「将来、自分たちが年をとっても安心して暮らせる家にしたい」「小さな子どもから高齢の親まで、家族全員が快適に過ごせる住まいにしたい」 家づくりにおいて、このような願いを持つ方は多いのではないでしょうか。
ユニバーサルデザイン住宅は、特定の人のためだけでなく、すべての人が直感的に、安全に、そして快適に暮らせるように設計された住まいです。
これまでの「高齢者向け」というイメージを超え、子育て世代にとっても家事がしやすく、安全性が高いという大きなメリットがあります。
この記事では、ユニバーサルデザイン住宅の特徴やバリアフリーとの違い、具体的な間取りや設備の事例、メリット・デメリットについて詳しく解説します。
これから家づくりやリフォームを検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
ユニバーサルデザイン住宅とバリアフリー住宅の決定的な違い

「ユニバーサルデザイン」と「バリアフリー」。
どちらも住みやすい家づくりに使われる言葉ですが、そのアプローチには明確な違いがあります。
それぞれの特徴を正しく理解することで、ご家族にとって最適な選択ができるようになります。
全世代が直感的に使いやすいユニバーサルデザイン
ユニバーサルデザイン(Universal Design)とは、年齢、性別、身体能力、国籍などの違いにかかわらず、「はじめから、すべての人にとって使いやすい」ことを目指したデザインのことです。
住宅におけるユニバーサルデザインは、「障がいがあるから特別な設備を入れる」のではなく、「誰にとっても便利で快適な空間」を最初から作ろうとする考え方です。
例えば、軽い力で開けられる引き戸や、暗がりでも足元が見えるセンサーライトなどは、高齢者だけでなく、荷物を持った大人や小さなお子どもにとっても便利な設備です。
ユニバーサルデザインには以下の7つの原則があります。
公平性 誰でも公平に利用できること
- 自由性 使う人の好みや能力に合わせて柔軟に使えること
- 単純性 作りや使い方が直感的にわかりやすいこと
- 明確性 必要な情報がすぐに理解できること
- 安全性 ミスや危険につながらない設計であること
- 省体力 無理な姿勢や強い力を必要としないこと
- 空間性 使いやすい十分な大きさや広さがあること
これらの原則を取り入れた家は、ライフステージが変化しても、その時々の家族全員を優しく受け入れてくれます。
高齢者や障害者の障壁除去に特化したバリアフリー
一方、バリアフリー(Barrier Free)は、「生活の妨げとなる障壁(バリア)を取り除く」ことに重点を置いた考え方です。
主に対象となるのは、高齢の方や障がいのある方です。
既存の段差を解消するためにスロープを後付けしたり、階段に昇降機を設置したりといった対応がこれにあたります。
わかりやすく言えば、バリアフリーは「マイナスの状態をゼロ(支障がない状態)にする」対処療法的なアプローチであるのに対し、ユニバーサルデザインは「最初から誰にとってもプラスの状態を作る」予防的・包括的なアプローチと言えます。
もちろん、これらは対立するものではありません。
ユニバーサルデザインの視点で設計された家は、結果としてバリアフリーの要件も満たしていることがほとんどです。
これからの家づくりでは、特定の誰かの不便を解消するだけでなく、家族全員のQOL(生活の質)を高めるユニバーサルデザインの視点を取り入れることがスタンダードになりつつあります。
ユニバーサルデザイン住宅を取り入れるメリットとデメリット

すべての人に優しいユニバーサルデザイン住宅ですが、導入にあたってはメリットだけでなく、コスト面などのデメリットも理解しておく必要があります。
子育て期から老後までリフォーム不要で暮らせる経済性
ユニバーサルデザイン住宅の最大のメリットは、家族のライフステージの変化に柔軟に対応できる点です。
例えば、段差のないフラットな床や広い廊下は、現在の子育て期においては、赤ちゃんがハイハイしても安全であり、ベビーカーの移動もスムーズです。
そして数十年後、自分たちが加齢により足腰が弱くなったり、車椅子が必要になったりした際も、そのままの環境で安心して暮らすことができます。
一般的な住宅では、老後に備えて手すりをつけたり、廊下を広げたりといった大規模なリフォームが必要になるケースが少なくありません。
しかし、新築時からユニバーサルデザインを取り入れておけば、将来的なリフォーム費用を大幅に抑えることができます。
また、家の中の動線がスムーズになることで家事の負担が減り、日々の生活に時間と心のゆとりが生まれることも大きな魅力です。
廊下やトイレに広いスペースを要するため増大する建築コスト
一方で、デメリットとして挙げられるのが建築コストと敷地面積の問題です。
車椅子での移動や介助を想定すると、廊下やトイレ、浴室などには一般的な住宅よりも広いスペースが必要になります。
例えば、車椅子で回転できるスペースを確保しようとすると、通常の廊下幅では足りず、部屋の面積を削るか、家全体の床面積を大きくする必要があります。
床面積が増えれば、当然ながら建築費用も高くなります。
また、すべてのドアを引き戸にしたり、グレードの高い設備を採用したりすることで、設備費用も割高になる傾向があります。
予算や敷地の広さに限りがある場合は、すべての場所を完璧なユニバーサルデザインにするのではなく、「家族が長く過ごすリビングと水回りだけは優先する」といったように、優先順位をつけたプランニングが重要になります。
場所別に見るユニバーサルデザイン住宅の設備と間取り実例

では、具体的にどのような設備や間取りを取り入れればよいのでしょうか。
ここでは、場所別におすすめのユニバーサルデザイン事例を紹介します。
段差を解消しベビーカーも通過可能なスロープ付き玄関
玄関は家の顔であると同時に、外出と帰宅のたびに必ず通る場所です。
まずは、玄関ポーチから土間にかけてのスロープ設置を検討しましょう。
スロープがあれば、車椅子はもちろん、ベビーカーや重いキャリーケースを引いての出入りも非常にスムーズになります。
玄関ドアは、握力の弱い子どもや高齢者でも開閉しやすい引き戸タイプがおすすめです。
開き戸のように前後のスペースを必要としないため、車椅子での出入りも楽に行えます。
また、スマートキーシステム(電気錠)を採用すれば、鍵を差し込む手間がなくなり、荷物で手がふさがっている時でも快適です。
さらに、玄関内には靴の脱ぎ履きをサポートするベンチや、立ち上がりを補助する手すりを設置すると、転倒リスクを減らし、安全性が高まります。
操作負担を軽減する上吊り引き戸とワイドスイッチの採用
家の中のドア(建具)やスイッチ類も、毎日の使い勝手を大きく左右するポイントです。
室内ドアは、床にレールのない上吊りタイプの引き戸が理想的です。
床にレールがないため、段差につまずく心配がなく、掃除機をかける際もスムーズです。
また、開けっ放しにしてもドアが邪魔にならないため、部屋と廊下をつなげて広々とした空間として使うことも可能です。
ドアの開閉速度を制御するソフトクローズ機能があれば、指挟みの事故防止にもなります。
照明のスイッチには、手のひらや肘でも押せるワイドスイッチを採用しましょう。
設置高さも、一般的には床から120cm程度ですが、車椅子の方や小さなお子様でも操作しやすいよう、100cm〜110cm程度の低めの位置に設定するのがおすすめです。
またぎ込み高さ40cm程度で滑りにくい床材を使用した浴室
浴室は家庭内事故が最も起きやすい場所の一つです。安全性を最優先に考えた選定が必要です。
浴槽は、縁の高さ(またぎ込み高さ)が40cm前後のものを選びましょう。
これは一般的な椅子の高さに近く、高齢の方でも足を高く上げすぎずに、スムーズに入浴動作が行える高さです。
浴槽の縁自体も、腰掛けられる程度に幅が広いものを選ぶと、一旦座ってからお尻をずらして入浴できるため、さらに安全です。
床材には、水はけが良く、濡れても滑りにくい素材を選びます。
転倒時の衝撃を和らげるクッション性のある床材も人気です。
また、脱衣所と浴室の温度差によるヒートショックを防ぐために、浴室暖房乾燥機の設置や、断熱性の高い窓への変更も、命を守るユニバーサルデザインとして非常に重要です。
座ったまま作業可能なニースペース付き対面キッチン
キッチンは、長時間立ち仕事をすることが多い場所ですが、年齢とともにそれが辛くなることもあります。
ユニバーサルデザインのキッチンとして、シンクやコンロの下がオープンになっている座って使えるキッチン(ニースペース付きキッチン)があります。
足を入れるスペースがあるため、椅子や車椅子に座ったまま、無理のない姿勢で料理や洗い物ができます。
レイアウトは、リビングにいる家族の様子が見渡せる対面キッチンがおすすめです。
孤独感を感じにくく、何かあった際にも家族とコミュニケーションが取りやすいため安心です。
また、吊り戸棚は昇降式のタイプを選ぶと、踏み台を使わずに高い場所の物を出し入れでき、収納スペースを有効活用できます。
快適な居住空間を実現するための具体的な寸法と設計基準
「広々とした空間」といっても、具体的にどのくらいの広さが必要なのでしょうか。
将来、車椅子生活になったとしても改修せずに住み続けられる、具体的な寸法の目安をご紹介します。
車椅子がスムーズに回転できる直径150cmのスペース確保
車椅子を使用する場合、直進だけでなく「回転する」ためのスペースが必要不可欠です。
一般的に、車椅子がその場で360度回転するためには、直径150cm(1.5メートル)の円が描けるスペースが必要とされています。
特にスペース確保が必要なのは、以下の場所です。
- 玄関ホール 外出・帰宅時の方向転換のため
- トイレ・洗面脱衣所 便器や洗面台への移乗動作のため
- キッチン 冷蔵庫や食器棚への移動と作業のため
これらの場所に直径150cmの空間を確保しておけば、介助者が横に立つスペースも十分に生まれるため、将来的な介護の負担を大幅に軽減できます。
車椅子でのすれ違いも容易な有効幅85cm以上の廊下設計
廊下の幅も重要なポイントです。
一般的な住宅の廊下幅は78cm程度(柱の芯々で910mmの場合)ですが、これでは車椅子がギリギリ通れる程度で、手すりを付けるとさらに狭くなり、直角に曲がることが難しくなります。
車椅子でスムーズに移動し、かつ廊下で人とすれ違えるようにするには、有効幅で85cm〜90cm以上を確保することが望ましいです。
設計段階で「メーターモジュール(1グリッドを1mとする設計寸法)」を採用するか、廊下幅のみを広げる設計を依頼することで実現できます。
もし廊下幅を広げることが難しい場合は、廊下自体を極力なくし、リビングから各部屋へ直接アクセスできる間取りにするのも有効な解決策です。
ユニバーサルデザイン住宅を得意とするハウスメーカーの選び方
ユニバーサルデザイン住宅を成功させるためには、設計施工を依頼するパートナー選びが非常に重要です。
一般的な住宅会社と比べて、どのような点に注目して選ぶべきかを解説します。
福祉住環境コーディネーター在籍による専門的な提案力
ハウスメーカーや工務店を選ぶ際は、「福祉住環境コーディネーター」などの有資格者が在籍しているかどうかを確認しましょう。
福祉住環境コーディネーターは、医療・福祉・建築の幅広い知識を持ち、高齢者や障がい者が快適に暮らせる住環境を提案する専門家です。
「手すりをどこに付けるべきか」「どの程度の段差なら許容できるか」といった細かな点について、身体機能や将来の予測に基づいた的確なアドバイスをもらえます。
単に「段差をなくす」だけでなく、ご家族ごとの具体的な生活シーンに合わせた、きめ細やかな提案力が期待できます。
宿泊体験モデルハウスでの実際の使い勝手と動線確認
図面やカタログだけでユニバーサルデザインの良し悪しを判断するのは困難です。
可能であれば、宿泊体験ができるモデルハウスを利用し、実際の使い勝手を確認することをおすすめします。
- 車椅子やベビーカーを押して廊下を通ってみる
- トイレや浴室の広さ、手すりの位置を確認する
- キッチンでの家事動線を実際に動いて試す
- 夜間の足元の明るさを確認する
これらを実際に体験することで、「もう少し通路が広い方がいい」「この位置の手すりは邪魔になるかもしれない」といった具体的な気づきが得られます。
実際に住んでみてから「思ったより使いにくい」と後悔しないためにも、体感型の検討プロセスを大切にしてください。
まとめ
ユニバーサルデザイン住宅は、障がい者や高齢者だけのためのものではなく、「家族全員が、いつまでも快適に暮らすための住まい」です。
- 全世代への配慮 年齢や能力に関わらず、誰もが使いやすいデザインであること。
- 将来への投資 新築時から取り入れることで、将来のリフォーム費用を抑え、長く安心して住み続けられること。
- 具体的な計画 玄関のスロープ、引き戸、浴室の工夫など、具体的な設備選定が重要であること。
- 寸法の確保 車椅子の回転(直径150cm)や廊下幅(有効85cm以上)など、ゆとりある設計が必要であること。
これらを押さえることで、10年後、20年後のライフスタイルの変化にも柔軟に対応できる、理想のマイホームが実現します。
ユニバーサルデザイン住宅に興味がある方は、まずは実際にモデルハウスへ足を運び、その快適さを体感してみてください。
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