「夏は2階が蒸し風呂のように暑い…」「冬は窓際からのすきま風で足元が冷える…」 そんな住まいの悩みは、家の断熱性能が低いことが原因かもしれません。特に築年数が経った家では、断熱材が入っていなかったり、性能が不十分だったりすることが多く、光熱費の増大やヒートショックといった健康リスクにも繋がります。
この記事では、そんなお悩みを解決するための「断熱リフォーム」について、費用対効果の高い方法から、部位別の費用相場、お得にリフォームするための補助金制度まで、専門家の視点で網羅的に解説します。
この記事を読めば、あなたの家の悩みに合った、最も効果的で納得感のある断熱リフォームの進め方がわかります。
【部位別】断熱リフォームの種類と費用相場
断熱リフォームと一口に言っても、家のどこを工事するかによって、方法や費用、工期は大きく異なります。ここでは、主要な4つの部位(窓・天井・床・壁)に分けて、具体的な工事内容と費用相場を見ていきましょう。
内窓の設置・窓サッシの交換
窓の断熱リフォーム(費用目安:5万円~)
家の断熱で最も重要なのが「窓」です。熱の出入りが一番大きい場所であり、窓の断熱性能を上げるだけで、住まいの快適性は劇的に改善されます。主な方法は3つあります。
- 内窓の設置 今ある窓の内側にもう一つ窓を追加する方法です。工事が1箇所あたり1~2時間と短時間で済み、費用も8万~15万円程度と比較的安価なため、最も手軽で人気の高いリフォームです。マンションなど、共用部である窓そのものを交換できない場合にも最適です。
- ガラスの交換 今あるサッシはそのままに、ガラスだけを断熱性能の高い「複層ガラス(ペアガラス)」や「Low-E複層ガラス」に交換する方法です。費用は1箇所あたり5万~15万円が目安です。
- サッシごと交換 古いサッシごと、断熱性能の高い樹脂サッシやアルミ樹脂複合サッシに交換する方法です。最も断熱効果が高いですが、費用も25万~60万円と高額になります。壁を壊さずに交換できる「カバー工法」が主流です。
断熱効果をアップさせる二重窓・インナーサッシのリフォームについては、こちらをご覧ください。
天井・屋根の断熱リフォーム(費用目安:4,000円/㎡~)
夏の強い日差しによる2階の暑さには、天井や屋根の断熱リフォームが非常に効果的です。
屋根から伝わる熱をシャットアウトすることで、冷房効率が格段に上がります。
主な方法は、天井裏(小屋裏)に断熱材を敷き詰める方法です。
点検口から作業できる場合は工事も比較的簡単で、1㎡あたり4,000円~8,000円、工期も1~4日程度で完了します。
綿状の断熱材を吹き込む「吹き込み工法」もあり、狭い場所や障害物が多い天井裏にも施工が可能です。
屋根の葺き替えなど、大規模なリフォームと同時に行う「屋根断熱」もありますが、まずは手軽な天井断熱から検討するのがおすすめです。
天井リフォームについては、こちらの記事をご覧ください。
屋根リフォームについては、こちらをご覧ください。
壁の断熱リフォーム(費用目安:4,000円/㎡~)
壁の断熱リフォームは、家全体の断熱性能を大きく向上させますが、工事が大掛かりになるため費用も高くなる傾向があります。主な工法は3つです。
- 内断熱 室内側の壁を剥がし、柱の間に断熱材を充填する方法です。リフォーム費用は1㎡あたり1万円前後からと高額になりがちで、工事中は部屋の利用が制限されます。
- 外断熱 既存の外壁の上から断熱材を貼り、その上から新しい外壁材で覆う方法です。住みながら工事が可能ですが、足場が必要になるため費用は100万円以上と高額になります。
- 断熱材の注入 壁に小さな穴を開け、そこから粒状の断熱材を吹き込む方法です。壁を壊さないため工期が短く、コストも抑えられますが、施工できる業者や家の構造が限られます。
床・床下の断熱リフォーム(費用目安:4,000円/㎡~)
冬の底冷えや足元の寒さには、床の断熱リフォームが有効です。
床下から冷気が上がってくるのを防ぎ、暖房の温かさを保ちます。
一般的な工事は、床下点検口から作業員が潜り、床板の裏側(根太の間)に断熱材を隙間なく充填していく方法です。
この方法であれば、住みながらの工事が可能で、費用は1㎡あたり4,000円~1万円、工期は1~3日程度が目安です。
床下に入れない構造の場合は、既存のフローリングを一度剥がして断熱材を入れ、再び床を貼る方法になります。
この場合、工期は3~6日、費用も高くなりますが、フローリングの張り替えも同時に行えるというメリットがあります。
フローリングの貼り替えリフォームについては、こちらをご覧ください。
外壁の断熱塗装リフォーム
外壁に断熱効果を取り入れたい場合は、断熱塗料を塗る方法があります。
断熱塗料を塗ると、夏には外壁に照りつける日差しの熱が室内に伝わりにくくなります。
また、冬には暖房であたたまった室温を保つ効果も期待できます。
外壁の断熱塗料リフォームの費用相場は30坪の家で95万〜200万円、工期は1〜4週間です。
※住宅の階数や足場代、建物の状態により変動
外壁リフォームについては、こちらをご覧ください。
費用対効果で選ぶ断熱リフォームの優先順位
「どこから手をつければ一番効果があるの?」という疑問に答えるため、費用対効果の高い断熱リフォームの優先順位を解説します。
限られた予算で最大の効果を得るために、ぜひ参考にしてください。
最優先は「窓」|最も熱の出入りが大きい
家の熱の出入りが最も大きい場所は、実は「窓」です。
冬は約58%、夏は約73%の熱が窓を通じて出入りしていると言われています。
そのため、最も費用対効果が高い断熱リフォームは「窓」から手をつけることです。
壁や床を大規模に工事するよりも、まずは内窓の設置やガラス交換といった窓の断熱対策を行うだけで、住まいの快適性は劇的に向上します。
特に冬の窓際のひんやりとした冷気や、夏のじりじりとした日差しにお悩みの場合、窓の断熱化は必須と言えるでしょう。
近年の国の補助金制度も窓リフォームに非常に手厚くなっており、コストを抑えながら高い効果が期待できる、最初に取り組むべきリフォームです。
次に「天井・屋根」|夏の暑さに効果絶大
窓の次に熱の影響を受けやすいのが「天井・屋根」です。
特に夏の強い日差しは屋根を熱し、その熱が天井から室内に伝わることで、2階が蒸し風呂のような暑さになります。
天井裏(小屋裏)に断熱材を敷き込む、あるいは吹き込むリフォームは、比較的簡単な工事で済む場合が多く、夏の暑さ対策として非常に高い効果を発揮します。
屋根からの熱の侵入を防ぐことで、2階の室温上昇が抑えられ、エアコンの効きも格段に良くなります。
冬場の暖房効率アップにも繋がりますが、特に「夏の2階が暑くて寝られない」といった悩みを抱えている方には、窓と並行して検討すべき優先度の高いリフォームです。
「床」は底冷え対策、「壁」は最終手段
冬の「足元からくる底冷え」に悩んでいる場合は、「床」の断熱リフォームが効果的です。
床下から断熱材を施工することで、地面からの冷気が室内に伝わるのを防ぎ、足元の寒さを和らげます。
床暖房を設置するよりもコストを抑えつつ、快適性を向上させることができます。
一方、「壁」の断熱リフォームは、家全体の断熱性能を完成させるための最終段階と考えると良いでしょう。
壁の工事は、内壁や外壁を剥がす必要があるため、費用も工期も大規模になりがちです。
窓・天井・床の断熱をしっかり行った上で、それでもまだ寒さや暑さが気になる場合や、大規模なリノベーションと同時に行う場合に検討するのが最も効率的です。
戸建て・マンション別の断熱リフォーム費用と注意点
建物の種類によって、実施できる断熱リフォームや注意点が異なります。
木造戸建ての断熱リフォーム
築年数が古い日本の木造戸建て住宅は、壁や床に断熱材が入っていなかったり、入っていても性能が低かったりするケースが多く、断熱リフォームの効果を最も感じやすいと言えます。
窓・壁・天井・床のすべての部位でリフォームが可能で、ライフスタイルや予算に合わせて柔軟に工事を組み合わせることができます。
家全体を断熱する「まるごと断熱リフォーム」を行えば、新築同様の快適性を手に入れることも可能です。
その場合の費用は、工事の規模によりますが300万円~800万円程度が目安となります。
マンションの断熱リフォーム
マンションで断熱リフォームを行う場合、注意が必要です。
窓サッシや玄関ドア、外壁に面した壁、床下のコンクリートなどは「共用部」と定められていることが多く、個人の判断で自由にリフォームすることはできません。
そのため、マンションで可能な断熱リフォームは、「内窓の設置」や「室内側の壁に断熱材を追加する」といった、専有部分の範囲内での工事が中心となります。
特に内窓の設置は、共用部に手を加えることなく高い断熱効果が得られるため、マンションの断熱リフォームとして最も一般的な方法です。
工事を検討する際は、必ず管理規約を確認し、管理組合に許可を取るようにしましょう。
断熱リフォームに関わる補助金制度の一例
断熱リフォームは、国や自治体が推進する省エネ施策の対象となるため、手厚い補助金制度が用意されています。
これらを活用すれば、費用負担を大幅に軽減できます。(いずれも2025年時点の情報です)
先進的窓リノベ2025事業
断熱性能の高い窓へのリフォームに特化した、国の補助金制度です。
内窓の設置や外窓の交換、ガラス交換などが対象となり、工事費用の最大50%相当、一戸あたり最大200万円という非常に高額な補助が受けられます。
断熱リフォームを検討するなら、まず活用したい制度です。
(参考:環境省 先進的窓リノベ2025事業)
子育てグリーン住宅支援事業
2024年度の子育てエコホーム支援事業の後継制度として、2025年度も幅広い省エネリフォームを支援する補助金制度が用意されています。
開口部(窓・ドア)の断熱改修、外壁・屋根・天井・床の断熱改修や、エコ住宅設備の設置などが対象です。
リフォームの場合は子育て世帯以外も利用可能な点が大きな特徴です。
工事内容に応じて補助額が設定されており、「先進的窓リノベ2025事業」と組み合わせて申請することも可能です。
(参考:国土交通省 子育てグリーン住宅支援事業)
地方自治体独自の補助金
国だけでなく、お住まいの都道府県や市区町村が独自に省エネリフォームへの補助金制度を設けている場合があります。
例えば、広島市では「省エネ改修等を行った住宅に対する軽減措置」などがあります。
国の制度と併用できる場合もあるため、リフォームを検討する際は、必ず自治体のウェブサイトや窓口で確認してみましょう。
断熱リフォームに関わる減税制度
断熱リフォームでは、工事内容や面積、家屋などが一定の条件を満たしていれば、確定申告で所得税や固定資産税の控除を受けられます。
たとえば「リフォーム減税」は、ローンの有無に関係なく所得税が控除される制度です。
窓や壁、天井の断熱工事など所定の工事を行い、なおかつその住宅について「自ら所有し、居住すること」、「改修工事完了後6ヶ月以内に入居すること」などの条件を満たすと適用されます。
さらに「改修工事後の床面積が50㎡以上280㎡以下」などの条件を満たせば、固定資産税も減税されます。
こうしたリフォーム減税は、断熱工事が該当する省エネリフォームの他、耐震、バリアフリー、同居対応、長期優良住宅化、子育て対応のリフォームも対象です。
断熱リフォームは住みながら工事可能?
大掛かりなイメージのある断熱リフォームですが、工事の種類によっては住みながら行うことが可能です。
工事中の生活への影響について解説します。
住みながら可能な工事(窓・天井・床下)
窓の断熱リフォーム(内窓設置やカバー工法での窓交換)は、1箇所あたり数時間~1日程度で完了するため、全く問題なく住みながら工事が可能です。
天井の断熱リフォームも、点検口から天井裏に入って作業できる場合は、居住空間にほとんど影響なく1日~2日で完了します。
同様に、床下の断熱リフォームも、床下点検口から作業員が入って工事を行うため、家具の移動なども不要で、普段通りの生活を送りながら進めることができます。
これらの工事は、生活への負担が少ないため、手軽に始められる断熱リフォームとして人気があります。
仮住まいが必要になる可能性がある工事(壁・大規模)
壁の断熱リフォームは注意が必要です。
特に、室内側から壁を剥がして断熱材を入れる「内断熱」の場合、工事対象の部屋から家具をすべて運び出す必要があり、工事中はホコリや騒音も発生するため、部屋単位での仮住まいを検討したり、日中は外出したりといった工夫が必要になることがあります。
家全体の壁を工事する「まるごと断熱リフォーム」の場合は、一時的な引っ越しを検討する必要も出てきます。
ご自身のライフスタイルと工事内容を照らし合わせ、リフォーム会社とよく相談しましょう。
断熱リフォームをするメリット
断熱リフォームをするメリットには、以下のような点が挙げられます。
- 夏涼しく冬あたたかい快適な住まいに
- ヒートショックを防ぎ健康的に生活できる
- 結露を防ぎカビの発生を抑えられる
- 光熱費を抑えられる
- 遮音性を高められる
- 環境にやさしい
それぞれについて、詳しく解説します。
夏涼しく冬あたたかい快適な住まいに
夏は涼しく冬はあたたかい快適な住まいが実現することは、断熱リフォームの大きなメリットです。
先述の通り、断熱リフォームをすれば室内の温度がキープされやすくなるため、外気の影響で暑くなったり寒くなったりしにくくなります。
これにより日々の暮らしで暑さ・寒さによる不快感を感じず済むだけでなく、快適な空間の中で集中力が向上します。
在宅ワークの仕事が捗ったり家事に集中できたり、子供が勉強に取り組みやすくなったりと、家族それぞれの毎日が充実し、人生がより豊かになるでしょう。
ヒートショックを防ぎ健康的に生活できる
断熱リフォームは、ヒートショックも防ぎます。
ヒートショックとは、寒さで血圧が急上昇した後に体が温まることで血圧が急降下し、意識が朦朧とすることです。
冬の脱衣所や湯船で特に起こりやすく、ヒートショックによる事故は交通事故死よりも多いと言われています。
断熱リフォームをすれば家の中の温度がより均一に保たれるため、ヒートショックのリスクを軽減することができます。
また、断熱リフォームをすることにより、65歳以上の高齢者に多い室内での夏の熱中症も防げます。
結露を防ぎカビの発生を抑えられる
断熱リフォームによって結露の発生を防ぐことにより、カビも防げるため、衛生面でも快適な生活が手に入ります。
結露は、外の冷たい空気と部屋のあたたかい空気とが混ざることで発生します。
断熱リフォームをすれば外の冷たい空気が室内に伝わりにくくなるため、こうした結露の発生原因を抑えられるのです。
結露やカビは柱の劣化にも繋がり、家の寿命にも影響します。
断熱リフォームは、現在の家に長く住み続けたいときにもおすすめです。
光熱費を抑えられる
断熱リフォームのメリットとして、光熱費を抑えられるという点も挙げられます。
断熱リフォームをすると室内の冷たい空気やあたたかい空気が外に逃げにくくなるとともに、外気が室温に影響しにくくなります。
エアコンで調節した室温をキープできるため、冷暖房費が抑えられます。
断熱リフォームには費用がかかりますが、長い目で見るとランニングコストを抑えることができます。
遮音性を高められる
断熱リフォームには、家の遮音性を高める効果もあります。
断熱リフォームを施すと、大通り沿いで車の走行音が気になる家でも快適に過ごせるようになります。
また、ペットを飼っている場合は鳴き声が外に漏れる心配が軽減され、飼い主もペットものびのびと過ごせるようになるのです。
小さな子供が走り回ることが多いご家庭や、テレビやラジオの音量が大きくなりがちなご家庭にも、遮音性アップは嬉しいメリットでしょう。
環境に優しい
断熱リフォームをすると先述の通りエアコン効率が良くなるため、環境にやさしい暮らしが手に入ります。
近年は「環境のことを思うと節電すべきだが、健康のためにエアコンは欠かせない」という悩ましい状況になっています。
断熱リフォームなら、こうした問題を解決できるのです。
断熱リフォームは温暖化対策としてさまざまな補助金の対象にもなっています。
この点については後ほど詳しく解説します。
断熱リフォームをしたほうがいい家とは
具体的にどのような家であれば断熱リフォームをしたほうが良いのか、4つの特徴を解説します。
以下のいずれかに該当する場合は、断熱リフォームによるメリットを感じやすいといえます。
廊下やトイレの暑さ・寒さが気になる
夏の間、トイレや廊下の暑さが気になりませんか。
家の断熱性が低いと、エアコンをかけている部屋は良くても、エアコンで調節しにくい廊下やトイレ、洗面所で暑さや寒さを感じがちです。
しかし、断熱リフォームをすると、外の暑さや寒さが室内の温度に影響しにくくなります。
これにより廊下やトイレも含めた家全体の温度が均一になりやすく、どこにいても快適に過ごせるようになるのです。
夏に2階の部屋が暑い
夏に2階の部屋が暑い場合も、断熱リフォームの検討がおすすめです。
2階は屋根からの熱や窓からの日射で暑くなりやすく、特に屋根裏空間はサウナのような状態になりがちです。
「夏の2階は暑いから行きたくない」「2階は冷房を強くしないといけない」という理由で2階を活用しきれていない人も多いのではないでしょうか。
しかし、断熱リフォームをすればこうした外の暑さが室内に伝わりにくくなるため、夏でも2階で快適に過ごせるようになります。
夜も熱がこもって寝られない
夏の夜、部屋に熱がこもって寝苦しいという場合も、断熱リフォームが効果を発揮する可能性があります。
断熱リフォームをすればエアコンで調節した冷気が外に漏れにくくなり、かつ室外の暑さが室内の温度に影響しにくくなります。
つまり、寝ている途中で冷房が消えても、涼しい状態をキープしやすくなるのです。
年々熱帯夜が増えている近年は特に、日々の疲れをしっかりとって生き生きと生活するために断熱リフォームが重要です。
すきま風が気になる
隙間風で窓際が寒い、足元が冷えるという問題も、断熱リフォームで解決できます。
隙間風は窓や玄関などの開口部だけでなく、床下や天井、壁からも入ってきます。
そのため、ドアや窓を閉め切って暖房をかけていても、隙間風が入ってきて部屋が暖まりにくくなります。
断熱リフォームではこうした隙間風の侵入を防ぐ「気流どめ」という工事も行うことが多く、隙間風による寒さを改善できます。
気流どめにはカビや結露を防ぐ効果もあり、快適な暮らしに大きく貢献します。
断熱リフォームの種類
一口に断熱リフォームといっても、さまざまなものがあります。
現在の住宅の状態や解決したい問題によって適切な断熱リフォームは異なります。
ここでは、3種類の断熱リフォームについて見ていきましょう。
一棟全体の断熱
一棟全体の断熱リフォームでは、窓やドアなどの開口部、壁、床、天井など家全体を囲むように断熱リフォームを施します。
これにより外気温に左右されにくい住まいが実現し、リビングや寝室、廊下、浴室、トイレなど家のどこにいても快適に過ごしやすくなります。
施工範囲が広く工事が大規模になる分費用はかかりますが、効率よく断熱できるため、冷暖房費の節約や、室温の均一性といったメリットを感じやすい点がポイントです。
ゾーン断熱
ゾーン断熱とは、普段生活する場所・動線に絞って断熱工事をすることです。
たとえば1階のみなど家族がよく過ごすゾーンに限定して断熱工事をするだけでも、光熱費節約に効果があります。
ゾーン断熱は、できるだけ工事費を抑えつつ、断熱による恩恵を受けたい場合におすすめです。
特に、使っていない部屋や物置として使うだけで室温管理が必要ない部屋がある場合は、ゾーン断熱を検討すると良いでしょう。
なお、子どもの成長などによってよく使うゾーンは変わることもあります。
将来的な家の使い方も踏まえて検討するようにしましょう。
部分断熱
部分断熱とは、他の箇所に比べて最も温度差を感じる部屋など、外気温の影響が大きく使いにくい部分のみをリフォームすることです。
たとえば西向きで夏の日差しが強く、暑くなりやすい部屋に焦点を絞り、窓や壁などに断熱リフォームを施すだけでも過ごしやすさが変わります。
状況によってはコストを抑えて高い満足度が得られる「コスパの良い断熱リフォーム」になるでしょう。
断熱リフォームの実例紹介
ここからは、断熱リフォームによって快適な住まいを手に入れた実例を紹介します。
具体的にどのような断熱リフォームの事例があるのか知ることで、「自分の家だったらどのようにリフォームしようか」というイメージがつきやすくなります。
参考にしてみてください。
断熱性・耐震性の向上とともに間取りを変更
断熱性・耐震性アップを目的として、築38年の家をリフォームした事例です。
外壁の土壁は残したまま、壁に高性能な断熱材を入れ、断熱性能の向上を実現しました。
天井や床にも高性能な断熱材を取り入れ、サッシにも断熱補強を施すことで、断熱リフォームの補助金を獲得しています。
断熱性だけでなく間取り変更も行うことで、さらに暮らしやすい住まいとなりました。
住み慣れた家を夫婦で楽しく健康的に暮らせる家へ
お子さんの独り立ちを機に、住み慣れた家を夫婦で楽しく健康的に暮らせる家にしようとリフォームした事例です。
壁と床にしっかりと断熱材を施工し、住み心地の良さがアップしました。
また、独立型キッチンをモノトーン調の対面式にし、フローリングや天井に無垢材を用いるなど、夫婦それぞれのこだわりを詰め込んだ点もポイントです。
機能性の面でもデザインの面でも、さらに快適な住まいが実現しました。
大正時代から受け継ぐ母屋を快適な住まいに
大正時代から続く築100年以上の母屋をリフォームした事例です。
壁や床には断熱材を、窓にはペアガラスを採用することで古い家特有の寒さを解消し、現代の気温や環境問題に対応できる住宅になりました。
一方で、古民家らしさは残したいという奥様のご要望もあり、もとからある梁や柱は残しています。
古民家の風情は保ちながら、時代の変化に適応した暮らしやすい住まいが実現しました。
永く快適に住み継ぐ二世帯リフォーム
二世帯での同居を機に、親世代のご夫婦のお宅をリフォームした事例です。
全面改装で耐震性アップに加えて床、壁、天井に断熱施工をすることで、幅広い年代のご家族が快適かつ安全に暮らせる住宅となりました。
もともと夫婦お二人で住まれていた住宅ということで、限られた空間で二世帯がスムーズに生活できるよう、共有部分への動線や収納スペースの確保を工夫しました。
築41年の祖父母の家を理想的な住まいにリフォーム
30代のご夫婦が、空き家となっていた祖父母の家をリフォームした事例です。
もとの構造や傷みをしっかりチェックしたうえで床、壁、天井に断熱施工をし、窓にはペアガラスを採用することで冬の寒さや夏の暑さを軽減しました。
キッチンとダイニングテーブルを横並びにして家族がコミュニケーションを取りやすくしたり、住宅内の動線を整理したりすることで、現代の暮らしに適した快適な住まいとなりました。
断熱リフォームで健康的な暮らしを手に入れよう
断熱リフォームをすると、季節を問わず快適な室温の中で生活しやすくなります。
日々の生活の満足度はもちろん、経済面でも健康面でもメリットは大きいといえます。
断熱リフォームは国や自治体から補助金を得られることがあります。
補助金をうまく活用しながら、自分の家に合った断熱リフォームをすることがおすすめです。
山根木材なら、住宅診断で各住宅に必要な断熱リフォームのご提案が可能です。
断熱リフォームをご検討の場合は、ぜひご相談ください。
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※弊社では、広島県内を施工エリアとさせていただいています。