家を建てたり購入したりする際、「アフターメンテナンス」という言葉を耳にする機会は多いでしょう。
しかし、「具体的に何をしてくれるの?」「保証やアフターサービスと何が違うの?」「費用はかかるの?」など、多くの疑問をお持ちではないでしょうか。
特に、新築の注文住宅や分譲住宅といった大きな買い物をした後は、大切な住まいに永く快適に住み続けたいと誰もが願うものです。
この記事では、そんな住宅のアフターメンテナンスについて、基本的な意味から具体的な点検内容、費用、そして依頼先の選び方まで、専門用語を避けて分かりやすく徹底解説します。
この記事を読めば、アフターメンテナンスの全体像が掴め、安心して住まいの維持管理を計画できるようになります。
アフターメンテナンスとは?住宅の価値を守るための定期的な健康診断

アフターメンテナンスとは、家の建築後やリフォーム後に、専門家が定期的に建物を点検し、必要に応じて補修やメンテナンスを行う取り組み全般を指します。
人の身体と同じように、家も年月が経つにつれて少しずつ劣化が進みます。
不具合が大きくなる前に早期発見・早期治療をすることが、住まいの寿命を延ばすためには不可欠です。
そのための定期的な健康診断が、アフターメンテナンスだと考えると良いでしょう。
アフターメンテナンスには、主に以下のような重要なメリットがあります。
- 住まいの資産価値を維持する
定期的な手入れで建物を良好な状態に保つことは、将来的な売却なども含め、資産価値の維持に直結します。 - 大規模な修繕費を未然に防ぐ
小さな不具合を早期に発見・補修することで、雨漏りや構造体の腐食といった、後々高額な費用がかかる大規模なトラブルへの発展を防ぎます。 - 安全で快適な暮らしを長く続ける
建具の不具合や設備の故障などを事前にチェックすることで、日々の暮らしの安全性を高め、快適な住環境を長く保つことができます。
「アフターサービス」「製品保証」との明確な違い

「アフターメンテナンス」という言葉は、「アフターサービス」や「製品保証」としばしば混同されがちです。それぞれの役割は明確に異なりますので、ここでしっかりと違いを理解しておきましょう。
契約内容を確認する際にも、これらの違いを知っておくことで、サービスの範囲を正しく見極めることができます。
役割と保証範囲の比較一覧
それぞれの違いを一目で理解できるよう、以下の表にまとめました。
| 項目 | アフターメンテナンス | アフターサービス | 製品保証(メーカー保証) |
| 目的 | 建物の性能維持・劣化防止 | 顧客満足度の向上 | 製品の初期不良・故障への対応 |
| 内容 | 定期点検、軽微な補修、メンテナンス提案 | 不具合への臨時対応、リフォーム相談、情報提供など | 製品の無料修理・交換 |
| 対象 | 建物全体(構造、外壁、屋根、建具など) | 会社によって異なる幅広いサポート | キッチン、給湯器、トイレなどの設備機器 |
| 主体 | ハウスメーカー、工務店、専門会社 | ハウスメーカー、工務店 | 設備機器メーカー |
| 期間 | 長期的(例 10年、20年など) | 会社によって異なる | 比較的短期間(例 1〜2年) |
このように、アフターメンテナンスは建物そのものを長持ちさせるための計画的な活動であるのに対し、アフターサービスはより広い意味での顧客サポート、製品保証は特定の設備機器に対する保証という違いがあります。
住宅アフターメンテナンスの具体的な点検内容

では、実際の住宅アフターメンテナンスでは「いつ」「何を」点検するのでしょうか。
ここでは、一般的なスケジュールと点検箇所について解説します。
もちろん、依頼するハウスメーカーや工務店によって内容は異なりますので、ご自身の契約内容と照らし合わせてみてください。
築10年目までの一般的な定期点検スケジュール
多くの会社では、引き渡し後の早い段階で初期の不具合がないかを確認し、その後は経年劣化が出やすいタイミングで点検を行うスケジュールを組んでいます。
- 引き渡し後3ヶ月〜6ヶ月
住み始めてから気づいた建具の調整や、クロスの剥がれなど、初期の不具合を中心に確認します。 - 1年目
建物が季節を一巡し、木材の収縮などが落ち着いた頃合いです。
構造体の歪みや建具の開閉などを重点的にチェックします。 - 2年目
1年目と同様に、初期の不具合が出尽くす時期として、全体的な状態を確認します。 - 5年目
シロアリ対策の保証期間の目安となる時期です。
床下の状態や、外壁・屋根の状態など、少しずつ劣化が見え始める部分を確認します。 - 10年目
多くの設備機器や外壁塗装などのメンテナンスが必要になる節目です。
「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」で定められた10年間の瑕疵担保責任の期間満了前でもあり、特に重要な点検です。
主要な点検箇所一覧
定期点検では、専門家が目視や簡単な計測で以下の箇所を中心にチェックします。
普段自分ではなかなか確認できない場所もプロの目で見てもらえるのが大きなメリットです。
- 外部
基礎のひび割れ、外壁のシーリング切れやひび割れ、屋根材のズレ・破損、雨樋の詰まりや破損、バルコニーの防水状態などを確認します。 - 内部
床のきしみ・沈み、壁・天井のクロスの剥がれやひび割れ、建具(ドア、窓)の開閉不良やガタつき、階段の手すりのぐらつきなどを確認します。 - 床下
床下の構造材の組み方、水漏れの跡、シロアリの被害や蟻道(ぎどう)の有無、断熱材の状態などを確認します。 - 小屋裏(屋根裏)
雨漏りの跡、野地板や垂木など構造部分の状態、断熱材のズレ、換気の状態などを確認します。 - 設備
キッチン、浴室、洗面、トイレなどの給排水設備からの水漏れ、換気扇の動作、給湯器などの動作状況を確認します。
アフターメンテナンスの費用と無償・有償の範囲
「点検や修理にお金はかかるの?」という点は、誰もが気になるところです。
アフターメンテナンスにおける費用は、「無償対応」と「有償対応」に分かれます。
一般的に、定期点検そのものは無償で行われるケースがほとんどです。
その上で、発見された不具合への対応がどちらになるか判断されます。
無償対応となる初期不具合の補修
引き渡し後、比較的早い段階で見つかる不具合の多くは、無償で修理・調整してもらえます。
これは、設計や施工が原因で生じた初期不良と考えられるためです。
- 無償対応の例
- ドアや窓の建付けが悪く、スムーズに開閉できない
- 引き渡し後すぐに壁紙(クロス)の継ぎ目が剥がれてきた
- 蛇口の根元から水がにじむ
また、「品確法」により、新築住宅の基本構造部分(柱や梁、雨水の侵入を防止する部分など)については、引き渡しから10年間、施工会社が無料で補修する義務(瑕疵担保責任)を負っています。
(参考:国土交通省 住宅の品質確保の促進等に関する法律の概要)
有償対応となる経年劣化や消耗品の交換
一方で、時間の経過とともに自然に発生する劣化(経年劣化)や、部品の寿命による不具合、住んでいる人の使い方による破損などは有償での対応となります。
- 有償対応の例
- 年数が経ったことによる外壁や屋根の再塗装
- 給湯器や換気扇などの設備機器が寿命で故障した
- ドアノブのパッキンや電球といった消耗品の交換
- 物をぶつけて壁に穴を開けてしまった
アフターメンテナンスは、こうした有償の修繕が必要になる前に「そろそろ塗装の時期ですね」といった適切なアドバイスを受けられる機会でもあります。
依頼先によるサービス内容の比較
アフターメンテナンスは、家を建てた会社にそのまま依頼するのが一般的ですが、その提供元によって特徴が異なります。
ハウスメーカー
全国展開している大手ハウスメーカーは、アフターメンテナンスの体制が整っていることが多いです。
点検の時期になるとハガキや電話で案内があり、マニュアル化された質の高いサービスを受けやすいのが特徴です。
独自の長期保証制度とメンテナンスをセットで提供している場合も多く、安心感を重視する方に向いています。
工務店
地域に密着した工務店は、何かあった時にすぐ駆けつけてくれるフットワークの軽さと、柔軟な対応が魅力です。
社長や担当者と直接話せる関係性が築きやすく、家のことを知り尽くした担当者に長く見てもらえる安心感があります。
ただし、会社によってサービスの質や内容に差があるため、契約前の確認がより重要になります。
住宅メンテナンス専門会社
ハウスメーカーや工務店とは別に、住宅の点検やメンテナンスを専門に行う会社も存在します。
施工した会社とは異なる第三者の視点で、公平な診断を受けられるのが最大のメリットです。
施工会社の点検結果に不安がある場合や、中古住宅を購入した際などに利用を検討すると良いでしょう。
アフターメンテナンスに関するよくある質問
最後に、アフターメンテナンスについてよく寄せられる質問にお答えします。
アフターメンテナンスの仕事は「きつい」のか
このキーワードで検索する方は、住宅業界への就職や転職を考えている方もいるかもしれません。
アフターメンテナンスの仕事内容は、お客様の大切な住まいを守る非常にやりがいのある仕事です。
一方で、お客様からの不具合の相談に真摯に対応するコミュニケーション能力、建築に関する幅広い知識、そして時には床下や屋根裏での点検作業といった体力も求められます。
そのため、人によっては「きつい」と感じる側面があるのも事実ですが、お客様から直接感謝される機会も多い、重要な役割を担う仕事です。
点検1回あたりの所要時間
点検する範囲や建物の大きさにもよりますが、一般的な戸建て住宅の場合、1回の定期点検にかかる時間は1時間〜2時間程度が目安です。
点検中は基本的に立ち会いが求められます。普段気になっていることなどを専門家に直接質問できる良い機会なので、ぜひ積極的にコミュニケーションをとることをおすすめします。
まとめ
今回は、住宅のアフターメンテナンスについて、その基本的な意味から具体的な内容、費用までを網羅的に解説しました。
- アフターメンテナンスは、家の価値を守り、長く快適に住むための「定期健康診断」
- 「アフターサービス」や「製品保証」とは目的や範囲が異なる
- 点検スケジュールや費用(無償・有償の範囲)を事前に把握しておくことが重要
アフターメンテナンスを正しく理解し、上手に活用すること。
そして、信頼できるパートナーを見つけることが、あなたの家という大切な資産を守り、永く快適な暮らしを続けるための第一歩となります。
山根木材では「永く住み継がれる家づくり」を目指し、これまでに累積1万件を超える施工を手掛けてきました。
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