これからマイホームの建築を検討する際、最初に直面するのが「住宅の構造」をどうするかという選択です。
特に日本では木造住宅が主流ですが、「木造は地震に弱いのではないか」「構造が複雑でよくわからない」といった不安や疑問を持つ方も少なくありません。
木造住宅の構造や工法の違いを正しく理解することは、耐震性や耐久性、将来のリフォームのしやすさ、そして建築コストに直結する重要なポイントです。
この記事では、木造住宅の主要な工法や、家を支える骨組みの仕組み、各部材の名称と役割について、初心者の方にも分かりやすく解説します。
構造の基本を知ることで、安心して理想の住まいづくりを進めましょう。
日本の木造住宅で採用される主な3つの構造工法

日本国内で建てられる木造住宅にはいくつかの工法がありますが、現在主流となっているのは大きく分けて3つの種類です。
それぞれの工法には構造的な特徴があり、設計の自由度や工期、コストなどが異なります。
ここでは代表的な「木造軸組工法」「木造枠組壁工法(ツーバイフォー)」「木造プレハブ工法」について詳しく解説します。
日本の気候に適した木造軸組工法(在来工法)
「木造軸組工法」は「在来工法」とも呼ばれ、日本で最も古くから採用されている伝統的な建築工法です。
コンクリートの基礎の上に木の土台を据え、そこに柱を垂直に立て、水平方向に梁(はり)を渡して家の骨組みを作ります。
この工法の最大の特徴は「線」で家を支える構造であることです。
柱と梁の組み合わせで強度を確保するため、壁の配置に制約が少なく、大きな窓などの開口部を設けたり、吹き抜けのある開放的な間取りを実現したりすることが得意です。
また、将来的な増改築やリフォームの際にも、柱や梁の位置を考慮すれば壁を動かしやすいため、間取りの変更に柔軟に対応できるという大きなメリットがあります。
さらに、木造軸組工法は日本の高温多湿な気候風土に適している点も見逃せません。
通気性を確保しやすい構造のため、湿気を逃がして木材の腐敗を防ぐ工夫がしやすく、適切なメンテナンスを行えば非常に長く住み続けることが可能です。
現在でも日本の木造住宅の多くがこの工法で建てられています。
面で支える木造枠組壁工法(ツーバイフォー工法)
「木造枠組壁工法」は、北米から伝わった工法で、一般的に「ツーバイフォー(2×4)工法」として知られています。
この名称は、家を構成する基本部材として、断面サイズが2インチ×4インチの角材を使用することに由来します。
近年ではより厚みのある2×6(ツーバイシックス)材を使用するケースも増えています。
木造軸組工法が「柱と梁(線)」で支えるのに対し、ツーバイフォー工法は「枠組材と合板(面)」で床・壁・天井の6面体を作り、箱のような構造で家を支えるのが特徴です。
この「面構造」は、地震や台風などの外部からの力を建物全体に分散させて受け止めるため、非常に高い耐震性と耐風性を発揮します。
また、規格化された木材と釘、金物を使用してシステム的に組み立てていくため、職人の熟練度による品質のばらつきが出にくいという利点もあります。
さらに、面で囲まれた構造は気密性や断熱性を高めやすく、省エネルギーな住まいを実現しやすい一方で、壁自体が構造体となっているため、リフォーム時に壁を取り払うような大幅な間取り変更には制約が出ることがあります。
工場生産で品質が安定する木質プレハブ工法
「木質プレハブ工法」は、壁や床、天井などの主要な部材をあらかじめ工場で生産・加工し、現場に運び込んで組み立てる工法です。
「プレハブ(Prefabricated)」とは「前もって製作された」という意味を持ちます。
この工法の中には、木質パネル同士を接着して一体化させる「木質パネル工法」や、部屋ごとのユニットを工場で作ってしまう「ユニット工法」などが含まれます。
最大の特徴は、徹底した品質管理の下で部材が製造されるため、製品精度が非常に高く、現場での施工ミスが起きにくいことです。
工場で大半の工程を済ませてしまうため、天候に左右されにくく、現地での工期を大幅に短縮することができます。
これにより、人件費の削減や仮住まい費用の節約にもつながります。
構造的には、ツーバイフォー工法と同様に面で支える強固な構造となるケースが多く、耐震性や断熱性に優れています。
一方で、工場生産の規格に合わせる必要があるため、土地の形状が特殊な場合や、細かなデザインへの対応、将来的なリフォームの自由度については、在来工法に比べて制限を受ける場合があります。
木造住宅を支える骨組みの仕組みと部材名称

木造住宅の安全性や耐久性を理解するには、家がどのようなパーツ(部材)で構成され、どう組み合わさっているかを知ることが大切です。
「壁の中」や「床の下」には、建物を支えるための重要な役割を持った部材がたくさん隠れています。
ここでは、主要な構造部材の名称とその役割を図解的な視点で解説します。
建物の荷重を地盤に伝える基礎の種類
「基礎」は、建物のすべての重量を支え、その荷重を地盤に伝える最下部のコンクリート構造物です。
木造住宅の基礎には、主に「ベタ基礎」と「布基礎(ぬのきそ)」の2種類があります。
「ベタ基礎」は、床下全体に鉄筋コンクリートを流し込み、底板一面で建物を支える構造です。
建物の荷重を分散して地面に伝えるため不同沈下(家が傾く現象)に強く、地面からの湿気やシロアリの侵入を防ぐ効果も高いため、近年の木造住宅では主流となっています。
一方、「布基礎」は、壁の下などの主要な部分に逆T字型のコンクリートを打設して支える構造です。
ベタ基礎に比べてコンクリートの使用量が少なくコストを抑えられる場合がありますが、地面の湿気対策として別途防湿シートやコンクリート敷設が必要になることが一般的です。
また、基礎と建物の土台の間には「基礎パッキン」と呼ばれる部材を挟み込むのが一般的です。
これにより基礎と土台が直接触れないようにしてコンクリートからの湿気を遮断すると同時に、床下の通気を確保して木材の腐敗を防ぐ重要な役割を果たしています。
土台・柱・梁など構造躯体の役割
基礎の上に組み上げられる骨組みを「構造躯体(こうぞうくたい)」と呼びます。
ここには様々な木材が使用されますが、それぞれの位置によって呼び名と役割が異なります。
まず、基礎の上に水平に固定されるのが「土台」です。
建物全体の荷重を基礎に伝える重要な部材であり、地面に近いため、湿気やシロアリに強い「ヒノキ」や「ヒバ」などの樹種、または防腐処理された木材がよく使われます。
土台の上に垂直に立つのが「柱」です。
柱には、1階から2階の天井まで一本で通っている「通し柱(とおしばしら)」と、各階ごとに区切られている「管柱(くだばしら)」があります。
通し柱は家の四隅などの要所に配置され、建物の剛性を高めます。
そして、柱と柱を水平につなぎ、上からの荷重を支えるのが「梁(はり)」や「桁(けた)」などの横架材です。
特に梁は、2階の床や屋根の重さを支えるため、強度が求められます。
そのため、粘り強くて折れにくい「マツ」や、強度と品質が安定している「集成材」が使用されることが一般的です。
これらの部材が立体的に組み合わさることで、頑丈な家の骨格が作られています。
地震に耐える壁構造と筋交い・耐力壁
木造住宅において、地震や台風による横方向の力(水平力)に抵抗するために欠かせないのが「耐力壁(たいりょくへき)」と呼ばれる構造です。
単なる柱と梁の枠組みだけでは、横からの強い力が加わると平行四辺形に歪んで倒壊してしまうリスクがあります。
この変形を防ぐために用いられる代表的な部材が「筋交い(すじかい)」です。
筋交いとは、柱と柱の間に斜めに入れる補強材のことで、突っ張り棒のような役割を果たし、構造体が変形するのを防ぎます。
「木造軸組工法」では、この筋交いをバランスよく配置することで耐震性を確保します。
また、近年では筋交いの代わりに、または筋交いと併用して、構造用合板などの面材を柱や梁に打ち付ける「面材耐力壁」も普及しています。
これは「ツーバイフォー工法」の考え方を在来工法に取り入れたもので、壁全体で力を受け止めるため、より高い耐震性能を発揮しやすいのが特徴です。
これらの耐力壁の量を計算し、適切に配置することが、地震に強い家づくりの要となります。
屋根を支える小屋組・母屋・垂木
屋根の形状を作り、雨風から家を守る屋根部分の骨組みを「小屋組(こやぐみ)」と呼びます。
普段は見えない天井裏の構造ですが、屋根の重さを支え、建物全体に荷重を分散させる重要な役割を担っています。
小屋組の中で、屋根の最も高い位置にある水平部材を「棟木(むなぎ)」と言い、上棟式(建前)ではこの棟木が上がったことを祝います。
棟木と並行して屋根の傾斜を支える部材が「母屋(もや)」、そして母屋の上に直角に渡され、屋根の下地となる板を支えるのが「垂木(たるき)」です。
屋根の荷重を支えるために、小屋組には「束(つか)」と呼ばれる短い柱が立てられたり、三角形の形状を作る「トラス構造」が採用されたりします。
特にトラス構造は、部材同士を三角形につなぎ合わせることで非常に高い強度を生み出すことができ、体育館のような柱の少ない大空間を作る際にも用いられる技術です。
適切な小屋組の設計により、重い瓦屋根や雪の重みにも耐えうる安全な屋根が実現します。
木造住宅のメリットと注意すべきデメリット

木造住宅は日本で最も選ばれている構造ですが、その理由には明確なメリットがあります。
一方で、木という自然素材ならではの弱点も存在するため、メリットとデメリットの両方を正しく理解し、適切な対策が取られているかを確認することが大切です。
建築費用の抑制と調湿・断熱性能
木造住宅の大きなメリットの一つは、鉄骨造(S造)や鉄筋コンクリート造(RC造)に比べて建築コストを抑えやすいことです。
材料自体の価格が比較的安価であることに加え、基礎工事の規模も建物の重量が軽いぶん小さくて済むため、トータルでの建築費用が安くなる傾向があります。
また、居住快適性の面でも「木」は優れた特性を持っています。
木材には周囲の湿度に合わせて水分を吸放出する「調湿作用」があり、室内の湿度を一定に保とうとする働きがあります。
これにより、夏はジメジメ感を和らげ、冬は乾燥を防ぐ効果が期待できます。
さらに、木材は鉄やコンクリートと比べて熱伝導率が極めて低く、高い「断熱性」を持っています。
触れたときに冷たさを感じにくいのはこのためです。
適切な断熱材と組み合わせることで、「夏涼しく冬暖かい」省エネルギーな住まいを実現しやすいのも木造住宅の魅力です。
生物劣化のリスクと耐震性の確保
一方で、木造住宅には「シロアリ」や「腐朽菌(木を腐らせる菌)」による生物劣化のリスクというデメリットがあります。
これらは湿気を好むため、対策を怠ると構造材が食い荒らされ、家の強度が低下してしまう可能性があります。
しかし、現代の木造住宅ではこれらの弱点を克服するための対策が標準的に行われています。
例えば、地面全体をコンクリートで覆う「ベタ基礎」の採用や、基礎と土台の間に「基礎パッキン」を入れて床下の通気を良くする「基礎パッキン工法」、さらには壁体内の湿気を排出する「通気工法」などが一般的です。
また、使用する木材自体にも防蟻・防腐処理を施すことで、耐久性は飛躍的に向上しています。
「木造は地震に弱い」というイメージを持つ方もいるかもしれませんが、現在の建築基準法に基づいて建てられた木造住宅は、十分な耐震性を持っています。
軽い素材である木は、地震の揺れによる慣性力を受けにくいという物理的な利点もあります。
適切な構造計算と耐力壁の配置を行えば、大地震にも耐えうる強固な住まいとなります。
長期優良住宅や耐震等級による性能証明
木造住宅の安全性や耐久性を客観的に判断するための指標として、「耐震等級」や「長期優良住宅」の認定制度があります。
「耐震等級」は1から3までのランクがあり、数字が大きいほど地震に強いことを示します。
建築基準法レベルの強さが等級1ですが、最近の木造住宅では、その1.5倍の強度を持つ最高ランクの「耐震等級3」を取得するケースも増えています。
警察署や消防署などの防災拠点と同等の耐震性を持つことの証明になります。
また、「長期優良住宅」の認定を受けることで、耐震性だけでなく、劣化対策、維持管理のしやすさ、省エネルギー性などが高い水準にあることが公的に証明されます。
これらの認定を取得することは、安心安全な住まいの証となるだけでなく、税制優遇や地震保険料の割引などの金銭的なメリットも享受できるため、木造住宅を建てる際にはぜひ検討したいポイントです。
着工から完成までの木造住宅建築の流れ

木造住宅が実際にどのような手順で完成していくのか、その全体像を把握しておくことは、施主としてスムーズに家づくりを進める上で役立ちます。
一般的な木造住宅の建築期間は4ヶ月から6ヶ月程度ですが、その工程は大きく3つの段階に分けられます。
地盤調査と基礎工事
工事は、まず建物を支える地面の強さを調べる「地盤調査」から始まります。
調査の結果、地盤が弱いと判断された場合は、地盤改良工事を行って地盤を強化します。
地盤の安全性が確認された後、いよいよ「基礎工事」に着手します。
基礎工事では、まず地面を掘削して砕石を敷き詰め、防湿シートを施工します。
その後、鉄筋を組んでいき(配筋)、第三者機関などによる配筋検査を経てコンクリートを流し込みます。
コンクリートが十分に固まる期間(養生期間)を経て型枠を外すと、頑丈な基礎が完成します。
この基礎の上に、土台となる木材を設置していき、次のステップである上棟への準備を整えます。
建物の骨組みを組み上げる上棟
基礎と土台ができあがると、いよいよ家の形が一気に現れる「上棟(じょうとう)」の日を迎えます。
「建前(たてまえ)」や「棟上げ(むねあげ)」とも呼ばれるこの日は、大工さんが総出で1階の柱から梁、2階の床、柱、そして屋根の一番高い部材である棟木までを一日で組み上げます。
クレーンを使って太い木材が空を舞い、職人たちの手によって立体的な骨組みが出来上がっていく様子は圧巻で、家づくりの中で最も感動的な瞬間の一つです。
上棟が終わると、屋根の防水処理や外壁の下地作りが進められ、雨が入らない状態にします。
また、このタイミングで柱や梁、筋交いなどの構造部材が図面通りに正しく配置され、金物でしっかりと固定されているかを確認する「中間検査」が行われます。
防水・断熱工事から完成・引き渡し
家の外側では、屋根材の設置や外壁工事が行われ、建物の外観が徐々に仕上がっていきます。
並行して建物の内部では、壁や天井の中に断熱材を隙間なく充填し、床材(フローリング)を張るなどの「木工事」が進められます。
電気配線や水道配管などの設備工事もこの時期に行われます。
壁や天井に石膏ボードを張り終えると、壁紙(クロス)を貼ったり、キッチンやトイレなどの設備機器を取り付けたりする「仕上げ工事」に入ります。
最後に建具や照明器具が設置され、ハウスクリーニングを行って建物が完成します。
完成後は、行政機関による「完了検査」や施主立ち会いのもとでの最終確認(施主検査)を行い、傷や不具合がないかをチェックします。
すべての検査に合格し、鍵を受け取ることで晴れて「引き渡し」となり、新生活がスタートします。
まとめ

木造住宅には、日本の気候に適した「木造軸組工法」、面で支える強い構造の「ツーバイフォー工法」、品質が安定している「木質プレハブ工法」などの種類があります。
それぞれの工法に特徴がありますが、共通しているのは「基礎」「柱」「梁」「耐力壁」といった構造部材が適切に組み合わさることで、地震や台風から家族を守っているという点です。
木という素材は、調湿性や断熱性に優れ、コストパフォーマンスも高い素晴らしい建築資材です。
シロアリなどの弱点についても、現代の建築技術では「ベタ基礎」や「通気工法」などで十分に対策されており、適切なメンテナンスを行えば長く快適に住み続けることができます。
これから家づくりを始める方は、カタログやモデルハウスを見る際に、デザインだけでなく「どのような構造で建っているのか」「耐震等級はどのくらいか」といった視点を持ってみてください。
構造への理解が深まれば、より納得感のある、安心で安全なマイホームを実現できるはずです。
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