「そろそろ古くなったキッチンを新しくしたいな」「子供が独立したから、間取りを見直して夫婦二人の暮らしやすい家にしたい」。
住まいの改修を考え始めたとき、「リフォーム」と「リノベーション」という言葉をよく耳にするかと思います。
これらは同じように使われがちですが、実は意味や目的、工事の規模が大きく異なります。
自分たちの希望を叶えるためには、どちらが適切なのかを正しく理解することが大切です。
この記事では、リフォームとリノベーションの基本的な違いから、具体的な費用相場、メリット・デメリット、そして「私たちの場合はどっち?」という疑問に答えるための選び方まで、専門家が分かりやすく徹底解説します。
この記事を読めば、理想の住まいづくりに向けた第一歩が踏み出せるはずです。
【結論】リフォームとリノベーションの違いが一目でわかる比較表

まずはじめに、リフォームとリノベーションの最も重要な違いを一覧表にまとめました。
全体像を掴むために、ぜひ参考にしてください。
| 比較項目 | リフォーム(Reform) | リノベーション(Renovation) |
| 目的 | 原状回復 (マイナスをゼロに戻す) |
価値の創造・向上(ゼロからプラスを生む) |
| 工事規模 | 部分的・小規模 (設備の交換、内装の張替えなど) |
全面的・大規模 (間取り変更、構造補強など) |
| 間取り変更 | 基本的に不可 | 可能 |
| 費用相場 | 50万円 ~ 500万円 | 500万円 ~ 2,000万円 |
| 工期 | 数日 ~ 1ヶ月程度 | 3ヶ月 ~ 6ヶ月以上 |
このように、リフォームは「修繕」、リノベーションは「刷新」と考えるとイメージしやすいでしょう。
次章から、それぞれの意味についてさらに詳しく解説していきます。
「リフォーム」と「リノベーション」の基本的な意味と定義の違い

言葉の意味を深く知ることで、両者の違いがより明確になります。
英語の語源も踏まえながら、それぞれの本質的な定義を理解しましょう。
リフォームとは「元に戻す」ための原状回復工事
リフォーム(Reform)は、「re(再び)」と「form(形作る)」を組み合わせた言葉で、老朽化したり、汚れたり、壊れたりした部分を新築に近い状態に回復させることを指します。
いわば、マイナスの状態になってしまった住まいを、新築時のゼロの状態へと戻すための工事です。
例えば、古くなったシステムキッチンを最新モデルに入れ替えたり、剥がれてきた壁紙を新しく張り替えたりするのが典型的なリフォームです。
工事は比較的小規模で済むことが多く、工期も短く、費用も抑えやすいのが特徴です。
あくまで「元に戻す」ことが目的なので、家の基本的な構造や間取りに手を加えることはありません。
暮らしの中での不便や劣化を解消し、快適さを取り戻したい場合に適した選択肢と言えるでしょう。
リノベーションとは「新たな価値を加える」ための大規模改修工事
リノベーション(Renovation)は、「re(再び)」に「novo(新しくする)」を意味する「innovation(革新)」が合わさった言葉です。
その意味の通り、既存の建物に対して大規模な工事を行い、新築時とは異なる新しい価値や機能を付け加えることを指します。
これは、ゼロの状態から暮らしに合わせてプラスの価値を創造する工事です。
例えば、壁を取り払ってリビングとダイニングを一つに繋げたり、耐震性能や断熱性能を向上させたり、デザインを一新して全く違う雰囲気の空間に作り変えたりすることがリノベーションにあたります。
間取りの変更を伴うことが多く、工事は大規模になり、工期も長く費用も高くなる傾向があります。
しかしその分、自分たちのライフスタイルや好みに合わせた、世界に一つだけの住まいを実現できるのが最大の魅力です。
どっちを選ぶべき?目的と希望から考える最適な選択

「私たちの場合は、リフォームとリノベーション、どっちを選べばいいの?」という疑問に答えるため、具体的な目的や希望に合わせた選び方のポイントを解説します。
こんな人にはリフォームがおすすめ
リフォームは、今ある住まいの良いところは活かしつつ、気になる部分だけをピンポイントで改善したい方におすすめです。
以下のような希望をお持ちの場合は、リフォームを検討してみましょう。
- 古くなった設備を新しくしたい
10年以上使ったキッチンやお風呂、トイレなどを最新の設備に入れ替えることで、使い勝手や省エネ性能が格段に向上します。 - 内装の雰囲気だけ変えたい
壁紙の張替えや床材の変更だけでも、部屋の印象は大きく変わります。
コストを抑えて気分を一新したい場合に最適です。 - 特定の不便を解消したい
廊下に手すりをつけたり、玄関の段差をなくしたりといったバリアフリー化もリフォームに含まれます。 - とにかく費用と期間を抑えたい
工事範囲が限定的なため、リノベーションに比べて費用を大幅に抑えられ、工事中の仮住まいも不要なケースが多いです。
こんな人にはリノベーションがおすすめ
リノベーションは、今の住まいの間取りやデザインに満足しておらず、ライフスタイルに合わせて根本から作り変えたい方におすすめです。
- 家族構成の変化に合わせて間取りを変えたい
子供部屋を二つに分けたり、逆に壁を取り払って広いリビングを作ったりと、今の暮らしに最適な間取りを実現できます。 - 中古物件を購入して、自分好みの空間に一新したい
新築よりも安く中古物件を購入し、浮いた予算でデザインや内装にこだわったリノベーションをする方が、結果的に理想の住まいをお得に手に入れられる場合があります。 - 家の性能を向上させたい
デザインだけでなく、耐震補強や断熱材の追加工事を行うことで、家の資産価値を高め、より安全で快適な暮らしを送ることができます。 - 新築では難しい好立地に住みたい
人気のエリアでは新築用の土地が見つかりにくくても、中古物件なら見つかる可能性があります。
立地を最優先したい方にもリノベーションは有効な選択肢です。
【費用比較】リフォームとリノベーションの価格相場

住まいづくりの計画で最も気になるのが費用です。
ここでは、リフォームとリノベーションの一般的な価格相場を解説します。
リフォームの費用相場は50万円~500万円
リフォームは工事内容によって費用が大きく変動します。
あくまで目安ですが、箇所別の費用相場は以下の通りです。
複数の工事を組み合わせることで、総額が変わってきます。
- キッチンの交換 50万円 ~ 150万円
- 浴室(ユニットバス)の交換 70万円 ~ 150万円
- トイレの交換 20万円 ~ 50万円
- 壁紙(クロス)の全面張替え 30万円 ~ 60万円(3LDKの場合)
- 外壁の塗り替え 80万円 ~ 150万円
このように、気になる箇所を絞って計画的に行うことで、予算をコントロールしやすいのがリフォームの特徴です。
リノベーションの費用相場は500万円~2,000万円
リノベーションは、内装や設備を全面的に刷新するため、費用も高額になります。
費用の目安は、1㎡あたり10万円~20万円程度で計算されることが多く、例えば70㎡のマンションをフルリノベーションする場合、700万円~1,400万円が一つの目安となります。
戸建ての場合は、構造補強や外壁工事も加わるため、さらに高くなる傾向があります。
どこまでこだわるか、どのような素材を使うかによって費用は大きく変動するため、複数の会社から見積もりを取り、計画を慎重に立てることが重要です。
費用は高くなりますが、新築物件を購入するよりは安く抑えられるケースも少なくありません。
メリット・デメリットを徹底比較
どちらの選択が最適か判断するために、それぞれのメリットとデメリットを比較してみましょう。
リフォームのメリット・デメリット
メリット
- 費用が安い
工事範囲が限定されるため、リノベーションに比べて費用を抑えることができます。 - 工期が短い
内容によりますが、数日から1ヶ月程度で完了する工事が多く、生活への影響を最小限にできます。 - 完成形をイメージしやすい
設備の入れ替えや内装の変更など、改修後の状態を想像しやすいため、「イメージと違った」という失敗が少ないです。
デメリット
- 設計の自由度が低い
間取りの変更はできないため、抜本的なデザイン変更や動線の改善は難しいです。 - 資産価値の向上は限定的
あくまで修繕が目的なので、住宅の機能や価値が大きく向上することはありません。 - 見えない部分の問題は解決されない
壁や床下の配管や構造体の劣化はそのまま残るため、別の箇所で次々とメンテナンスが必要になる可能性があります。
リノベーションのメリット・デメリット
メリット
- 設計の自由度が非常に高い
間取り、デザイン、素材など、すべてを自分たちの好みに合わせて一から作り上げることができます。 - 物件の資産価値を高められる
耐震性や断熱性を向上させることで、建物の性能が上がり、資産価値の維持・向上につながります。 - 物件探しの選択肢が広がる
新築にこだわらず、中古物件も視野に入れることで、希望する立地で住まいを見つけやすくなります。
デメリット
- 費用が高額になる
大規模な工事になるため、費用は高額になり、予算管理が重要になります。 - 工期が長い
設計から完成まで半年以上かかることも珍しくなく、その間の仮住まいが必要になる場合もあります。 - 完成形をイメージしにくい
何もない状態から作り上げるため、完成後の空間を正確に想像するのが難しく、設計者との綿密な打ち合わせが不可欠です。
写真で見る工事事例
言葉や図だけでは伝わりにくい違いを、具体的な事例で見ていきましょう。
【リフォーム事例】キッチン・お風呂の部分改修
長年使い続けて暗い印象だったキッチンを、最新の対面式システムキッチンに交換。
壁紙も明るい色に張り替えることで、空間全体が見違えるように明るくなりました。
また、タイル張りで冬は寒かった在来工法の浴室を、保温性の高いユニットバスに入れ替え。
限られた予算と短い工期で、毎日の家事やお風呂の時間が快適になる、満足度の高い改修を実現しました。
このように、特定の悩みを解決するのがリフォームの得意分野です。
【リノベーション事例】間取り変更で実現した理想の住まい
細かく部屋が仕切られていた築30年の中古マンションを、一度スケルトン状態(骨組みだけ)にして全面的に改修。
リビングを仕切っていた壁を撤去し、光と風が通り抜ける開放的なLDKを実現しました。
内装は無垢材のフローリングや漆喰の壁など自然素材にこだわり、家族が自然と集まる心地よい空間に生まれ変わりました。
このように、元の間取りにとらわれず、ライフスタイルに合わせて住まいをゼロから再構築できるのがリノベーションの醍醐味です。
リフォーム・リノベーションで後悔しないための共通の注意点
最後に、どちらの工事を選ぶ場合でも知っておくべき共通の注意点を3つご紹介します。
想定外の追加工事で費用がかさむ可能性
特に古い建物の改修では、壁や床を剥がしてみたら、シロアリの被害や構造材の腐食、雨漏りなど、予期せぬ問題が見つかることがあります。
その場合、補修のための追加工事と費用が必要になり、工期も延長される可能性があります。
計画段階で、予期せぬ事態が発生した場合の対応や費用のことについても、施工会社としっかり話し合っておくと安心です。
ローンは住宅ローンより金利が高くなる傾向
改修費用をローンで支払う場合、「リフォームローン」を利用するのが一般的です。
しかし、リフォームローンは住宅ローンに比べて金利が高め(2.0%~4.0%程度)に設定されていることが多く、返済期間も短い傾向があります。
中古物件の購入と同時にリノベーションを行う場合は、物件価格と工事費用をまとめて住宅ローンと同等の低い金利で借りられる「リフォーム一体型ローン」がおすすめです。
資金計画は早めに金融機関や施工会社に相談しましょう。
大規模工事では仮住まいが必要になる場合も
リノベーションのように住まい全体に手を入れる工事や、水回りのリフォームで長期間キッチンやお風呂が使えなくなる場合は、一時的に別の場所に住む「仮住まい」が必要になります。
仮住まいの家賃や2度の引越し費用など、工事費以外にもコストがかかることを念頭に置いておきましょう。
また、お子様の通学などを考えると、仮住まい先を探すエリアも限られてくるため、早めに準備を進めることが大切です。
よくある質問
ここでは、リフォームとリノベーションに関してよく寄せられる質問にお答えします。
Q. 「改築」や「改装」との違いは?
「改築」と「改装」も住まいに関わるよく似た言葉です。
「改築」は、建築基準法で定義されており、建物の全部または一部を取り壊し、用途や規模がほぼ同じ建物を建てることを指します。
一方、「改装」は、内外装の模様替えを行うことで、リフォームとほぼ同じ意味で使われることが多いです。
一般的に、リノベーション>改築>リフォーム・改装 の順で工事規模が大きくなるイメージです。
Q. マンションでもリノベーションはできますか?
はい、マンションでもリノベーションは可能です。
ただし、いくつか注意点があります。
まず、マンションには個人が所有する「専有部分」と、住民全員で共有する「共用部分」(玄関ドア、窓、バルコニーなど)があり、工事ができるのは専有部分のみです。
また、管理規約で床材の遮音性能や工事可能な曜日・時間などが定められている場合がほとんどなので、計画前に必ず管理組合に確認が必要です。
特に、キッチンや浴室などの水回りの位置は、配管の関係で移動に大きな制限があるため注意しましょう。
まとめ
リフォームとリノベーションは、似ているようで全く異なるアプローチの住まいづくりです。
- リフォームは、経年劣化した住まいを新築の状態に戻すための部分的な「修繕」です。
- リノベーションは、今ある住まいに新しい価値を加えるための全面的な「刷新」です。
どちらが良い・悪いということではなく、ご自身の目的やライフスタイル、予算に合わせて最適な選択をすることが何よりも大切です。
今回の記事で解説したそれぞれの違いやメリット・デメリットを参考に、ご家族でじっくり話し合い、理想の住まいづくりを実現してください。
山根木材では「永く住み継がれる家づくり」を目指し、これまでに累積1万件を超える施工を手掛けてきました。
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