回遊動線のメリットデメリットとは?後悔しない間取りや注意点も解説

  • 作成日:2024/01/17
  • 更新日:2024/09/11
  • 編集者:山根木材メディア編集部
回遊動線のメリットデメリットとは?後悔しない間取りや注意点も解説

せっかく自由設計の注文住宅を建てるなら、「家事効率が良い間取りにしたい」と願う人は多いでしょう。
そんな家事を効率化したい人々から、いま注目を浴びているのが「回遊動線」です。

回遊動線とは、行き止まりがなく家の中をぐるぐると回ることのできる動線のことです。
回遊動線があれば家事効率が良くなり、家のなかで渋滞が起きることも避けられます。
ただし設計難易度が高いため、やみくもに取り入れると逆に使い勝手が悪くなるかもしれません。

この記事では、家事効率をアップさせたい人に向けて、回遊動線のメリットやデメリット、取り入れる際の注意点などを解説します。
間取りプランも紹介するので、自分たちのライフスタイルに合う動線をイメージしてみましょう。

回遊動線のある間取りとは

家の中を一周できる間取り

そもそも回遊動線とは、行き止まりがない動線のことです。例えば玄関からLDK、LDKから洗面所、そしてLDKから再び玄関に…といったようにぐるりと移動できる経路を指します。

ただし回遊動線の目的は、「一周させる」「ぐるぐる移動する」ことではありません。
部屋に出入り口を2カ所以上設けて無駄な移動をなくすことこそが、回遊動線を設ける目的なのです。

例えば洗面脱衣室に出入り口を2カ所設けて、1つはキッチンに、もう1つは玄関へとつながるよう設計してルートを増やします。
ルートが増えると、目的の部屋に遠回りする必要がありません。いわば家の中に「近道」を作ることで、無駄な移動をしなくて済むのです。

回遊動線のメリット

開放感のある広い家

移動の無駄がなくなることに加えて、以下のようなメリットが挙げられます。

家事効率が良くなる
開放的な間取りになる
行きたい部屋にアクセスしやすくなる

ここからは回遊動線によりもたらされるメリットを解説します。

家事効率がグンと良くなる

回遊動線を取り入れると、家事効率が大幅にアップします。
例えばキッチンを中心に、リビング・洗面脱衣室など水回りの移動経路に回遊動線を取り入れると、料理の準備や待ち時間の間に洗濯をしたり子供を見守ったりするのが楽になります。
行きたい場所への近道ができるので、家の中を行き来するストレスが軽減されるでしょう。

回遊動線と組み合わせて、計画的に収納を備えるとより効果的に家事効率を高められます。
収納計画のポイントは、「どうしたら不便を解消できるか」を考えることです。

例えば、洗濯機の近くにファミリークローゼットがあれば、各個室に洗濯物を持っていかずに済みます。
またキッチン付近には食材や大型の食器、調理用品などをしまうパントリーやキッチンクロークを設置すれば、片付けや買い物後の収納も楽ちんです。

室内が開放的になる

回遊動線で移動をスムーズにするためには、壁などの仕切りをある程度省かなければいけません。
そのため、回遊動線を取り入れた室内は壁が少ない構造で開放的になり、自然に家族の存在を感じられる住まいになります。

実は昔の日本家屋は、回遊動線と通じるものがあります。日本家屋は部屋の間がふすまで仕切られており、ふすまを開け閉めしつつ居間からキッチン、居間から玄関へとスムーズにアクセスできるつくりになっていました。
日本家屋にならって、出入り口を引き戸にするとさらに開放感のある住まいになりやすいでしょう。

行きたい場所にアクセスしやすい

回遊動線は、行きたい場所に複数の方法でアクセスできます。複数の経路を作ることで、家族同士のプライバシーを確保しやすい間取りになるでしょう。

例えば、玄関からリビングを通らないと各自の個室に入れない間取りでは、リビングに来客がいても部屋を横切らなければなりません。
しかし、玄関から個室にたどり着く別の通路があれば、来客と顔を合わせずに自分の個室に入室できます。

来客の多いご家庭なら、他の家族が気兼ねなく部屋の中を行き来できる回遊動線を検討してみるのも良いかもしれません。

リビングが汚れない

洗面脱衣室を中心に回遊動線を上手く取り入れると、リビングを汚さずに済みます。
例えば、玄関と洗面脱衣室をつなげれば、公園遊びで泥や砂で汚れた子供がリビングを経由せずに洗面脱衣室に直行できます。
汚れた洋服はそのまま洗濯カゴに入れれば、リビングが汚れません。

スポーツなどで汗まみれの子供なら、そのままお風呂に入ることも可能です。
加えて、ファミリークローゼットも近くにあれば、きれいに身支度を調えてからリビングに入室できるでしょう。
外からの砂や泥、花粉などをリビングに持ち込まずに済むと、掃除が楽になるメリットもあります。

回遊動線のデメリット

回遊動線は設計が複雑になるため、場合によっては使い勝手が悪くなることがあるかもしれません。
本当に必要な回遊動線なのか、居住スペースはしっかり確保できるかなどを十分考慮した上で、取り入れましょう。
ここでは、回遊動線のデメリットをその対策を併せて紹介します。

廊下が増えて必要なスペースを圧迫してしまう

回遊動線の取り入れ方によっては、廊下が増えて居住スペースを圧迫してしまう可能性があります。

アイランドキッチンをイメージすると分かりやすいかもしれません。
壁から独立したスタイルのアイランドキッチンは、回遊動線の1つです。四方のすべての部分が壁に囲まれていないため、アイランドキッチンを中心に回遊動線が生まれます。
しかしそれぞれに通路幅を確保しなければならないため、設置するにあたり広いスペースを占有します。

アイランドキッチンと同じ原理で、間取りに回遊動線を取り入れると廊下スペースが増えてしまいます。
特に床面積に限りがあると居住スペースを圧迫して、必要な広さを確保できないかもしれません。

ただし間取りの設計によっては、通路を増やさずに回遊動線を作ることも可能です。
例えば、ウォークインクローゼットに出入り口を1つ増やしてすり抜けられるウォークスルークローゼットにする方法です。
収納を使って出入り口を増やせば、通路としても使えるようになります。

建築コストが高くなる

回遊動線を作ると必然的に通路やドアが増える間取りになるため、施工の手間や建築材料が増えて、回遊動線がない間取りに比べて建築コストが膨らみます。
また前述したように回遊動線を作ると、必要なスペースが圧迫されます。
必要なスペースを確保しようと家の延べ床面積を増やすことになれば、さらに建築コストがかさむでしょう。

建築コストを抑えるには、必要最小限の回遊動線のみ取り入れることが重要です。
「本当に回遊動線が必要なのか」と慎重に考えると、不要な回遊動線を作らずに済みます。
くれぐれも、トレンドに流されて無駄な回遊動線を作ることは控えましょう。

人によっては落ち着かない場合がある

回遊動線があると人の移動が頻繁になり、場合によっては落ち着かないこともあるため注意しましょう。回遊動線がなければ、部屋への出入り口は1カ所のみです。
しかし回遊動線にして部屋に出入り口を2カ所以上設けると、それぞれの入り口からの人の出入りが増えます。

例えば、洗面脱衣室を回遊動線に組み込んだ場合、お風呂に入っていても人の出入りが気になり落ち着かないかもしれません。
出口が2カ所あるウォークスルークローゼットも、気が散ってゆっくりと身だしなみを整えられなくなる場合があります。

長居する場所、落ち着いて作業や身支度をしたい場所には、回遊動線を取り入れない方がよいかもしれません。
家族の価値観やライフスタイルを反映した回遊動線を設計しましょう。

使わない出入り口が出てくる

暮らし始めた後に「それほどこの回遊動線は必要なかったかも…」と感じる人もいます。
設計時は「ここにあれば便利!」と思い取り入れたものの、実際に暮らすとそんな頻繁に利用しないという出入り口が出てくるケースもあります。

例えば来客のために、玄関~和室~LDKに回遊動線を取り入れたとしましょう。
実際、和室とLDKを行き来する頻度が少ないと、その部分の出入り口の使用頻度は減ります。

回遊動線を活用するためには、「ただ出入り口を複数設ければよい」というわけではありません。
家族のライフスタイルを意識して、便利な回遊動線をイメージしてみましょう。

回遊動線のある間取りで後悔しないためのポイント

玄関からクローゼットまで一直線

ここでは、回遊動線を取り入れて後悔しやすい事例を紹介しつつ、後悔しないためのポイントを解説します。

日常の小さなイライラを解消したい場所に回遊動線を取り入れる

「ここに出入り口があれば便利かもしれない」と、安易に回遊動線を取り入れると後悔する恐れがあります。
一方で、日常生活でのちょっとしたイライラを解消したいところに回遊動線を取り入れると、後悔しにくくなります。具体的な悩み、要望にもとづき回遊動線を計画しましょう。

例えば現在の住まいで、料理しながら洗濯はできるものの、洗濯物を抱えてベランダに出にくいといった悩みがあるなら、キッチン~洗面脱衣室~リビングを回遊動線にすると、ベランダに出やすくなり家事効率がアップします。

また帰宅後にすぐに、コートや着ていた洋服をクローゼットにしまって手を洗いたい人には、玄関を含む回遊動線がおすすめです。
玄関脇にクローゼットを設置して、クローゼット~洗面脱衣室~LDKを回遊動線にすると、帰宅時の行動がスムーズになり身支度も整えやすくなります。

必要な居住スペースや収納スペースを確保したうえで回遊動線を取り入れる

回遊動線を取り入れたことで、居住スペースや収納スペースが少なくなり、暮らしが不便になっては本末転倒です。特に狭小住宅のように、床面積に限りがある場合は要注意です。

例えば、アイランドキッチンをLDKに取り入れたい場合で考えてみましょう。
アイランドキッチンを取り入れると、スペースが圧迫されて広いリビングにできないかもしれません。
一般的に4人家族ならリビングの広さが16~20畳ほどないと、圧迫感を感じやすいとされています。
それ以下の広さだと快適性が損なわれる可能性があるので、アイランドキッチンにしたいなら、まずはリビングの広さを確保した上での検討が必要です。

収納スペースも同様です。回遊動線を取り入れると行き止まりが少ない間取りになり、収納スペースが確保しづらくなります。
収納スペースが少ないと、部屋に物が散乱して不便さを感じる要因になります。
まずはどのくらいの収納スペースが必要か算出し、その上で回遊動線を取り入れられるか検討しましょう。

回遊動線を採用した間取りプランを紹介

回遊動線を採用した間取り

ファミリークローゼットを中心とした、回遊動線のある間取りを紹介します。
こちらの住宅では、1階にLDK・洗面脱衣室・室内干しスペース(ファミリークローゼットに隣接)をつなぐ回遊動線を作り、スムーズに家事ができるよう工夫されています。
1階に水回りを集約させており、家事の際に階段を上り下りする頻度を大きく削減できました。

また朝は、食後に洗面所でメイクアップして、ファミリークロークで洋服を選んで着替えてから、玄関を出て出発できます。
帰宅時は玄関からファミリークロークへ直行でき、コートなどをしまって手を洗ってからリビングでくつろげます。家事動線・生活動線ともに考えられた間取りプランといえるでしょう。

無駄のない回遊動線で家事効率をアップさせよう!

家事のつながる間取り

回遊動線を間取りに取り入れると、行きたい場所にスムーズに行けるようになり家事の時短につながります。
しかし、家族のライフスタイルや行動に合った回遊動線でなければ、逆に暮らしにくさを感じて後悔してしまうかもしれません。
居住スペース・収納スペースを確保した上で、必要最小限の回遊動線を設置することが快適な暮らしを実現するポイントです。

さらに回遊動線は設計難易度も高いため、施工実績が多いハウスメーカーなどの施工会社選びも重要となります。

山根木材は、「永く住み継がれる家づくり」をコンセプトに広島の気候・風土に合う家づくりに取り組んでいます。
手がけた注文住宅は累積1万棟を超え、多くのお客さまの家づくりに関わってきました。
お客さまのライフスタイルに合わせたご提案をいたしますので、広島・東広島・福山周辺で注文住宅づくりを検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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この記事を書いた人
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山根木材メディア編集部

ヤマネホールディングス株式会社マーケティング課が、住まいの検討やより良い暮らしに向けたお役立ち情報などを発信しています。

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