中古の木造住宅を探していると、「法定耐用年数は22年です」という言葉を耳にすることがあります。
「え、じゃあ築25年のこの家は価値がないの?」「あと数年しか住めないってこと?」
そんな大きな不安を感じて、購入をためらってしまう方も少なくありません。
しかし、ご安心ください。その「耐用年数22年」という数字は、家が実際に住める期間、つまり「寿命」とは全く関係ありません。
この記事では、多くの方が誤解しがちな木造住宅の「法定耐用年数」と「本当の寿命」の違いを徹底的に解説します。
さらに、耐用年数が中古住宅の資産価値や住宅ローンにどう影響するのか、そして購入後に後悔しないためのチェックポイントまで、専門家の視点で分かりやすくお伝えします。
木造住宅の「法定耐用年数」と「実際の寿命」は全くの別物
中古の木造住宅を検討する上で最も重要な知識は、「法定耐用年数」と、実際に住み続けられる「寿命」が全く異なる指標であるということです。
この2つの違いを理解することが、不安解消の第一歩です。
法定耐用年数22年は税金計算(減価償却)のための年数
法定耐用年数とは、国税庁が定めた、税金の計算(減価償却)のために使われる“帳簿上の年数”のことです。
木造住宅の場合は一律で「22年」と定められています。
これは、不動産オーナーなどが確定申告をする際に、建物の取得費用を22年かけて少しずつ経費として計上していく(これを減価償却といいます)ための会計上のルールに過ぎません。
あくまで税務上の基準であり、建物の物理的な強度や、「あと何年住めるか」という寿命とは一切関係ありません。「法定耐用年数が22年だから、築22年で建物の価値がゼロになる」というのは、税金の計算上での話であり、実際の市場価値や住み心地とは直結しないのです。
実際の寿命はメンテナンス次第で50年、80年以上にもなる
木造住宅が実際に住める期間、つまり「本当の寿命」は、適切なメンテナンスを行えば50年、80年、さらには100年以上にもなります。
事実、早稲田大学の研究(※)によると、日本の木造住宅の平均寿命は年々延びており、2011年時点の調査では65年に達しています。
これは、建築技術の向上や、良質な住宅を長く維持しようという意識の高まりによるものです。
特に、国が定める基準をクリアした「長期優良住宅」は、100年以上の耐久性を持つことを前提に設計されています。
法定耐用年数という数字に惑わされず、その家がどのように建てられ、どのように維持管理されてきたか、という「品質」を見ることが、中古住宅選びでは最も重要です。
(※参考:公益社団法人 大阪府不動産鑑定士協会「鑑定おおさか No.46」)
長期優良住宅については、こちらの記事をご覧ください。
【用途別】耐用年数の違い早わかり表
「法定耐用年数」と「物理的耐用年数(本当の寿命)」の違いを、目的や意味で比較してみましょう。
法定耐用年数が不動産取引に与える影響
「寿命とは違うと分かっても、やっぱり不動産の取引には影響があるのでは?」という疑問は当然です。
ここでは、資産価値(査定)と住宅ローン審査への具体的な影響について解説します。
中古住宅の資産価値(査定)への影響
不動産の査定において、築年数が評価の一つの指標になることは事実です。
しかし、「法定耐用年数超え=資産価値ゼロ」ということにはなりません。
金融機関や不動産会社が査定を行う際、法定耐用年数はあくまで参考指標の一つです。
それ以上に重視されるのが、建物の現在の状態、過去のメンテナンスやリフォームの履歴、そして立地条件です。
例えば、築30年でも定期的に外壁や屋根のメンテナンスが行われ、水回りがリフォームされている家は、メンテナンスされていない築15年の家よりも高く評価されることがあります。
法定耐用年数という数字だけで判断せず、その家がどれだけ大切にされてきたかという「品質」で価値を見ることが重要です。
住宅ローン審査への影響
「法定耐用年数を超えた物件は、住宅ローンを組めないのでは?」というのも、よくある不安の一つです。
結論から言うと、法定耐用年数を超えていても住宅ローンを組むことは十分に可能です。
確かに、一部の金融機関では法定耐用年数を融資期間の上限の目安にすることがあります。
しかし、多くの金融機関は、申込者の返済能力(年収、勤続年数、信用情報など)と、物件の現在の状態や担保価値を総合的に判断して融資を決定します。
特に、しっかりとしたホームインスペクション(住宅診断)で建物の状態が良好であることが証明できれば、融資の可能性はさらに高まります。
諦めずに複数の金融機関に相談したり、中古住宅に詳しい不動産会社に相談したりすることが大切です。
木造住宅の本当の寿命を延ばすメンテナンス方法
木造住宅の本当の寿命は、日頃のメンテナンスによって大きく左右されます。
大切な自宅に長く快適に住み続けるためには、計画的なメンテナンスが欠かせません。ここでは、特に重要な3つのポイントを紹介します。
屋根・外壁の定期的な塗装と補修
屋根や外壁は、常に紫外線や雨風に晒され、家全体を外部環境から守っている最も重要な部分です。
塗装の防水効果が切れたり、ひび割れ(クラック)が生じたりすると、そこから雨水が壁の内部に浸入し、柱や土台といった構造体を腐らせる原因となります。
一般的に10年~15年に一度のペースで、専門家による点検と再塗装を行うことが、家の寿命を延ばす上で非常に重要です。
費用はかかりますが、構造体が傷んでからの大規模な修繕に比べれば、はるかに安く済みます。
シロアリ対策(防蟻処理)
木造住宅の大敵であるシロアリの被害を防ぐことも、寿命を延ばすためには不可欠です。
新築時に行われる防蟻処理の効果は、一般的に5年程度で切れてしまいます。
効果が切れた状態を放置すると、湿気の多い床下や水回りからシロアリが侵入し、土台や柱を食べてスカスカにしてしまう恐れがあります。
一度被害にあうと、耐震性が著しく低下してしまいます。
少なくとも5年に一度は専門業者による床下点検を行い、必要に応じて防蟻処理を再施工することが、家を長持ちさせるための重要な投資です。
適切な換気と水回りの点検
木材にとって湿気は劣化の大きな原因です。
特に、普段目に見えない壁の内部や床下で発生する「内部結露」は、木材を腐らせる原因となります。
これを防ぐためには、定期的な換気を心がけ、室内に湿気を溜めないことが大切です。
また、キッチンやお風呂、トイレといった水回りは、小さな水漏れが起こりやすい場所です。
床下や壁の内部で水漏れが長期間続くと、木材が腐ってしまいます。
定期的に水回りの配管周辺を点検し、異常があれば早めに修繕することが、家の寿命を守ることに繋がります。
耐用年数を超えた中古木造住宅を購入する際のチェックポイント3選
法定耐用年数を超えた中古住宅でも、状態の良い物件はたくさんあります。
購入後に後悔しないために、以下の3つのポイントを必ずチェックしましょう。
ポイント1:ホームインスペクション(住宅診断)を実施する
ホームインスペクションとは、住宅診断の専門家が第三者の視点から、建物の劣化状況や欠陥の有無を診断することです。
屋根裏や床下など、普段見ることのできない部分まで詳しくチェックし、構造上の問題や雨漏りのリスク、断熱材の状態などを客観的に評価してくれます。
費用は5万円~10万円程度かかりますが、購入前に建物の健康状態を正確に把握できるため、安心して取引を進めるための必要不可欠な投資と言えます。
診断結果を基に、必要なリフォーム費用を算出し、価格交渉の材料にすることも可能です。
ポイント2:メンテナンス・リフォーム履歴を確認する
その家がこれまでどのように維持管理されてきたかを示す「メンテナンス履歴」や「リフォーム履歴」は、人間でいうところの健康診断記録のようなものです。
売主や不動産会社に依頼して、これまでの修繕記録を取り寄せましょう。
例えば、「10年ごとに外壁塗装を実施している」「5年前に給湯器を交換している」といった記録があれば、その家が大切にメンテナンスされてきた証拠になります。
特に、外壁・屋根の修繕履歴とシロアリの防蟻処理の履歴は、建物の寿命に直結するため、必ず確認すべき重要なポイントです。
ポイント3:1981年6月以降の新耐震基準に適合しているか確認する
日本の住宅の耐震基準は、1981年6月1日に大きく改正されました。
この日以降に建築確認を受けた建物は、震度6強~7程度の地震でも倒壊しないことを基準とする「新耐震基準」で建てられています。
法定耐用年数を超えた築25年や30年の物件であっても、この新耐震基準を満たしていれば、耐震性については一定の安心感があります。
逆に、1981年5月31日以前の「旧耐震基準」で建てられた物件の場合は、購入後に耐震補強リフォームが必要になる可能性が高いです。
住宅ローン控除などの税制優遇を受けるためにも、新耐震基準を満たしているかは必ず確認しましょう。
木造住宅の2つの建築工法
木造住宅にはさまざまな建築工法があります。そのなかでも代表的なのが「木造軸組工法」と「ツーバイフォー工法」の2つです。
2つの建築工法について、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
木造軸組工法(在来工法)
木造軸組工法は、日本古来の建築工法で「在来工法」とも呼ばれます。
柱と梁で補強しながら骨組みを築いていき、部材と部材の接合部は木材を加工し、補助金物で接合するという組み方が特徴です。
上記のとおり、金物で接合するものが「在来工法」と呼ばれます。
一方、伝統建築では接合部に金物を使わず、そこも含めてすべて木材で接合しています。こちらは同じ木造軸組工法でも「伝統工法」と呼ばれるのが一般的です。
現在の日本の木造住宅で最も普及している建築工法が「在来工法」です。
面で建物を支えず、柱と梁で組んだ枠で支える作りのため、壁を比較的少なくできて間取りの自由度が高いとされます。
ただし、家づくりに高い技術が求められるので、建築する職人の質によって仕上がりが左右することがある点は要注意です。
ツーバイフォー(2×4)工法
ツーバイフォー(2×4)工法は、建築基準法において「枠組壁工法」と呼ばれる建築工法です。
木造軸組工法と異なって柱や梁を使用せず、床・壁・天井で構成される6面体を構造体として建物を建てていきます。建物を面で支える構造のため、在来工法よりも耐震性が優れています。
工場で組み立てた壁パネルや床パネルを現場で組み立てるので、他の工法よりも施工期間の短縮が可能です。
ツーバイフォー工法は、同じように部材を組み合わせて作った枠で建物を支える鉄骨造と比べて、耐火性が高いのも魅力です。
面で支える工法は高い気密性と断熱性が期待できるので、省エネルギー性も高くなるのです。
なお、「ツーバイフォー」という名前は、枠組みを作るのに使う木材の規格が約2インチ×約4インチであることから取られています。
使用場所や工法によっては、2×6材、2×8材、2×10材、2×12材など他の規格材を使用することもあります。
木造以外の建築工法の種類
住宅の建築工法は木造以外にもあります。ここでは、木造以外で代表的な建築構造である「鉄骨造(S造)」と「鉄筋コンクリート(RC)造」について解説しましょう。
鉄骨造(S造)
戸建て住宅でも取り入れられることの多い鉄骨造(S造)には、「軽量鉄骨造」と「重量鉄骨造」の2種類があります。
2つの違いは使用する鋼材の厚さにあり、厚さが6mm未満だと軽量鉄骨造、6mm以上だと重量鉄骨造です。
軽量鉄骨造は、木造軸組工法のように軽い鉄骨を枠状に組み上げた骨組みで建物を支える構造です。
大手のハウスメーカーが採用しているので、商品バリエーションが豊富であることも特徴といえます。
使用する鉄骨は規格化されているので品質が安定しているうえ、特別な技術を必要としないので大量生産しやすいというメリットもあります。
重量鉄骨造はラーメン構造とも呼ばれ、鉄骨でできた柱と枠で建物を支える構造です。
オフィスビルや中高層マンションにも採用され、高い強度の柱や梁は少ない本数で建物を支えることが可能です。
柱や梁の本数を少なくすることで大開口窓や大空間を設けることもできます。ただし、建物が重くなるために建築コストは割高になりやすいでしょう。
鉄筋コンクリート(RC)造
一般的に中低層や中高層マンションの建築で用いられるケースが多い構造が、鉄筋コンクリート造(RC造)です。
柱や梁を組み上げる際、あらかじめ用意した型枠に鉄筋を設置、コンクリートを流し込んで建物の骨格を作っていきます。
圧縮する力に強いものの引っ張る力に弱いコンクリートと、引っ張る力に強い鉄筋とを組み合わせていることから、耐震性・耐火性・遮音性に優れているのが特徴です。
地震や台風といった自然災害の被害に遭ったとしても、鉄筋コンクリート造なら倒壊する可能性は低いでしょう。
このように強度は他の工法に比べて優れていますが、その分建築コストは高くなります。
木造住宅のメリット
木造住宅は、他の建築工法と比べてどのような点が優れているのでしょうか。
ここでは、木造住宅のメリットを紹介します。
建築コストが他の建築工法より抑えられる
木造住宅は、他の建築工法よりも建築費の坪単価が安い傾向にあり、トータルでの建築コストを抑えられるのがメリットです。
国土交通省「建築着工統計調査(令和5年度)」によると、木造戸建て(持家)の建築費予定額の坪単価は約73.5万円でした(1坪=3.3㎡として計算、以下同じ)。
これに対し、鉄骨造の坪単価は約117.6万円、鉄筋コンクリート造の坪単価は約142.2万円となっており、いずれも木造の建築単価を大きく上回っています。
木造は他の工法に比べて建物重量が軽いため、基礎工事や地盤改良工事のコストを抑えやすいこともトータルコストの削減に寄与しています。
間取りや設計の自由度が高い
木造住宅のなかでも在来工法で建てられた住宅は、間取りや設計の自由度が高いのもメリットです。
在来工法の場合、柱と梁で点と点を結ぶようにして建築するため、空間の広さや形を比較的自由に設計できます。
強度を十分に確保できる構造であれば、柱のない大空間を有する家も実現できるでしょう。
同じ木造でも、ツーバイフォー工法は面で支える構造のため、在来工法に比べると設計の自由度は低めです。
リフォームやリノベーションがしやすい
在来工法の場合、将来のリフォームやリノベーションがしやすいというメリットもあります。
柱と梁で建物を支える在来工法の家では、壁を取り払っても建物の強度に影響を与えにくく、間取り変更の自由度が高いとされます。
間仕切り壁の移動、開口部の追加・変更などがしやすいため、増改築をともなう大規模リノベーションにも柔軟に対応可能です。
将来の家族構成やライフスタイルの変化に応じて、住みやすい家づくりができる点は大きな魅力といえるでしょう。
適切なタイミングでリノベーションできるというのは、家の長寿命化にもつながる大切な要素です。
調湿効果があり室内が適度な湿度に保たれやすい
樹木の持つ調湿効果を期待できるのも木造住宅のメリットです。
木材は多湿の環境下において吸湿し、空気が乾燥してくると内部にある湿気を放湿します。この調湿効果によって室内の湿度を一定に保てるのです。
湿気が多いとカビやダニが発生する原因になり、反対に湿気が少ないと細菌やインフルエンザウイルスなどの活性化、肌の乾燥などを引き起こします。
室内の湿気を適度に保つことは健康な生活にとって重要です。
調湿効果のある木造住宅は、季節による湿度変化の大きい日本の気候に適した工法といえます。
なお、室内の見えるところにどれくらい木を使用しているか、調湿性を損なわない塗装かどうかなどによって、調湿機能の高さは異なります。
断熱性能が高く、夏涼しく冬暖かい
冬にコンクリートを触ると冷たく、夏に触ると熱くてビックリした経験がある方も多いのではないでしょうか。
コンクリートや金属は熱伝導率が高いため、外気の影響を受けやすいのです。一方の木材は熱伝導率が低く、外気の影響を受けにくいという特徴があります。
そのため、木造住宅は季節による急激な温度変化が少なく、夏は涼しく冬は暖かい快適な住まいになります。
鉄骨造や鉄筋コンクリート造の家は断熱性が低いため、十分な断熱対策を施さないと、冬は底冷えする家になってしまうでしょう。
火事に強い
多くの方が意外に感じるかもしれませんが、木造住宅は火事に強いのもメリットです。
「木は燃えやすい」と考えがちですが、住宅の建材に用いられる木材は分厚く、火が回ったとしても芯まで燃え切るには時間がかかります。
火事の発生時でも内部まで火が届きにくいため、耐火性は十分なのです。
反対に、火事に弱いとされるのが鉄骨造です。鉄骨は熱伝導率が高く、火事によって鉄自体の温度が急激に上がってしまいます。
熱で鉄骨が折れ曲がり、建物ごと崩壊してしまう危険性があります。
木造住宅の耐火性については、こちらの記事をご覧ください。
木の香りによるリラックス効果が期待できる
木造住宅は、木の香りによるリラックス効果が期待できる点も魅力です。
無垢材など自然素材を使用した木造住宅に入ると、木が持つ特有の香りを感じられます。
これは木の精油成分「フィトンチッド」が放つもので、人が嗅ぐとストレス軽減やリフレッシュ効果につながることが知られています。
森林浴で気分がスッキリしたり、檜風呂で木の香りに癒やされたりするのと同じ効果です。
フィトンチッドは人に良い効果をもたらす反面、虫など他の動物には嫌われる成分です。
そのため、自然素材を使った木造住宅は天然の防虫・防菌作用も期待できます。
木造住宅のデメリット
魅力の多い木造住宅にはデメリットも存在します。
どれも工夫によって軽減できるものですので、新築時に配慮して設計するとよいでしょう。
鉄骨造や鉄筋コンクリート造に比べると耐震性が低い
鉄骨造や鉄筋コンクリート造の住宅は柱や梁の強度が高いため、大開口窓や大空間を設けても建物の耐震性が損なわれることはあまりありません。
しかし、木造住宅だと柱や梁の配置や構造によって、耐震性が確保しづらくなるという問題があります。
ただ、木材にはしなやかさと乾燥によって強度が増すという特徴があり、鉄骨やコンクリートよりも地震の揺れを逃しやすい面もあります。
鉄筋コンクリート造に比べて重量の軽い木造住宅は地震による揺れそのものが小さくなることもあり、工夫次第で耐震性の高い住宅を実現可能です。
地震に強い家を建てる際のポイントについては、こちらの記事をご覧ください。
遮音性能が低く、音を通しやすい
木造住宅は鉄骨造や鉄筋コンクリート造の住宅に比べ、遮音性能が低いという弱点があります。
室内で生活音が響きやすいことに加え、外の騒音が室内に届きやすい場合があるでしょう。
これは壁や柱に使われる素材が軽いうえ、壁内の空洞が大きい作りのため、壁を通して音が伝わりやすいことが原因です。
木造住宅であっても、グラスウールやロックウールの断熱材を壁内に充填しているケースでは高い防音性を発揮することがあります。
吸音効果の高い素材を用いて断熱性・気密性を高めれば、遮音性能もアップできるでしょう。
施工会社や職人の技量によって品質にムラが生じやすい
木材は天然の素材であり、1つとして同じものはありません。
もともと木によって品質や強度に差があることに加え、管理状態や加工方法によっても品質にバラつきが生じます。
こうした異なる特徴を持つ木材を適切に加工し、質の高い住宅を実現するには施工会社や職人の高い技術が求められます。
一方、鉄骨造や鉄筋コンクリート造は工業製品を用いるため、建材の品質や強度が一定で加工しやすくなっています。
木造住宅を建てる際は、施工会社選びがより重要です。
シロアリ被害を受けやすい
シロアリによる食害を受けやすいのも、木造住宅ならではのデメリットです。
シロアリは湿った木材を好んで食べるため、床下や水回りなど湿気の溜まりやすい場所では食害に要注意です。
シロアリ被害を放置しておくと、柱や基礎がボロボロに食われてしまい、耐震性にも大きく影響します。
かつては木造住宅の大敵だったシロアリですが、最近では床下にコンクリートを敷き詰めるベタ基礎が普及していることもあり被害は減ってきています。
木造住宅を建てる際にチェックすべきポイント
木造住宅は広く普及しているので、依頼するハウスメーカーや工務店の選択肢が豊富です。
どの会社を選ぶかによって、細かな構造や強みが異なります。木造住宅の新築にあたって比較検討する際、チェックすべきポイントを見ていきましょう。
住宅の耐震性能
日本で住宅を建てるなら耐震性能には気を配りたいところです。住宅の耐震性を表す指標としてわかりやすいのが「耐震等級」です。
耐震等級は住宅性能表示制度と耐震診断の結果に基づく指標で、その家が地震の揺れにどれだけ強いかを表しています。耐震等級は3段階あって数字が大きいほど耐震性能が高くなります。
最高ランクの耐震等級3を標準仕様としているメーカーを選ぶと、耐震性能に優れた木造住宅を建てられるでしょう。
耐震等級3のメリット・デメリットについては、こちらの記事をご覧ください。
家づくりに使われている木材
木造住宅に使われる木材にもさまざまな種類があります。
使用する木材によって、木目や艶といった見た目の印象、香り、感触などが異なります。木材が異なれば、室内の雰囲気や居心地の良さも変わってくるのです。
また、基礎や柱・梁などに使う構造材と室内に使う内装材では、求められる機能や役割が異なります。比較検討をする際は、各所に使われている木材の種類にも着目しましょう。
気密性の高さ
快適な住まいづくりのためには、断熱性だけでなく気密性を高めるのも重要です。
気密性が高いと室内を快適な温度・湿度に保ちやすくなるうえ、木造住宅のデメリットである遮音性能の低さをカバーすることができます。
メーカー選びでは「高断熱」とともに「高気密」の家づくりをしているかどうかもチェックしましょう。
木造住宅の実例集
木造住宅に関するポイントを確認したところで、最後に、山根木材が手がけた木の温もりを感じられる住宅の施工実例を2つ紹介します。
杉の香りと猫との暮らしを満喫する住まい
こちらの木造住宅のリビングは床や壁、天井の梁にいたるまで、木の質感をふんだんに感じられるのが魅力です。
愛猫との暮らしが快適になるよう、フローリングを当初希望していた無垢材ではなくペット対応型のフローリングに変更しました。
奥の壁に無垢の杉板を張ることで、豊かな木の香りに癒されるリビングとなりました。
経年変化による味を楽しめる住まい
2つ目に紹介するのは、床や屋根に用いられた木材の美しさが印象的なこちらの住宅です。
広島県産のヒノキや杉をふんだんに使用しており、豊かな香りと経年変化が楽しめます。
その土地に適した地場の木材を採用するとともに、深い軒を設けることで雨風による建物への影響を抑えているのも特徴。丈夫で長持ちする木造住宅が完成しました。
木造住宅のメリット・デメリットを知って家づくりを成功させよう
木造住宅の「法定耐用年数」と「本当の寿命」の違いについて解説しました。 最後に、この記事の最も重要なポイントをまとめます。
- 法定耐用年数(22年)は税金計算のための数字であり、家の寿命とは全く関係ない。
- 木造住宅の本当の寿命はメンテナンス次第で、50年、80年と長く住み続けることが可能。
- 中古住宅を検討する際は、築年数という数字だけでなく、メンテナンス履歴や建物の状態をしっかり確認することが重要。
木造住宅は一般的に鉄骨造や鉄筋コンクリート造の住宅に比べると、耐震性の面では劣るといわれます。
しかし古くから採用されてきた工法だけに、日本の風土に合っているのでメリットが多くあります。
耐震性についても、強固な構造で建築すれば十分に確保できるでしょう。
山根木材が手がける木造の注文住宅は、強度や耐久性に優れる広島県産のヒノキを土台に標準採用。
長期優良住宅とZEHを標準仕様とし、耐震等級3を実現するなど、長く安心して暮らせる家づくりを追求しています。
中古住宅のリフォームに関するご相談も承っておりますので、お気軽にご相談ください。
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