古民家の趣を残しつつ、一年中快適に過ごせる住まい。
そんな理想を叶えるのが、古民家の断熱リフォームです。
すきま風や夏の暑さといった悩みを解消し、伝統的な雰囲気を守りながら、現代の暮らしに合わせた快適な空間を実現します。
この記事では、古民家の断熱リフォームの方法や費用、注意点などを詳しく解説します。
古民家の雰囲気が好きだけれど、寒さや暑さが気になる方は、ぜひ参考にしてください。
古民家に断熱リフォームが有効な理由
古民家には昔ながらの風情や魅力がある一方、そのままでは現代の暮らしには合わない部分もあります。特に寒さ対策は重要です。
断熱リフォームをすると、古民家でも快適に過ごせるようになります。その理由をわかりやすく解説します。
風情を残して機能的な住まいにできる
古民家には、現代ではなかなか手に入らない太い木材が用いられていることが多く、欄間や床の間といった伝統的な建築要素も数多く残されており、新しい家にはない魅力があります。
しかし、日本の古い住宅は、家を湿気や腐食から守るために風通しの良さを重視した構造となっており、部屋全体をあたためる現代のエアコンなどの暖房器具との相性が悪く、冬の寒さや夏の暑さが気になるという方も少なくありません。
そこで有効なのが、古民家の魅力を最大限に活かしつつ、断熱リフォームによって現代の生活に合った快適な住まいへと生まれ変わらせることです。
断熱性を高めれば一年を通して快適な室温を保てるようになり、光熱費の削減にもつながります。
特に、古民家の趣を残しながら、機能的な住まいを実現したい方に、断熱リフォームはとてもおすすめです。
資源を生かし伝統的な住まいを保全できる
古民家を大切に使うことは、昔ながらの魅力的な住まいを残せるだけでなく、環境にも優しい選択です。
新しい木を伐採せずに済むので、自然を守ることに繋がります。
また、空き家問題の解決にも役立つため、地域によっては古民家のリフォームを応援する補助金などの制度もあります。
実家の古民家をリフォームするのはもちろん、お気に入りの古民家を見つけて、理想の暮らしを始める人も増えています。
その際、快適な古民家ライフを送るためには、断熱リフォームと耐震リフォームが特に大切です。
古民家に最適な断熱リフォーム
古民家の断熱リフォームに興味があっても、実際にどのような工事が行われるのか、具体的にイメージできない方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、古民家の構造に合わせた最適な断熱方法をお伝えします。
床
古民家の床は構造上、どうしても冷えを感じやすい場所です。
そのため、断熱リフォームでは、まず床板の状態を確認し、最適な防寒対策を検討しましょう。
床板の下に断熱材を入れる場合には下地をしっかりと作り、防湿シートを敷いて湿気対策を行うのが一般的です。
その他、床板を剥がさずに、床下から断熱材を吹き付ける方法もあります。
また、床板の隙間をコーキング材で埋めるだけでも隙間風を軽減でき、断熱効果を高めることができます。
和室の場合は、畳を上げると囲炉裏が現れることもあります。
もし囲炉裏を残したいなら断熱材を全面に敷き詰めず、囲炉裏部分を避けて施工することも可能です。
天井
古民家の天井を暖かくするには、まず天井裏のスペースを確認します。
もし天井裏に十分な広さと強度があれば、天井を剥がさずに断熱材を入れることが可能です。
また、天井の断熱リフォームで忘れてはいけないのが、屋根の状態チェックです。
古い古民家の場合、屋根と天井の間に広い空間があることが多いので、そこに断熱材を入れると、とても暖かくなります。
ただし、屋根に傷みがあるとそこから雨漏りしてせっかくの断熱材がダメになってしまうこともあるので注意が必要です。
昔の瓦は丈夫ですが、その下の土や木材は雨の侵食などによって傷んでいることがあります。
そのため、屋根の点検と修理は欠かせません。
天井の断熱材をしっかり守るためにも、屋根の状態をしっかり確認しましょう。
壁
古民家の壁は床や天井、窓など様々な箇所と繋がっているため、解体は慎重に行う必要があります。
基本は既存の壁の上から断熱材を入れますが、構造や材料によって最適な方法は異なります。
壁を解体する場合は、柱などを傷つけないよう細心の注意が必要です。
断熱材を入れると湿気がこもりやすくなるため、吸湿性のある自然素材を使うのがおすすめです。
例えば木材、漆喰、珪藻土などを活用しましょう。
これらの「調湿建材」は、古民家でよく使われる素材と相性が良く、結露対策にも効果的です。
壁の構造や材料、そして自然素材の特性を理解し、最適な断熱リフォームを検討しましょう。
窓
古民家の窓は一枚ガラスで隙間風が入りやすく、冬は寒くなりがちなので、断熱リフォームによって複層ガラスへの取替えや、二重窓を設置するのが効果的です。
複層ガラスは、一つの窓に二枚のガラスが取り付けられており、外の冷気が室内に伝わりにくい構造をしています。
ただし、古い建具やガラスは、現代では作られていない貴重なものも多く、歴史的な価値がある場合もあります。
もし元の建具を残したいなら内窓を設置して二重窓にするのがおすすめです。
内窓を取り付けることで、既存の窓の雰囲気を損なわずに断熱効果を高めることができます。
古民家断熱リフォームに湿度対策も重要
古民家の断熱リフォームでは湿度対策が重要なポイントです。
近年の暖房器具は性能が向上し、室内を暖かく保てるようになった一方、結露や湿気が発生しやすいといった側面もあります。
湿気が溜まるとカビが生えたり、建物の土台が腐ってしまったりする原因に繋がります。
対策として、断熱材を施工する際に防湿シートをきちんと取り付けることが大切です。
また、結露は外と室内の温度差で発生するので、温度差を小さくすることも有効です。
熱を伝えにくい素材を下地や仕上げに使うと結露自体を抑えることができます。
例えば、木材や土壁、漆喰などの自然素材は湿気を吸い取るだけでなく、断熱効果も高いです。
換気も忘れず行いましょう。
24時間換気システムやお風呂やキッチンの換気扇を活用し、定期的に窓を開けて空気の入れ替えをすることもポイントです。
古民家断熱リフォームにかかる費用相場
古民家全体の断熱リフォーム費用は、広さや状態によりますが、約500万〜1000万円が目安です。
これには断熱工事だけでなく、事前調査や下地・仕上げ工事も含まれます。
部分的なリフォームの場合、窓やサッシの断熱工事は1箇所あたり10万〜30万円程度です。
窓は特に断熱性が低いため、ここを改善するだけでも効果が期待できます。
天井や壁の断熱工事は断熱材の種類によって費用が異なります。
6畳の部屋で、グラスウールなら5万〜10万円、断熱ボードなら10万〜30万円、発泡ウレタンなら30万〜40万円が目安です。
床の断熱には通常、断熱ボードを使用し、6畳の部屋で5万〜10万円程度です。
古民家断熱リフォームを安くする方法
古民家の断熱リフォーム費用を抑えるには、寒さの原因を特定し、優先順位をつけて工事を行うことが大切です。
費用だけで工事箇所を選ぶと、寒さがほとんど改善されない可能性もあるため気をつけたいところです。
国の補助金を活用するのも一つです。
例えば、先進的窓リノベ事業では、窓の断熱改修に対して補助金が支給されます。
また、子育てエコホーム支援事業では、省エネ改修を含むリフォームに対して補助金が受けられます。
これらの補助金制度を活用することで、断熱リフォームの費用負担を軽減することができます。
ただし、補助金制度は年度によって内容が異なる場合があるため、最新情報を確認するようにしましょう。
また、補助金の申請には条件や期限があるため、事前にしっかりと確認し、計画的にリフォームを進めることが重要です。
古民家断熱リフォーム実例
山根木材ではこれまでに数多くの古民家断熱リフォームを手掛けてきました。
ここでは実際の施工事例をいくつかご紹介します。
築100年超の母屋を快適な生活空間に
ご主人が生まれ育った築100年を超えるご実家を快適な住まいへとリフォームしました。
伝統的な日本家屋の趣を残しつつ、生活に必要な機能を母屋へ移設。古くなった梁や柱は再利用し、床には空間と調和するフローリングを採用。
壁や床に断熱材を入れ、窓をペアガラスに変えることで、昔の家の寒さを解消しました。
古い物を生かした懐かしさのある住まい
築60年の古民家を、昔の良さを残しつつ快適な住まいへとリフォームしました。
壁に隠れていた鴨居をあえて見せることで空間のアクセントに。
断熱材は高性能なものを使用し、冬の寒さや夏の暑さといった住宅性能に関する悩みを解消しました。
古いものを活かしながら、懐かしさを感じる住まいへと生まれ変わりました。
古きよき蔵の雰囲気を残したリフォーム
築150年の蔵を、住まいとして快適に使えるようリフォームしました。
まず、耐震性や断熱性など、住む上で重要な性能を専門家が診断し、最適なプランを考案。
昔ながらの蔵の雰囲気を残しつつ、漆喰などの自然素材を積極的に活用して空間を仕上げました。
古き良き蔵の面影を残しながら現代の暮らしに合った快適な住まいを実現しました。
梁をアクセントにした平屋の古民家
柱や梁を残して家全体を解体するスケルトン工事を行い、床下への土間コンクリート打ちを可能にしました。
これにより、湿気対策がしっかりと行えるようになりました。
また、耐震性能や省エネ性能も向上し、これから何十年も安心して暮らせる住まいへと一新。
古民家の良さを活かしつつ、現代の暮らしに合わせた快適な住まいを実現したリフォーム事例です。
伝統に個性を溶け込ませた自慢の住まい
廊下のサッシをペアガラスに交換し、床、壁、天井に断熱材を入れて断熱性を高めました。
当初は塞ぐ予定だった縁側の天井は立派な梁を見せることに。
それにより、寒かった廊下が玄関ホールのように自慢の空間へと生まれ変わりました。
伝統的な要素を残しながら現代の快適さを取り入れた、個性あふれる住まいが完成しました。
古民家を断熱リフォームする際注意点
古民家の断熱リフォームは、専門的な知識と経験が必要です。
構造や素材に合わせた適切な工事を行うために、注意すべき点を事前に把握しておきましょう。
古民家リフォーム実績が豊富な施工会社を選ぶ
現代の住宅とは異なる構造を持つ古民家では、伝統工法の技術を持つ施工会社を選ぶことが重要です。
実績豊富な会社であれば、古民家の特性を活かしつつ、快適な住まいへと導いてくれるでしょう。
一般住宅やマンションのリフォームを得意とする会社では、古民家の特性を見抜けず、誤ったリフォームをしてしまう可能性もあります。
古民家リフォームは、専門知識を持つ会社選びから始めましょう。
不安な点しっかりと相談する
古民家リフォームは高い専門性が求められるため、不安な点は徹底的に確認し、納得いくまで説明を受けましょう。
特に断熱リフォームでは、現状の湿度や結露状態、リフォーム後の変化など、具体的な数値に基づいた説明が重要です。
専門性の高い工事となるため、古民家鑑定士や古民家リフォームに精通した専門家の意見を聞くことも検討しましょう。
不安な点を解消し、信頼できる専門家と二人三脚でリフォームを進めることが、理想の住まいを実現する鍵となります。
古民家雰囲気を大切にする
古民家の断熱リフォームでは、性能だけでなく、古民家ならではの風合いを大切にすることが重要です。
断熱材で土壁を覆ってしまうと柱や梁が見えなくなり、古民家の魅力が損なわれることもあります。
機能を優先するあまり、古民家らしさが失われてしまっては本末転倒です。
断熱性能と見た目のバランスを考え、古民家の特徴を最大限に活かすリフォームを目指しましょう。
専門家と相談しながら、古民家の歴史や文化を尊重し、快適な住まいへと生まれ変わらせることが大切です。
余裕をもって予算プランを計画する
古民家は断熱性や安全性の面で、リフォームに多額の費用がかかる場合があります。
また、工事中に予期せぬ欠陥が見つかり、追加費用が発生することも珍しくありません。
そのため、予算計画は余裕を持って立てることが重要です。
費用が変動しそうな場合は、その都度施工会社に確認し、計画的に進めましょう。
古民家の状態によっては、想定外の費用がかかる可能性も考慮し、十分な資金計画を立てることがリフォーム成功の鍵となります。
古民家断熱リフォーム専門知識ある施工会社に依頼しよう
古民家の断熱リフォームは、専門的な知識と経験が不可欠です。
古民家ならではの構造を理解し、適切な施工を行う必要があります。
山根木材は、数多くの古民家断熱リフォームを手掛けてきた実績をもとに、経験豊富な専門家がお客様の理想の住まいづくりをサポートします。
古民家の断熱リフォームをご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
※弊社では、広島県内を施工エリアとさせていただいています。