木造住宅と鉄骨住宅の違いは?特徴やメリットデメリットも解説

  • 作成日:2023/12/22
  • 更新日:2024/09/11
  • 編集者:山根木材メディア編集部
木造住宅と鉄骨住宅の違いは?特徴やメリットデメリットも解説

住宅の構造には木造住宅・鉄骨住宅などのいくつかの種類が存在し、それぞれメリットとデメリットがあります。
これからマイホームを建築を検討している方は、まず自宅に適した構造は何か考えると良いでしょう。
住宅の構造が異なれば、建築費用や選択可能な間取りも違ってきます。

今回の記事では住宅の代表的な構造と特徴についてまとめました。
理想的な住まいを手に入れるために、ぜひ参考にしてください。

木造住宅とは

木造住宅の模型

木造住宅とは、文字通り柱・壁を含む住宅の大部分が木造で作られた住まいを指し、日本で古くから用いられている建築構造です。
日本の気候や風土に適しているという利点があり、現在の日本では大半の一戸建てが木造で作られています。

また、木造住宅に活用される木材は無垢材と集成材の2つに分類可能です。
無垢材は天然木を切り出した状態の木材のことで、選択する木材ごとにコストや寿命が異なります。
集成材は複数の木材の特性を組み合わせたもので、高い強度が保てます。
ただし、接着剤が集成材の寿命に影響を与えるため、木材自体の寿命が無垢材よりも大幅に短くなります。

無垢材、集成材のメリット・デメリットについては、こちらをご覧ください。

木造住宅の主な工法

木造住宅には、大きく分けて木造軸組工法とツーバイフォー工法の2種類があります。
木造軸組工法は、日本で昔から導入されている工法で、木材でできた柱・梁・土台で構造体が成り立ちます。
間取りの自由度が高く、リフォームしやすいのみでなく、建築可能な業者が多いというメリットもあります。

もう1つの代表的な木造住宅の工法がツーバイフォー工法です。
ツーバイフォー工法は北米で生まれた建築方法であり、2×4インチの木材をパネル状にして、パネルを組み合わせて住まいを形にしていきます。
ツーバイフォー工法の住宅は6面で構成されていることから、住まいの耐震性・機密性・断熱性が高くなります。

木造住宅の工法の詳細や対用年数については、こちらの記事をご覧ください。

鉄骨住宅とは

鉄骨の骨組み

鉄骨住宅とは柱や梁に鉄骨が活用された住宅です。
マンションやビルに多い建築方法であるものの、一戸建て住宅にも導入可能で鉄骨住宅の建築に特化したハウスメーカーも存在します。

鉄骨住宅は木造住宅と比較して頑丈であるというイメージが強いため、住まいの階数に限らず鉄骨住宅を希望する施主様も増えました。
実際に、木造住宅と比較して鉄骨住宅は耐用年数が長いのみでなく、住宅の資産価値も高くなります。

鉄骨住宅の代表的な工法

鉄骨住宅の代表的な工法は、軽量鉄骨ブレース工法と重量鉄骨ラーメン工法の2種類です。
重量鉄骨は6mm以上、軽量鉄骨は6mm未満の厚みの鉄骨が用いられます。
軽量鉄骨ブレース工法では鉄骨の骨組みをブレースで補強しながら組み上げ、重量鉄骨ラーメン工法では額縁のような形状の枠を組み立てていきます。

どちらの工法でも、強度を維持したまま自由度の高い間取りがかなえられます。
特に重量鉄骨ラーメン工法は、大型マンションやビルの建築に採用される建築方法です。

木造住宅を建築するメリット

床の上でおもちゃを散らかして遊ぶ子ども

木造住宅を建築するメリットには、次のようなものがあります。
木造住宅が長く日本人に愛されている理由は、これらのメリットが大きいです。

夏は涼しく冬は暖かく過ごせる

木造住宅は四季があり多湿な日本に適した工法です。
木材は熱伝導率が低く、調湿性と断熱性が高いため、家全体が温度や湿度を調整しながら、夏涼しく冬暖かい暮らしが実現でききます。

木造住宅の木材は、梅雨や夏の湿度の高い季節には湿気を吸収してカビを防ぎます。
さらに、冬の乾燥した季節になると、空気中に水分を放出して住まいの湿度を適正な状態に変えられます。

鉄骨造と比較して建築コストを抑えられる

木材住宅は鉄骨造の住まいよりも少ない材料費で建築できます。
鉄骨と比較して軽量なため、運搬費用・人件費も抑えられます。
さらに鉄骨住宅よりも建築・リフォーム対応可能なハウスメーカー・工務店が多いことから、より価格が下がりやすいです。

ただし、選択する木材の種類次第で材料費が大きく変わります。
特に無垢材は鉄骨住宅以上の建築費がかかることもあります。

火災発生時に倒壊しにくい

木材は火に燃えやすいと考える方も多いようですが、火災発生時に鉄骨よりも木材の方が長く強度を維持できることが分かっています。
鉄骨は一定の温度を超えると急激に強度が下がりますが、木材が完全に燃え尽きるまでには時間がかかります。
そのため、万が一の火災発生時にも家族が避難する時間が確保できます。

木造住宅の耐火性や耐火性能の基準については、こちらをご覧ください。

木造住宅を建築するデメリット

木造住宅のデメリットには次のようなものがあります。
メリットとデメリットを比較して、家族が優先するべき事柄を考えてみましょう。

品質にばらつきがある

木造住宅は現場で職人が木材の加工作業をする工程も多く、職人の腕により品質にばらつきが出る可能性があります。
また、木材の管理体制や質も住まいの仕上がりに影響を与えます。
高い品質の木造住宅を手に入れるためには、経験豊富で腕が良い職人がいる施工会社を見つける必要があります。

害虫被害を受ける可能性がある

木材を好む代表的な害虫にシロアリが存在します。
シロアリ被害を予防するためには、定期的に防蟻薬剤を散布する必要があります。

シロアリ対策を怠ると、住まいの強度が大幅に下がる可能性があります。
万が一シロアリが発生してしまった場合は、シロアリ駆除作業の後に再度防蟻薬剤を散布する必要があります。

工法によっては間取りの自由度が低い

ツーバイフォー工法では、柱ではなく面で住まいを支えるために間取りに制限ができます。
また、自由度が高いと言われる木造軸組工法でも、鉄骨造と比較すると柱や壁を多くする必要があります。

大開口の窓やワンフロアの広いリビングの実現が難しい可能性もあります。
希望する間取りがある場合は、木造住宅で実現可能であるか事前に確認すると良いでしょう。

鉄骨住宅を建築するメリット

鉄骨住宅を建築するメリットには、次のようなものがあります。
木造住宅のメリットと比較してみましょう。

耐用年数が長い

法定耐用年数とは、法律で定められた減価償却の耐用年数を指しています。
住宅の法定耐用年数は、木造住宅が22年であるのに対して、重量鉄骨造は34年と定められています。
建物の寿命は法定耐用年数通りとは限らないものの、一般的には木造住宅よりも鉄骨住宅の方が長く優れた品質を維持できます。

ただし、住宅の寿命は適切なメンテナンスによって長くなり、災害を含む外的要因で短くなる可能性もあります。
耐用年数に関しては構造以外の要因が大きく影響します。

害虫被害のリスクが低い

鉄骨住宅では柱や梁などの構造に鉄骨が用いられており、シロアリを含む害虫被害が起こりにくくなっています。
しかし、木材を使用せずに鉄骨のみで住宅が作られるケースは稀であるため、木材部分には木造住宅と同じような害虫対策が必要です。
特に多くの木材が使用されている部分や、シロアリの餌になる断熱材を含む床下や天井裏はシロアリ被害のリスクが高くなります。

品質を安定させやすい

木造住宅と違い、鉄骨住宅に用いられる材料や部品は工場で生産されることから、品質が安定させやすくなります。
鉄骨の組み立て作業にも木造住宅のような技術が求められないため、職人の腕次第で住宅の品質にばらつきが生まれる問題が防げ、一定の品質を保つことができます。

鉄骨住宅を建築するデメリット

木造住宅と同じく鉄骨住宅にもいくつかのデメリットが存在します。
メリットとデメリットを比較してみましょう。

建築コストが上がりやすい

鉄骨住宅は木造住宅と比較して建築コストが高くなりやすいです。
現場での加工が難しく、多くの材料を工場で加工してから運搬するために、多くの運搬費・人件費などのコストがかかります。
また、資産価値が高く固定資産税が下がりにくいというデメリットもあります。

防錆処理が必要

鉄骨はシロアリの被害には遭いませんが、錆びる可能性があります。
錆は鉄+水+空気の化学反応で発生し、放置すると鉄骨の強度が下がってしまいます。
防錆処理をすることで、錆を予防できます。
防錆措置の方法については、住宅の建築を依頼するハウスメーカーや工務店に確認すると良いでしょう。

木造以上の地盤補強が必要

鉄骨住宅は木造住宅よりも重いことから、建設時に地盤補強が必要になる可能性が考えられます。
特に地盤が弱い土地では、地盤補強のために100万円以上のコストを用意する必要があります。

建築予定地の地盤について、鉄骨住宅が建築可能かどうか事前に調べることも重要です。
地盤補強の可能性があるのなら、余裕のある資産計画を立てておきましょう。

対応可能な業者が限られる

鉄骨住宅の建築に対応している業者は、木造住宅を建築可能な業者ほど多くありません。
そのため、選択肢が限られる中でハウスメーカー・工務店探しをすることになります。
結果的に、理想的な提案が受けられない可能性が考えられます。

木造住宅と鉄骨住宅の性能を比較

家について相談する二人

木造住宅と鉄骨住宅にはそれぞれメリットとデメリットが存在するのみでなく、建築後の住宅の性能も異なります。
ここでは、代表的な住宅性能を構造別に比較しました。

住宅性能 木造住宅 鉄骨住宅 説明
耐火性能 鉄骨は700度を超えると変形するが、木造は倒壊までの時間がかせげる
防音性 構造よりも窓や外壁材の影響を受ける
気密性 鉄骨造は木造に比べて気密性能を上げにくい
耐震性 構造よりも耐震等級によって異なる

表を見ても分かるように、住まいの性能の多くは構造よりも、他の要因により異なります。
家族が優先したいと考えている住宅性能があるのなら、住宅の木造か鉄骨かで考えるのではなく具体的な対策を施す必要があります。
例えば耐火性を向上させたいのであれば、ファイアーストップ構造や石膏ボードを取り入れるなどの手段があります。

木造住宅と鉄骨住宅のどちらが家族に向いているのか

明るい雰囲気のリビングダイニング

マイホームの構造を木造か鉄骨かで決めかねている方は、次のようなポイントを参考にしてみてください。
住まいの構造は建築後に変更できないため、十分な検討が必要になります。

建築コストを抑えたマイホーム建築がしたいなら木造住宅

建築コストを抑えてマイホームを手に入れたい方は、木造住宅がおすすめです。
木造住宅の住宅性能に不安があるのであれば、家族が求める住宅性能がかなえられる対策を追加すると良いでしょう。
また、より耐震性が高い木造住宅を建築したい場合は、ツーバイフォー工法をおすすめします。

高層の住宅を建てようと考えているのなら鉄骨住宅

賃貸物件付きの住宅や、限られた土地に3階建以上の高層住宅を建てたいと考えている方は鉄骨住宅を選びましょう。
また、鉄骨住宅は資産価値が下がりにくという特徴があるため、住まいの価値を維持したいと考えている方にも適しています。
ただし、鉄骨住宅の建築には強い地盤が必要であることから、地盤補強の可能性を考えた資産計画を立てておく必要があります。

まとめ

住宅の構造には木造住宅と鉄骨住宅があります。
両者には明確な違いがあり、必要な建築コストも異なります。
それぞれのメリットとデメリットを十分理解し、比較した上で住まいの構造を決める必要があります。

また、耐震性や耐火性などの住宅性能は、構造のみでなくその他の対策によって左右されます。
何を優先するべきかを考え、理想的なマイホームを建築しましょう。

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この記事を書いた人
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山根木材メディア編集部

ヤマネホールディングス株式会社マーケティング課が、住まいの検討やより良い暮らしに向けたお役立ち情報などを発信しています。

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