マイホームの購入は、人生で最も大きな買い物のひとつです。夢のマイホームへの期待が膨らむ一方で、「物件価格以外に、税金ってどのくらいかかるんだろう?」「いつ、いくら現金が必要になるの?」といったお金の不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
特に不動産購入に関する税金は種類が多く、仕組みも複雑で分かりにくいですよね。
ご安心ください。この記事では、不動産購入の際にかかる税金の種類、支払うタイミング、そして具体的な金額の目安を、専門知識がない方にも分かりやすく徹底解説します。
さらに、賢く費用を抑えるための節税制度や、購入後の確定申告についてもご紹介します。
この記事を最後まで読めば、税金に対する漠然とした不安が解消され、自信を持って資金計画を立てられるようになります。それでは、一緒に見ていきましょう。
不動産購入でかかる税金8種類の一覧と総額の目安
不動産を購入する際には、一度きり支払うものと、所有している限り毎年支払うもの、大きく分けて2種類の税金があります。
まずは、どのような税金があるのか全体像を把握しましょう。
税金の総額目安は物件価格の5%から8%
不動産購入時にかかる税金や諸費用の合計額は、購入する物件の種類や価格によって変動しますが、一般的に新築物件の場合は物件価格の3%~5%、中古物件の場合は6%~8%が目安と言われています。
例えば、5,000万円の新築マンションなら150万円~250万円、中古なら300万円~400万円程度です。
これはあくまで目安であり、後述する軽減措置を適用することで、さらに負担を抑えることも可能です。
売買契約時に必要な印紙税
印紙税は、不動産売買契約書などの課税文書を作成した際に課される税金です。
契約書に記載された金額に応じて税額が決まり、収入印紙を契約書に貼り付けて消印することで納税します。
不動産売買契約書の印紙税額は以下の通りです。2027年3月31日までは軽減措置が適用されます。
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
1千万円超 5千万円以下 | 2万円 | 1万円 |
5千万円超 1億以下 | 6万円 | 3万円 |
1億円超 5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
登記手続きで納める登録免許税
登録免許税は、購入した土地や建物の所有権を法的に明確にするための「登記」手続きの際に課される税金です。
具体的には、所有権を自分の名義に変更する「所有権移転登記」や、住宅ローンを組む際に金融機関が設定する「抵当権設定登記」で必要になります。
税額は、原則として以下の計算式で算出されます。
税額 = 固定資産税評価額 × 税率
税率は登記の種類によって異なりますが、マイホームの購入では軽減措置が設けられています。
不動産の取得に課される不動産取得税
不動産取得税は、土地や家屋の購入、贈与、新築などで不動産を取得した際に、その不動産がある都道府県から課される税金です。
購入後、半年から1年程度で納税通知書が届きます。
税額の計算式は以下の通りです。
税額 = 固定資産税評価額 × 税率(原則4%)
ただし、住宅用の土地や建物については、2027年3月31日まで税率が3%に軽減される特例があります。さらに、一定の要件を満たすことで、課税対象となる固定資産税評価額から大幅な控除が受けられ、結果的に税額がゼロになるケースも少なくありません。
(参考:総務省 不動産取得税)
建物の購入代金にかかる消費税
消費税は、商品の販売やサービスの提供に対して課される税金です。
不動産購入においては、建物部分の価格に対してのみ課税され、土地には消費税はかかりません。
また、売主が個人の場合は消費税の納税義務が免除されるため、個人が売主の中古住宅を購入する際は、消費税は非課税となります。
毎年支払う固定資産税と都市計画税
固定資産税と都市計画税は、不動産を所有している限り毎年支払う必要がある税金です。
毎年1月1日時点の所有者に対して、その不動産が所在する市町村から課税されます。
税額の計算式は以下の通りです。
- 固定資産税 = 固定資産税評価額 × 1.4%(標準税率)
- 都市計画税 = 固定資産税評価額 × 0.3%(上限税率)
新築住宅や認定長期優良住宅など、一定の要件を満たす住宅には、固定資産税が一定期間減額される特例措置があります。
(参考:総務省 固定資産税)
親などから資金援助を受けた場合の贈与税
親や祖父母から住宅購入資金の援助を受けた場合、その金額によっては贈与税がかかることがあります。
しかし、「住宅取得等資金贈与の非課税の特例」という制度を利用すれば、一定額まで贈与税が非課税になります。
非課税限度額は、省エネ等住宅の場合は1,000万円、それ以外の住宅の場合は500万円です(2026年12月31日まで)。
この特例を受けるには、贈与を受けた翌年に確定申告が必要です。
(参考:国税庁 No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税)
税金を払う3つのタイミングと支払額シミュレーション
不動産購入にかかる税金は、一度にまとめて支払うわけではありません。
どのタイミングでどの税金が必要になるのか、時系列で見ていきましょう。
①不動産売買契約時
まず最初のタイミングは、売主と不動産売買契約を結ぶ時です。
この時に印紙税を納めます。通常は、契約書に収入印紙を貼る形で、不動産会社を通じて支払います。
②物件の引き渡し・登記時
次に大きな支払いが発生するのが、物件の引き渡しと登記手続きのタイミングです。
この時に登録免許税を支払います。また、消費税も建物の購入代金に含まれる形で、このタイミングで支払うことになります。
司法書士に登記手続きを依頼する報酬も併せて準備しておきましょう。
③不動産の購入後
物件の引き渡しが終わった後にも、税金の支払いがあります。購入から半年~1年後に、都道府県から不動産取得税の納税通知書が届きます。
また、不動産を所有している限り、毎年固定資産税・都市計画税を納めることになります。
【価格別】5000万円の新築住宅購入時の税金モデルケース
それでは、具体的なモデルケースで税額がいくらになるかシミュレーションしてみましょう。
<条件>
- 物件価格 5,000万円(土地2,000万円、建物3,000万円)
- 土地の固定資産税評価額 1,400万円
- 建物の固定資産税評価額 1,800万円
- 住宅ローン借入額 4,000万円
- 一定の省エネ基準を満たす新築住宅
<税額シミュレーション>
税金の種類 | 税額の目安 | 備考 |
印紙税 | 1万円 | 軽減措置適用後 |
登録免許税 | 約23.5万円 | 軽減措置適用後 |
不動産取得税 | 0円 | 軽減措置適用後 |
消費税 | 300万円 | 建物価格3,000万円にかかる |
固定資産税(初年度) | 約16.8万円 | 新築住宅の減額措置適用後 |
合計 | 約341.3万円 |
必ず知っておきたい税金の軽減措置と節税制度
不動産購入にかかる税金は高額になりがちですが、マイホームの取得を支援するための様々な軽減措置や節税制度が用意されています。
これらを活用することで、負担を大幅に減らすことが可能です。
最大の節税策である住宅ローン控除(住宅ローン減税)
住宅ローン控除は、年末の住宅ローン残高の0.7%を、最大13年間にわたって所得税や住民税から控除できる、非常に効果の大きい節税制度です。
この制度を利用するには、床面積が50㎡以上であることや、合計所得金額が2,000万円以下であることなど、いくつかの適用要件を満たす必要があります。
また、2024年以降に入居する場合、原則として一定の省エネ基準を満たす住宅であることが必須となりました。
(参考:国税庁 No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除) )
登録免許税の税率軽減措置
マイホームとして住宅を購入する場合、土地の売買による所有権移転登記や、建物の所有権保存・移転登記、抵当権設定登記の税率が引き下げられます。
例えば、建物の所有権移転登記の本則税率は2.0%ですが、軽減措置により0.3%まで下がります。
不動産取得税の評価額控除と軽減措置
不動産取得税にも大きな軽減措置があります。新築住宅の場合、建物の固定資産税評価額から1,200万円(認定長期優良住宅の場合は1,300万円)が控除されます。
これにより、評価額が1,200万円未満の場合は不動産取得税がかからなくなります。土地についても、一定の要件を満たせば税額が大幅に軽減されます。
入居後に必要な固定資産税の支払いと確定申告
不動産を購入した後は、税金の支払いや手続きがいくつかあります。
特に重要なのが、固定資産税の支払いと初年度の確定申告です。
毎年支払う固定資産税・都市計画税の計算方法
固定資産税・都市計画税は、毎年4月~6月頃に市町村から送られてくる納税通知書を使って納付します。
一括払い、もしくは年4回に分けて支払うのが一般的です。税額は、3年に一度見直される固定資産税評価額を基に計算されます。
住宅ローン控除の初年度に必要な確定申告
住宅ローン控除を受けるためには、入居した翌年の2月16日から3月15日までの間に、必ず確定申告を行う必要があります。
会社員の方で普段は確定申告をしていない場合でも、この初年度の手続きは自分で行わなければなりません。
必要な書類を揃えて税務署に提出するか、e-Taxを利用して電子申告を行います。
一度確定申告を行えば、2年目以降は会社の年末調整で手続きが完了します。
物件の種類で変わる税金の違い
購入する物件が土地なのか、新築か中古か、マンションか一戸建てかによっても、かかる税金の種類や金額が変わってきます。
土地のみ購入する場合の税金と非課税の条件
土地のみを購入する場合、建物がないため消費税はかかりません。
また、不動産取得税の軽減措置を受けるためには、土地の取得後3年以内にその土地の上に住宅を新築するなどの条件を満たす必要があります。
新築と中古物件における登録免許税・不動産取得税の差
新築物件と中古物件では、登録免許税や不動産取得税の軽減措置の要件が異なります。
特に中古物件の場合は、築年数(新耐震基準に適合しているか)が重要なポイントになります。
要件を満たさない古い物件だと、軽減措置が受けられず税負担が重くなる可能性があります。
マンションと一戸建ての固定資産税評価額の違い
固定資産税は、土地と建物の評価額を基に計算されます。一般的に、マンションは一戸建てに比べて土地の持ち分が小さいですが、建物の評価額が高くなる傾向があります。
特に駅近のタワーマンションなどは、固定資産税が高額になりやすいことを念頭に置いておきましょう。
不動産購入の税金に関するよくある質問
最後に、不動産購入の税金に関してよく寄せられる質問にお答えします。
税金の支払いは現金か住宅ローンに含められるか
印紙税や登録免許税、不動産取得税といった税金の支払いは、原則として現金で準備する必要があります。
ただし、金融機関によっては、これらの税金や仲介手数料などの諸費用を住宅ローンに含めて借り入れできる「諸費用ローン」を取り扱っている場合があります。
将来不動産を売却する時にかかる税金
将来、購入した不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合には、譲渡所得税(所得税・住民税)がかかります。
ただし、マイホームを売却した場合は、利益から最高3,000万円を控除できる「3,000万円の特別控除」という非常に有利な特例があるため、税金がかからないケースも多くあります。
まとめ
今回は、不動産購入にかかる税金について、種類から支払うタイミング、節税方法まで網羅的に解説しました。
- 不動産購入にかかる税金や諸費用の目安は、新築で物件価格の3~5%、中古で6~8%
- 税金には購入時に支払うものと購入後に毎年支払うものがある
- 支払うタイミングは「契約時」「引き渡し時」「購入後」の3つに大別される
- 住宅ローン控除や各種軽減措置を活用することで、税負担を大幅に減らせる
- 住宅ローン控除を受けるには、初年度の確定申告が必須
税金の話は少し複雑に感じるかもしれませんが、事前に全体像を把握しておくことで、落ち着いて資金計画を立てることができます。
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もし不明な点があれば、不動産会社の担当者や、税理士などの専門家に相談することも検討しましょう。
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