階段の手すりの取り付けにかかる費用は、階段の設置方法や手すりの取り付け方によって変わります。
この記事では、階段の設置方法・種類別に手すりを取り付ける費用の目安をご紹介。
取り付ける際に押さえておきたいポイントや、利用できる介護保険制度や助成金制度についても解説します。
これから取り付けを検討する方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
手すりを取り付ける階段の種類と費用
まずは、階段の種類別の特徴と、手すりを取り付ける際の費用目安について紹介します。
階段の設置方法や形によって費用は変わってきますので、最初に費用の相場感を持っておくと良いでしょう。
直階段:7~15万円
直階段は、階段が曲がることなく2階まで真っすぐ延びる形状の階段です。
構造的に最もシンプルな形となるため手すりの取り付けもしやすく、費用相場は7~15万円ほど。
他の種類と比較するとリーズナブルに収まりやすい傾向があります。
直階段はシンプルで設置しやすい階段ですが、急勾配になりやすい、踊り場を設けられないため安全性はやや劣るなどのデメリットがあります。
転倒すると大事故につながりやすいので、手すりがない場合は早急に取り付けを検討しましょう。
かね折れ階段:9~15万円
階段の途中に踊り場を設け、90度に曲がる形で2階に続く形状の階段をかね折れ階段といいます。
その形からL字型階段と呼ばれることもあります。
転倒して落下しても踊り場で止まるため、直階段よりは安全といえますが、やはり手すりは必要です。
手すりを設置する場合は、90度に折れる形にあわせて取り付ける必要があるため、必然的に手すりもL字型となります。
そのため、費用は直階段よりやや高く、9~15万円が相場です。
折り返し階段:8~15万円
折り返し階段とは、階段の途中で180度折り返す形状の階段で、折り返しの部分には踊り場が設けられます。
その形状からU字型階段と呼ばれることもあります。
手すりの取り付け方も、階段の形状に合わせてU字型となります。
踊り場の部分で手すりに段差をつけて仕上げることもあります。
全体の長さがある、角度をつける箇所が多い、段差が必要など取り付け方がやや複雑になることから、費用は8~15万円が相場です。
他の階段と比較して、比較的高価な取り付け費用となることが多いでしょう。
階段に手すりを取り付ける際に利用できる助成金
階段に手すりを取り付ける場合、助成金などを利用できることもあります。
取り付け費用をうまく節約するためにも、どのような内容で適用されるのかを確認しておきましょう。
介護保険
まず確認したいのが、介護保険の適用となるかどうかです。
介護保険制度とは、介護を担う家族の負担を軽減し、社会全体で支えることを目的に作られた制度です。
一定の条件を満たせば手すりの取り付けに介護保険が適用されることがあります。
対象となるのは以下の場合です。
- 65歳以上で要支援(日常生活を送る際に他社の支援が必要)、もしくは要介護(寝たきりや認知症などで介護が必要)の状態である人
- 40〜64歳までの医療保険加入者で、特定の疾患により要介護・要支援状態である人
家族の中に介護保険制度の対象となる方がいる場合、20万円を限度として、住宅に手すりを設置する際にかかる費用の9割程度が支給されます。
詳しい条件や申請方法については「介護保険における住宅改修」を参考にしてみてください。
引用:介護保険における住宅改修
自治体の助成金
2つめに確認したいのが、自治体による独自の助成金です。
お住まいの自治体によっては自治体独自の助成制度を設けていることもあり、高齢者の生活に配慮するための手すりの設置に助成金が支給される場合があります。
適用される条件や介護保険制度と併用できるかどうかは自治体により異なるため、まずは担当の窓口に問い合わせて確認しておくのが良いでしょう。
階段に手すりを取り付ける工事にかかる工期
一般的には、手すりの設置はそれほど難しくなく、1日あれば完成するケースが少なくありません。
ただし、階段の種類や形状、取り付ける壁の補強が必要か否かによっては数日かかる場合もあります。
そのため、階段に手すりを取り付ける工期について知りたい場合は、施工会社に問い合わせて確認してみると確実です。
そもそも階段に手すりを取り付けるべき?
ここまで手すりの費用についてご紹介しましたが、「お金をかけてまで階段に手すりが必要だろうか」と疑問を持つ方もいるかもしれません。
ここでは、悩んでいる方へ向けて、階段に手すりを取り付けるべき理由をご紹介します。
家族の安全確保に必要
最も大きな理由は、家族の安全確保に有効であることです。
家庭内で起こりやすい事故の一つに、階段を踏み外したり、段差でつまづいたりすることによる転倒があります。
階段は高さがあるため、一度転落してしまうと骨折などの怪我につながりやすく危険です。
手すりを取り付けることで、日々の生活で転倒や転落の予防に役立ちます。
高齢者や介護が必要な場合にも不可欠
高齢者や介護が必要な方にとっては、手すりは日々の生活に欠かせないアイテムです。
身体機能が低下していたり、足腰が弱っていたりしても、階段に手すりがあると安心して移動できるでしょう。
階段は、特に高齢者の転倒による怪我が起こりやすい場所です。
家庭内での転落死も増加傾向にあるため、事故防止に早めに取り付けるのがおすすめです。
また、高齢者がいない場合も、手すりがあることで小さな子どもや妊婦がいる場合、病気や怪我をしてスムーズに移動しにくい場合に役に立つでしょう。
法律でも設置が義務付けられている
建築基準法施工令第25条では、階段の手すりの設置が義務付けられています。
施行されたのが平成12年であるため昔の住宅には手すりがない場合もありますが、現在は取り付けが必須となっています。
除外事項はいくつかあり、床からの高さが1m以下の階段や、幅が3m以上の階段には適用されません。
ただし、一般的な戸建て住宅においてこのようなケースは稀なため、手すりの設置は必須と考えておきましょう。
手すりの種類
階段の手すり本体は、以下の2つの種類のどちらを選ぶかで費用が異なります。
リフォームで取り付ける際に知っておきたいポイントをご紹介します。
壁付け用手すり
まずは、文字通り壁に設置する壁付け用の手すりです。
住まいの階段に手すりとして設置されることが多いのがこちらで、一般的な木製の場合は約5,000円~4万円ほどが相場です。
デザインや色はさまざまなものがありますが、どのような空間にも調和するシンプルなデザインであれば一階と二階をつなぐ階段にもマッチしやすく、失敗しにくくなります。
オープン用手すり
オープン用手すりとは、リビング階段などで用いられる、片側(もしくは両側)が壁ではなくオープンな階段に使われる手すりのこと。
片側や両側が壁に面していない階段で設けられます。
手すり本体は15~70万円ほどが相場です。
オープン階段はインテリアの一部としてデザイン性が高いものが多く、木質手すりやアイアン製、アクリルパネルを使った手すりなどさまざまなものがあります。
住まいのテイストやインテリアに合わせて選ぶと、空間のポイントにもなるでしょう。
階段に取り付ける手すりの選び方
手すりは一度設置すれば長く使うものです。
自宅の階段に取り付けるなら慎重に選びましょう。
ここでは手すりの選び方として、押さえておきたいポイントを解説します。
握りやすくデザイン性の高い形
階段に使われる手すりといえば、丸い棒状の「丸棒手すり」が一般的です。
ただ、丸棒手すり以外にもさまざまな手すりがあるため、以下のタイプを参考に、好みのデザインや機能性も踏まえて選ぶのがおすすめです。
- 滑りにくさを考慮した表面が凹凸なタイプ
- 力が込めやすく体のバランスを保ちやすい楕円形のタイプ
- スタイリッシュな印象に仕上がるフラットバータイプ
また太さにも違いがあり、主なタイプは直径35mmや32mmなど。
35mmは体重をしっかりかけられるため、体が不自由な方にもおすすめです。
32mmは細めで握りやすい点が特徴となるため、力に自信がない方や手が小さい女性、縦手すりに使いたい場合などに適しています。
手触りの良い質感
手すりに使われる素材にはさまざまなものがあります。
一般的な木製の手すりは温かみが感じられることが特徴です。
スチール製の手すりはスタイリッシュな印象を演出できます。
実際の手触りや安全性に加え、空間に与える印象も考慮して選ぶと、安全性と快適性を両立した空間づくりができます。
インテリアに合う色柄
一般的に、手すりは階段の床と色を合わせるのがセオリーです。
例えば明るい木質調の階段であれば手すりも同じようなデザインにする、床・クロスの色に馴染むように選ぶとうまく調和します。
ただし、安全を考えるならわざと目立つカラーにするのも一つの方法です。
また、内装のアクセントとしてあえて黒のアイアンで引き締めたり、色柄ありのものを選んでポイントとしたりというのも良いアイデアです。
使う人の状況に応じた機能
デザインや質感とも重なりますが、使う人の状況に応じた機能も手すり選びでは重視したいポイントです。
滑りにくく体を支えやすいグリップ付きの手すりは安全性が高く、高齢者や体が不自由な方がいるご家庭に最適です。
また、ウイルス対策付きの手すり、照明が組み込まれた手すりなどもあるため、利用する方の状況に合わせた機能があるものを選ぶのもおすすめです。
失敗しない階段の手すりの付け方
階段の手すりは選び方も重要ですが、取り付け方も重要です。
安全を重視して取り付けを行いたいという方も多いでしょう。ここでは失敗しない手すりの取り付け方のポイントをご紹介します。
壁の補強をする
階段に手すりを取り付けるなら、まず壁の補強をしておくことが重要です。
使い方によっては手すりにかなりの重さがかかるため、補強しておかないと、重みによって壁の破損や転倒事故につながってしまう危険性があります。
施工する際は壁に木の下地を入れて補強しておくと、スムーズに取り付けができ、安全に使用できるでしょう。
高さ750~850mmに設置する
国土交通省の「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」によると、階段の手すりの高さは踏み板より750~850mmの位置が望ましいとされています。
この高さを目安に、使う方の体格や身長、杖を使っているかどうかなどを踏まえて決めるのが基本です。
取り付ける前に、実際に高さを測ってみてシミュレーションし、使いやすい位置はどこかを考えるのが失敗しないポイントです。
また、手すりを安全に取り付けるには壁の強度が必要となるため、設定した位置の壁が弱い場合はあらかじめ補強を行っておくことも大切です。
階段よりも少し長めの手すりを取り付ける
手すりの長さを考えることもポイントです。
手すりは階段と同じ長さと想像してしまいがちですが、実際に階段での転倒事故は下り始めと下り終わりに多い傾向があります。
そのため、手すりの長さは階段の始めと終わりから少し長めに設置しておくと安全に利用できます。
階段の手すりの取り付けはDIYできる?
階段の手すりをDIYで取り付けたいと思う人もいますが、結論から言えば、階段の手すりは専門家である工務店やリフォーム会社に依頼したほうが安心です。
手すりにはかなりの体重がかかるため、利用する方の状況によっては安全性に配慮した取り付けが必要となります。
ホームセンターなどでも部材が購入できるため、DIYでの取り付けは可能ではありますが、正しく取り付けられていない手すりは事故のもととなります。
仮に現在は高齢の方が家族にいない状態であっても、将来どうなるかはわかりません。専門の会社を頼るのが得策です。
家族の安全のために階段の手すりの取り付けを検討しよう
階段に手すりは、ご家族の安全や事故防止のためにぜひ取り付けを検討しておきたいものです。
今回は安心して取り付けを行うために、階段の種類やそれに合わせた手すり、取り付けのポイントなどをご紹介しました。
ご家庭に合った手すり選びや取り付けをするためには、やはりDIYではなく工務店やリフォーム会社の利用がおすすめです。
ご家族の安全のために、ぜひ検討してみてください。
※弊社では、広島県内を施工エリアとさせていただいています。