屋根のリフォームは、大切な住まいを守るために欠かせないメンテナンスですが、足場を組む大掛かりな工事になるため、どうしても費用が高額になりがちです。
その経済的な負担を少しでも軽くするために、国や自治体が用意している「補助金」や「助成金」の制度を賢く活用することが重要です。
しかし、「どんな工事が対象になるの?」「自分はいくらもらえるの?」「どうやって申請すればいいの?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、2025年の最新情報に基づき、屋根リフォームで使える補助金の種類から、具体的な金額、申請条件、手続きの流れ、そして申請前に知っておくべき注意点まで、初心者の方にも分かりやすく徹底解説します。
【2025年最新】屋根リフォームで使える国の補助金制度2選
まずは、全国どこでも利用できる可能性のある、国の代表的な補助金制度を2つご紹介します。
これらの制度は予算が大きいため、多くの方が利用できるチャンスがあります。
子育てグリーン住宅支援事業
2025年に屋根リフォームで活用できる国の代表的な制度が「子育てグリーン住宅支援事業」です。
この事業は、省エネ性能の高い新築住宅の取得や、住宅の省エネ改修を支援するもので、子育て世帯や若者夫婦世帯でなくてもリフォームであれば全世帯が対象となります。
屋根のリフォームにおいては、特に断熱改修や、それに伴う葺き替え、カバー工法などが補助の対象です。
具体的には、一定の基準を満たす断熱材を導入する工事などが該当します。
補助額は工事内容や性能によって細かく定められており、例えば開口部の断熱改修と同時に行う屋根の断熱改修では、性能に応じて1戸あたり最大で30万円〜60万円の補助が受けられます。
申請は個人では行えず、登録された「子育てグリーン住宅支援事業者」と工事請負契約を結び、事業者が手続きを代行する仕組みです。
予算がなくなり次第終了となるため、早めの情報収集と事業者への相談が重要です。
(参考:国土交通省「https://kosodate-green.mlit.go.jp/」)
既存住宅における断熱リフォーム支援事業(断熱窓への改修と一体で利用可能)
もう一つが「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」です。
この制度は、高性能な断熱材や窓・ガラスを用いた断熱改修工事を支援するもので、エネルギー消費の効率化を目的としています。
屋根リフォームにおいては、高性能な断熱材(グラスウールやロックウールなど)を用いて屋根全体の断熱性能を高める工事が対象です。
ただし、この事業の大きな特徴は、屋根の断熱工事単体では申請できず、高性能な窓やガラスへのリフォームと同時に行う必要がある点です。
補助額は使用する建材の性能や工事面積によって決まり、補助率は工事費用の3分の1以内、一戸建ての上限額は120万円と定められています。
屋根だけでなく家全体の断熱性を見直したい方にとっては非常にメリットの大きい制度と言えるでしょう。
こちらも公募期間や予算が定められているため、利用を検討する場合は公式サイトで最新情報を確認することが不可欠です。
(参考:公益財団法人北海道環境財団「https://www.heco-hojo.jp/danref/」)
【工事内容別】屋根リフォームの補助金額と対象工事
屋根リフォームの補助金は、どのような工事を行うかによって対象となる制度や受け取れる金額が大きく異なります。
ここでは代表的な工事内容ごとに、どの補助金が使えて、どれくらいの補助額が見込めるのかを具体的に解説します。
ご自身の計画しているリフォームが対象になるか確認してみましょう。
屋根の葺き替え・カバー工法(断熱化)の補助額
屋根の葺き替えやカバー工法は、リフォーム費用が高額になりがちですが、補助金を活用しやすい工事です。
ただし、単に屋根材を新しくするだけでは補助金の対象にはなりません。
重要なのは、省エネ性能の向上、つまり断熱化を同時に行うことです。
例えば「子育てグリーン住宅支援事業」では、一定量以上の断熱材を使用する屋根の改修に対して補助金が出ます。
補助額は、最低使用量以上の断熱材を使う基本的な工事で1戸あたり36,000円です。
さらに高性能な断熱材を使用したり、断熱性能をより高くしたりすることで補助額は上がります。
特に瓦屋根やスレート屋根から、軽量で断熱性の高いガルバリウム鋼板の屋根へ葺き替える際に断熱材を同時に施工するケースは、補助金の対象となりやすい代表的な例です。
断熱材の改修・省エネリフォームの補助額
屋根に断熱材を追加したり、既存の断熱材をより高性能なものに交換したりする断熱リフォームは、補助金制度の主な目的である「省エネ化」に直結するため、対象となりやすい工事です。
遮熱塗料で屋根塗装をすることも、断熱性能を高める工事の一環と見なされる場合があります。
「子育てグリーン住宅支援事業」や「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」は、まさにこの断熱改修を支援するための制度です。
これらの制度を活用することで、夏は涼しく冬は暖かい快適な住環境を手に入れながら、光熱費の削減にも繋がり、さらに工事費用の一部を補助金で賄うことができます。
住まいの快適性と経済性の両方を高める、非常に価値のあるリフォームと言えるでしょう。
注意点「雨漏り修理」や「部分補修」は原則対象外
多くの方が勘違いしやすい点ですが、「雨漏り修理」や経年劣化による瓦のひび割れなどの「部分補修」は、原則として国の補助金制度の対象外です。
なぜなら、国の補助金の多くは「住宅の性能を向上させる(省エネ化、耐震化など)」ことを目的としているためです。
雨漏りを直すといった「元の状態に戻す」ための修繕は、性能向上には当たらないと判断されます。
ただし、例外もあります。
例えば、雨漏りの原因が屋根全体の劣化にあり、その解決策として断熱性能の高い屋根材へ葺き替えるといった場合は、結果的に「性能向上リフォーム」と見なされ、補助金の対象となる可能性があります。
また、国ではなく一部の地方自治体では、住宅の長寿命化を目的として、雨漏り修理を含むリフォームに独自の助成金を出している場合があります。
お住まいの自治体の制度を個別に確認してみる価値は十分にあります。
補助金を受け取るための3つの必須条件
補助金は誰でも無条件に受け取れるわけではなく、いくつかの基本的な条件を満たす必要があります。ここでは特に重要な3つの条件について解説します。
対象となる住宅の要件
補助金の対象となるのは、申請者自身が所有し、居住している住宅であることが基本です。
賃貸物件のオーナーや、空き家に対しては利用できない場合があります。
また、建築基準法に違反している「違反建築物」ではないことも条件となります。
耐震関連の補助金の場合は、特定の年代(主に1981年5月31日以前)に建てられた旧耐震基準の木造住宅であることが条件になるなど、制度ごとに細かな要件が定められています。
申請できる世帯の要件
国の省エネリフォームに関する補助金は、多くの場合、世帯の所得制限はありません。
ただし、地方自治体が実施する補助金制度の中には、子育て世帯や若者世帯を優遇したり、所得に上限を設けたりしている場合があります。
また、共通の条件として税金を滞納していないこと、そして反社会的勢力との関係がないことが挙げられます。
これらの条件は必ず事前に確認しておきましょう。
登録事業者との工事契約
国の補助金の多くは、個人が直接申請するのではなく、制度に登録された事業者が申請手続きを代行する仕組みになっています。
そのため、補助金の利用を前提とする場合は、必ず「子育てグリーン住宅支援事業者」のような登録事業者にリフォームを依頼する必要があります。
どの業者に依頼すればよいか分からない場合は、各補助金制度の公式ホームページに登録事業者の一覧が公開されているので、そちらから探すのが確実です。
補助金の申請から受給までの5ステップ
補助金の申請は、リフォームの計画段階からしっかり手順を把握しておくことが成功の鍵です。一般的な流れを5つのステップでご紹介します。
ステップ1. 登録事業者を探し工事請負契約を締結
まず、利用したい補助金制度の「登録事業者」となっているリフォーム会社を探し、相談します。
計画しているリフォームが補助金の対象になるか、いつまでに申請が必要かなどを確認し、見積もりを取得します。
内容に納得できたら、事業者と工事請負契約を結びます。
ステップ2. 事業者と共同で交付申請
工事請負契約後、事業者が必要な書類を準備し、申請者(あなた)と共同で補助金の交付申請を行います。
申請時には、リフォームの見積書や建物の登記事項証明書、本人確認書類などが必要になることが多いです。
また、この段階で着工前の屋根の状態を証明する写真も撮影・提出します。
ステップ3. 工事の着工と完了
補助金の交付申請が受理され、「交付決定通知」が届いたら、いよいよリフォーム工事の開始です。
工事期間中に計画の変更があった場合は、速やかに事業者に相談し、必要な手続きを行いましょう。
ステップ4. 完了報告(実績報告)の提出
工事がすべて完了したら、事業者が「完了報告書(実績報告書)」を作成し、事務局へ提出します。
この際、工事中や工事完了後の写真、請求書の写しなど、契約通りに工事が行われたことを証明する書類を添付します。
自治体の制度によっては、担当者が完了確認のために現地調査に来る場合もあります。
ステップ5. 補助金の振り込みと受領
完了報告書が審査され、内容に問題がないと認められると、補助金額が確定し、指定した口座に振り込まれます。
申請から振り込みまでには、完了報告後1ヶ月から数ヶ月かかるのが一般的です。
補助金は後払いであることを覚えておきましょう。
【簡単】お住まいの市区町村の補助金を見つける方法
国の制度だけでなく、お住まいの都道府県や市区町村が独自に設けている補助金・助成金制度も数多く存在します。
むしろ、こちらの方が条件が緩やかで使いやすい場合もあります。
ここでは、ご自身の地域で使える補助金制度を簡単に見つけるための具体的な方法を2つご紹介します。
「自治体名+屋根リフォーム+補助金」で検索する
最も手軽で効果的な方法が、インターネットの検索エンジンで調べることです。
検索する際のコツは、具体的なキーワードを組み合わせることです。
例えば、広島市にお住まいなら「広島市 屋根リフォーム 補助金」や「広島市 屋根修理 助成金 2025」のように検索します。
このように「お住まいの自治体名」と「やりたい工事内容」、「補助金(または助成金)」「年度」を組み合わせて検索することで、関連性の高い情報を効率的に見つけ出すことができます。
特に、埼玉県や大阪府のような人口の多い自治体では、市や区単位で多様な制度が用意されていることが多いです。
まずはこの方法で、ご自身の地域にどのような制度があるのか、大まかに把握することから始めましょう。
自治体のホームページで確認する手順
検索して見つけた情報が最新であるかを確認するためにも、最終的にはお住まいの自治体の公式ホームページを直接確認することが重要です。
トップページから「くらし」「住まい」「助成」といったキーワードでサイト内を検索すると、関連するページが見つかります。
多くの場合、補助金制度の概要、対象者、申請期間、申請書類のダウンロードなどが一つのページにまとめられています。
見つけにくい場合は、自治体の「住宅課」や「建築指導課」といった担当部署に直接電話で問い合わせるのが最も確実な方法です。
申請前に知るべき注意点とよくある失敗例
補助金を確実に受け取るためには、いくつか注意すべき点があります。
よくある失敗例を知り、同じ轍を踏まないようにしましょう。
予算上限による早期終了に注意する
国の補助金も地方自治体の補助金も、そのほとんどは年度ごとに予算の上限が決められています。
申請額が予算の上限に達した時点で、期間内であっても受付が終了してしまいます。
人気の補助金は、受付開始から早い段階で締め切られることも珍しくありません。
利用したい制度が見つかったら、できるだけ早めにリフォーム会社に相談し、申請の準備を進めることが大切です。
工事の契約前に申請することはできない
補助金の申請は、リフォーム会社と工事請負契約を締結した後に行うのが原則です。
「補助金がもらえるか決まってから契約したい」と思うかもしれませんが、順番が逆なので注意が必要です。
どの工事にいくらかかるかという見積もりが確定していなければ、申請自体ができません。
信頼できる事業者としっかり打ち合わせを行い、補助金の活用を前提とした資金計画を立てて契約に進みましょう。
補助金制度を悪用した詐欺業者に気をつける
残念ながら、補助金制度を悪用して高額な契約を結ばせようとする悪質な業者も存在します。
特に「補助金を使えば実質無料でリフォームできる」といった甘い言葉で契約を急かす訪問販売業者には注意が必要です。
代表的な詐欺の手口
- 「無料になる」と説明して契約させ、工事後に全額を請求してくる。
- 申請を代行すると言って補助金を受け取り、一部しか施主に渡さず着服する。
少しでも「おかしいな」と感じたら、その場で契約せず、家族や別の専門家に相談しましょう。
業者を選ぶ際は、インターネットの口コミを確認したり、複数の業者から見積もりを取ったりして、慎重に判断することをおすすめします。
自然災害が原因の場合は火災保険の活用も検討
屋根のリフォームを考えるきっかけが、台風や大雪、雹(ひょう)などの自然災害である場合、補助金ではなく火災保険が適用される可能性があります。
ここで重要なのは、補助金と火災保険の目的の違いです。
- 補助金は、省エネ化や耐震化など「元の状態より性能を向上させる」リフォームが対象です。
- 火災保険は、災害によって受けた損害を「元の状態に戻す(原状回復)」ための修理が対象です。
契約内容にもよりますが、火災保険を使えば、修理費用の全額または一部が保険金として支払われる場合があります。
ただし、経年劣化による損傷は対象外です。
自然災害による屋根の損傷の場合は、まずご自身が加入している火災保険の契約内容を確認し、保険会社に相談してみましょう。
まとめ
今回は、屋根リフォームで活用できる補助金制度について、2025年の最新情報を中心に解説しました。
高額になりがちな屋根リフォームですが、国の「子育てグリーン住宅支援事業」や、お住まいの市区町村が実施する独自の制度などを活用することで、費用負担を大きく軽減できる可能性があります。
補助金を活用するためのポイントは以下の通りです。
- 省エネ性能を高める工事(断熱化など)が対象の中心となる
- 申請は登録されたリフォーム事業者を通して行うのが基本
- 予算には限りがあるため、早めに情報収集と相談を始める
- 自然災害が原因なら、火災保険の適用も検討する
この記事を参考に、ご自身の計画に合った補助金制度を見つけ、賢くお得に、そして安心して屋根リフォームを実現してください。
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