長期優良住宅とは?メリット・デメリットや基準と性能

  • 作成日:2023/11/13
  • 更新日:2024/03/07
  • 編集者:山根木材メディア編集部
長期優良住宅とは?メリット・デメリットや基準と性能

長期優良住宅とは、文字通り長期的に良好な状態を維持できる住宅を指しています。
住宅は一生に何度も建築するものではないため、大半の方はこれから建築する住宅に長く暮らしたいと考えているでしょう。
長期優良住宅であれば、住まいの劣化やメンテナンスへの不安を最小限に抑えながら、快適に暮らし続けることができます。
また、長期優良住宅の認定を受けた場合には、税金の特例措置や住宅ローンの金利を下げられるなどのメリットが得られます。

今回は、長期優良住宅の基準を含めた詳細やメリットとデメリットを分かりやすくまとめました。
長寿命の住宅に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。

長期優良住宅とは

長期優良住宅①

長期優良住宅とは国が定めた基準をクリアし、将来にわたり長く住み続けられることが認められている住宅を指しています。
長期優良住宅制度は平成21年6月4日より施行され、現在年間10万戸程度の住まいが長期優良住宅として認められています。
品質の良い住宅を建築すれば、適切な手入れを進めながら建て替えの必要なく長期間同じ家に暮らすことができます。

また、長期優良住宅としての認定を得ると税制面などの優遇措置が受けられ、住まいの資産価値も高くなります。
長期優良住宅を建築する取り組みは、自然と家計に優しく家族の健康にも良い影響を与えることができます。

長期優良住宅の認定基準とは

長期優良住宅には8種類の認定基準が用意されています。
認定基準は定期的に見直されているため、最新の情報を確認しましょう。
また、共同住宅の場合には、バリアフリー性と可変性の2つの基準が追加されます。

1.居住環境

地区計画・景観計画・条例による町並みの計画や建設協定などが存在する地域に住宅を建築する場合には、定められている協定や契約の内容との調和を図らなければいけません。
長期優良住宅は住宅の性能のみでなく、良好な景観の形成も考え抜かれています。

2.住戸面積

良好な居住水準を確保する目的で、住居には一定の面積が定められています。
具体的には、戸建住宅の面積基準は75㎡以上かつ階段部分を除いて1階の床面積は40㎡以上必要です。
ただし、地域の実情に合わせて所管行政庁が別途面積を定める場合もあります。

3.劣化対策

長期優良住宅には、次世代にわたって住み続けられるような劣化対策が求められます。
具体的には劣化対策等級(構造躯体等)等級3の構造の種類に応じた基準と、木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造に応じた基準をクリアする必要があります。

4.省エネルギー性

冷暖房効率を上げる省エネルギー性として、断熱性能等級が等級5、一次エネルギー消費量等級は等級6の基準を満たす必要があります。

5.耐震性

耐震性に関わる性能には、次のうちいずれかが求められています。

  • 耐震等級2(2階以下の木造建築物等で壁量計算次第では等級3の場合もあり)
  • 耐震等級1かつ安全限界時の層間変形を1/100(木造の場合は1/40)以下
  • 耐震等級1かつ各階の張り間方向および、けた方向について所定の基準に適合する(鉄筋コンクリート造の場合のみ)

耐震性に関する基準は住宅の構造により基準が異なるため、事前に確認しておきましょう。

また、耐震等級について詳しい説明は、こちらの記事も参考にしてください。

6.災害配慮

災害が発生する可能性が高い地域に住宅を建築する場合には、そのリスクの高さに応じた措置が必要です。
災害配慮は、令和2月20日の法律改正で追加されました。
該当地域の例は以下の通りです。

  • 地すべり防止区域
  • 急傾斜地崩壊危険区域
  • 土砂災害特別警戒区域
  • 津波災害特別警戒区域
  • 災害危険区域
  • 浸水想定区域

特に、地すべり防止区域・急傾斜地崩壊危険区域・土砂災害特別警戒区域では長期優良住宅の認定が認められません。

7.維持保全計画

以下の部分・設備について、定期的な点検と補修に関する計画を立てなければいけません。

  • 住宅の構造耐力上主要な部分
  • 住宅の雨水の侵入を防止する部分
  • 住宅に設ける給水または排水のための設備

また、提出した計画通りに点検と補修をすることも重要です。

8.維持管理・更新の容易性

耐用年数が短い配管設備は、メンテナンスや定期点検が実施しやすい措置が取られている必要があります。
具体的には、点検口の有無を含む点検設備が評価対象になります。
住宅の維持管理のしやすさを表す等級である維持管理対策等級の等級3が求められます。

長期優良住宅を建築するメリット

長期優良住宅②

ここでは、長期優良住宅を建築することで得られるメリットについてまとめました。

長期的に家族の安全を守れる住居が手に入る

長期優良住宅は長期的に住宅の性能を高く維持できることが認定された住まいです。
そのため、災害発生時も含めて長い間、数世代にわたって家族の安全を守ることができます。
さらに定められた省エネ性もクリアしていることから、光熱費の節約効果も期待できます。

住宅ローンの金利を下げられる

長期優良住宅の建築とともに住宅ローンを活用する場合には、フラット35Sとフラット50が活用可能になり、住宅ローンの金利を下げられる・長期的に固定できます。
長期優良住宅の特例措置で利用できる代表的な住宅ローンは次の通りです。
どちらの商品も、長期優良住宅であることが条件になります。

商品名 詳細
フラット35(金利Aプラン) 当初10年間:年0.25%の金利引き下げ
フラット50 ・最長50年間の全期間固定金利
・フラット35またはフラット20との併用可能
・住宅ローン付きで売却可能

税の特例措置が受けられる

住まいが長期優良住宅に認定されると、さまざまな税の特例措置が受けられます。
特例措置に該当する税金は次の通りです。

  • 登録免許税の減税
  • 不動産取得税の減税
  • 固定資産税の減税期間の延長

さらに、住宅ローン減税の対象限度額が4,000万円から5,000万円まで引き上げられます。
(令和6・7年入居の方は4500万円が限度)

住宅ローン減税では、年末の住宅ローン残高または住宅取得対価のうち、少ない方の金額の0.7%が13年間所得税と住民税から控除されます。
住宅ローン残高で計算すれば、最大年間35万円✕13年間で455万円もの控除を受けられることになります。

また、投資型減税も選択可能です。
投資型減税では、長期優良住宅のための性能強化にかかる費用の相当額(上限650万円)の10%が、その年の所得税額から控除されます。
ただし、住宅ローン減税制度との併用はできません。

地震保険の割引を受けられる

長期優良住宅は地震保険の割引も受けられます。
耐震保険の割引率は住宅の耐震性により異なります。
詳しくは、以下の表を参考にしてください。

地震保険は一度ではなく継続して支払いが必要なものであるため、非常に多くのコストを節約することができます。

種類 条件 割引率
免震建築物割引 免震建築物に該当する建物 50%
建築年割引 1981年6月1日以降に建築された建物 10%
耐震等級割引 所定の耐震等級の建物 耐震等級1:10%
耐震等級2:30%
耐震等級3:50%
耐震診断割引 耐震診断または耐震改修の結果、耐震基準を満たしている 10%

補助金を受けられる場合がある

長期優良住宅を中小工務店で建築した場合には、「地域型住宅グリーン化事業」の補助金を受けられる可能性があります。
ただし、全ての中小工務店が補助金の対象というわけではないため、事前に確認が必要です。
地域型住宅グリーン化事業では、最大で110万円の補助金が受け取れます。

売却時に付加価値がつく

長期優良住宅は、都道府県知事または市町村長の認定を受けている品質の良い住宅です。
公的な機関に価値が認められた住宅として、売却時に高値がつく可能性があり、自分の住宅の資産価値の向上につながります。
現段階で住宅の売却を考えていないという方でも、住まいの資産価値について考えてみてください。

長期優良住宅を建築するデメリット

長期優良住宅③

長期優良住宅の建築にはメリットのみでなく、いくつかのデメリットも存在します。
メリットとデメリットを比較して、自分に適した住宅は何か考えてみてください。

認定のために手数料と時間がかかる

長期優良住宅の認定には一定の手数料と時間がかかります。
また、申請の手続きは定められたステップを踏む必要があり、着工前に申請しなければいけません。
自分が長期優良住宅の建築を希望しているのなら、早い段階で契約予定のハウスメーカー・工務店に相談しておきましょう。

住宅建築にかかる費用が高くなる・建築期間が長くなる

長期優良住宅には高い品質が求められるため、一般的な住宅と比較して材料の購入や建設に多くのコストがかかります。
具体的には、通常の住宅の建築費用と比較して、20〜30%割高になる可能性があります。

また、建築には高い技術が求められ、認定期間も含めた建築期間も長期化しやすいです。
長期優良住宅を建築したいと考えているのなら、初めから予算と時間に余裕を持つ必要があります。

定期点検や修繕が必要になる

長期優良住宅を建設する際には「維持保全計画」として今後の定期点検や修繕の計画を提出する必要があります。
計画に沿った点検と修繕を行わなければ、長期優良住宅の認定が取り消される可能性もあります。

ただし、本来長く快適に住宅に暮らすためには定期的な点検と修繕が欠かせません。
住宅の手入れをせずに何年もの期間を過ごせば、大きな問題につながりより多くのコストをかけた大修繕が必要になります。
定期点検や修繕は、どのような住宅を建築しても発生する必要経費だと考えるべきです。

まとめ

長期優良住宅は、お住まいの都道府県知事または市町村長の認定を得た長期的に安全かつ快適に暮らせる品質の高い住宅です。
数世代の家族が暮らせるのみでなく、住宅ローンや税の特例措置も受けられます。

申請には一定のコストと時間がかかりますが、これから住まいを建築したいと考えているのなら、より安心して生活を送れる長期優良住宅について考えてみてください。

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この記事を書いた人
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山根木材メディア編集部

ヤマネホールディングス株式会社マーケティング課が、住まいの検討やより良い暮らしに向けたお役立ち情報などを発信しています。

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