例2】玄関間口を広げるリフォーム
来客時に玄関で話を済ませることが多いため、家の奥まで入らなくてもおもてなしができるようにしたいと依頼されたリフォーム事例です。
玄関間口を広げる大きな工事を行い、お客様をおもてなしするためにさまざまな工夫が凝らされています。
室内からでも四季を感じられるようにと坪庭を眺められる窓を設置し、閉鎖的に感じやすい壁よりも、大きな窓を設けることで開放感のある空間を実現しました。
ほかにも間接照明を取り入れたり思い出のあるものを残したりして、お客様に自慢できる素敵な玄関になりました。
【事例3】玄関位置の変更リフォーム
「いずれは1階だけで生活が完結できるようにしたい」という思いがきっかけで実施したリフォーム事例です。
庭を広くすることも目的に、玄関の位置を変更する大掛かりな工事になりました。また、玄関の位置を変更したことで洗面室、脱衣室、お風呂へと続く動線が短くなり、家事動線の確保にも役立っています。
玄関リフォームに活用できる補助金制度
玄関リフォームを検討しているものの、費用が気になり悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
費用を安く抑える方法として補助金制度の活用が有効です。
ここからは活用できる補助金制度の種類やポイント、注意点などを解説していきます。
既存住宅における断熱リフォーム支援事業
既存住宅における断熱リフォーム支援事業は、断熱材やガラスなどの高性能建材を使用したリフォームが対象となる補助金制度で、断熱タイプの玄関ドアを導入する場合も補助対象です。
補助金額の上限は戸建てとマンションで異なり、戸建ては120万円、マンションは15万円(玄関ドアの改修工事を含む場合は20万円)となっています。
また、補助率は建材にかかる経費の3分の1以内です。
子育てエコホーム支援事業
子育てエコホーム支援事業は、主に子育て世帯・若者夫婦世帯による高い省エネ性能を有する新築住宅の取得や、住宅そのものの省エネ改修などに対する支援制度です。
リフォームの場合、補助額の上限(※)は子育て世帯・若者夫婦世帯が上限30万円/戸、その他の世帯が上限20万円/戸です。
(※)子育て世帯・若者夫婦世帯が既存住宅購入を伴う場合は、上限60万円/戸
(※)長期優良リフォームを行う場合は、
- 子育て世帯・若者夫婦世帯:上限45万円/戸
- その他の世帯:上限30万円/戸
次世代省エネ建材支援事業
次世代省エネ建材支援事業は住宅の省エネ化を促進するための補助金制度で、一定基準を満たす省エネ建材を使用したリフォームにも適用されます。
玄関ドアの場合は「断熱パネル」または「潜熱蓄熱建材」のいずれかの建材を使用したリフォームが対象です。
補助金額の上限は戸建てが200万~300万円、マンションが125万円で、補助率は2分の1です。
※すでに終了しており、次の募集に関して2024年4月現在公開されていません。
長期優良住宅化リフォーム推進事業
長期優良住宅化リフォーム推進事業は、耐震性や耐久性などの住宅の機能性向上のためのリフォームを対象としています。
玄関リフォームでは断熱ドアの設置や玄関スペースの拡大などが補助対象です。
補助率は3分の1で、上限は評価基準型の住まいは100万円、認定長期優良住宅型が200万円です。
※すでに終了しており、次の募集に関して2024年4月現在公開されていません。
介護保険の高齢者住宅改修費用助成制度
高齢者住宅改修費用助成制度は、介護保険の制度です。
要支援・要介護状態の認定を受けている方を対象としており、手すりの取り付けや段差の解消、開き戸タイプの玄関ドアを引き戸タイプにするなどのバリアフリーリフォームを対象としています。
上限額は20万円、負担割合は所得額によって異なり、年間を通して受け付けています。
その他各自治体の補助金制度
リフォームの補助金制度は、国が実施しているもの以外にも地方自治体が独自で行っているものも活用可能です。
自治体によって異なりますが、なかには玄関リフォームやその他リフォームに適用できるものもあるため、ぜひ積極的に活用してみましょう。
「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」や、各市区町村役場のホームページなどから確認できます。事前に確認してみてください。
補助金制度を活用した玄関リフォームで快適な暮らしに
今回は玄関リフォームの種類や費用相場を、事例を交えつつご紹介しました。
玄関リフォームの際は費用を抑えるために補助金制度も積極的に活用しながら、リフォーム業者に依頼してみてください。
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